第34話 アーヴァインとの再会


リビングアーマーですって?

それって確か…意思を持って行動する動く西洋鎧じゃないの?あと奥から何やら不穏な物音が聞こえて来たのでアタシ達3人はすぐに身構えちゃったら

 リビングアーマー3体、スケルトン10体がアタシ達に向かってガチャガチャと歩いて来ているわね



「先生、何で鎧がガチャガチャ動いているんですか? 中の人はどうしたんですか?」


「さっきの幽霊レイスみたいな低級霊や低級魔が鎧に憑依しているのよ」


「そうだ! リビングアーマーはだいたいは精神アストラル系の魔物によって操作されているのでターンアンデッドなどの聖魔法などがよく効くとか……」


「んーあらそうなの

 じゃちょっと試してあげるわよ」


 念力サイコキネシスでリビングアーマー三体を宙に浮かべ何度も岩へぶつけると中から黒い上半身だけの黒い体の魔物が現れた。しかしそれは目鼻立ちはなく、ただシルエットだけが地面から生えている。その黒い魔物にロックオンさせて鑑定スキルで確認して見る。


【鑑定結果:シャドー

 実体を持たない精神系魔物なので攻撃力はあまり高くないが物理的な攻撃手段が無く聖属性の魔法などが非常に有効的である。】


 こちらからの攻撃は、純粋に物理的なものは通らないだって? けっこう厄介な相手じゃないのさ!

 それってたとえば、スケルトンはただ頑丈で死にづらいが物理的な攻撃は通じる。つまりは速度や力に優れているとはいっても、ただの人間だって集団でかかればどうにかなるって事よね。

 だが、シャドーが相手だとそうはいかない。

 物理攻撃しかできない場合、すり抜けるのでどうにもならないのよね。


「よし、じゃあアタシ達がシャドーと戦うのでメアリーちゃんはスケルトンの相手をしてくれるかしら?」


「ハイ先生!」

 

「オイオイオイっアンタら何者だい

 人の家に勝手に入って一体何してんだ??」


 魔物達の動きがピタッと止まり、アタシ達の背後から1人の青年の声が聞こえて来たので振り返ると黒いローブを羽織った銀髪の男が立っている。

 うわ、先が動物の頭の骨の様な形の杖を持っているしなんだか妙な雰囲気の兄ちゃんねー。

 それよりもその隣にいる全身鎧プレートアーマーの骸骨なんだけどアタシすっご〜くコイツに見覚えがあんのよね〜っ?


「ちょっとアンタ、アーヴァインじゃないのさ何でこんな所にいるのよ?」


「何っ?……貴様、何故我が名を知っているのだ」


「何言ってんのよホラっ海底にいた頃、一緒に水竜や海猿供と戦ったでしょ」


「おおっ? 思い出したぞあの時の魚ではないか?

 して、何故貴様がここにいるのだ?」


 メアリーとカイラの2人が何かいいたそうな顔でアタシを見ている……まぁそりゃ骸骨が知り合いとかわけ分かんないわよね?

 そしてやっぱり向こうも微妙な反応………そうよね………だってアタシお魚だし


「アーヴァインの知り合いだったのか?」


 奥の客間へと移動し、とりあえずお互いの経緯を聞く事にした。銀髪の根暗そうなお兄ちゃんはネロという死霊術師ネクロマンサーだとか

 彼は長らく旅をしていたそうなんだけどお金が無くなり仕事を求めてワーグハウゼンに来たんだけどどこも雇って貰えずその腹いせにウィル・オ・ザ・ウィスプや幽霊レイスなどを召喚して怖がらせてやろうとあの家に住み着いたとか

 確かにあのリノエのオッさん達からすればこんないかにも気の弱そうなヒョロい使えなそうな兄ちゃんを雇いそうもないものね〜


「なるほどね、ネロは1人でいる寂しさを紛らわせる為、アーヴァインを召喚したのね〜」


「ところでネロここは何処なんだ。オレ達は先程までワーグハウゼンにいたハズなんだけど?」


「ああ設置していた転移魔法陣が作動してここへ飛ばされたのさ。アーヴァインが故郷に住みたいと言うので骸骨達にこの屋敷を作らせたんだよ。丁度今引っ越しの最中でねー」


 とりあえず扉を開けて外に出て見るとそこには我々にとって見覚えのある風景があった。


「ねぇメアリーちゃん、ここってもしかして?」


「ハイそうです。コレは私の村があった所ですね」


「そうだよな俺達が出会った所だよな」


 アタシがメアリー達と初めて出会ったカルロ村、現在は取り壊されて何も残っていないが以前はここにも


「ここがアーヴァインの故郷だった所なの」


「そうだ我の国は既になくなっていたのだ。

 もう我が君主も……我が妻も……我が幼い息子もここには存在しないのだ」


 カイラによるとヴァールシュタット王国は300年前エッフェンタール公国との戦争に負けてシルヴェニア王国とボル・サリーヌ公国の2つに分けられてしまったらしい


「実はアタシ達、この今何もないここに新たに村を作ろうと思うのだけど良かったらアタシ達に協力してくれないかしら?」


「先生、カルロ村を復活させるんですか?」


「そうよただしロッペンハイマーに負けないような大きな村にするのよ。そこでカイラにちょっと相談なのだけど?」


「何だ?」


「ここに冒険者ギルドのカルロ村支部を開いちゃおうかと思っているのよ?」


 ネロやアーヴァインそして店にいる獣人達をここに移ってもらいギルド活動するとともに少しずつ村を発展させていくって考えを伝えると……

 この話を聞いて1番喜んだのはネロだった。

 なによりも雇ってもらえる事が嬉しかったとか

 アーヴァインはどこも行く所が無いので特に問題ないそうだ。 まあネロも一緒だし……

 後は獣人達ね、とりあえずカイラに転移魔法で彼等を連れて来てもらうようお願いして数分後、カイラはすぐに獣人達を連れて戻って来たので彼等に事情を説明すると鼠人族のギジがアタシをジーッと見つめて来た。


「それならここから北西の山脈の奥にある住処に残してきているオデ達の仲間を呼んできても構わないカ? 奴らこの村の発展にきっと役に立ツ!」


「アラそれは大歓迎よねメアリーちゃん」


「ハイっ先生! どんな方々が来るのか楽しみです」


 その後、鼠人族のギジはネロが召喚した骸骨騎士スケルトンナイトやリビングアーマーを護衛に連れて仲間を呼びに北西の山脈へと向かった。


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