二歩
一か月後。軍は10000を超えた。俺の創造ポイントは軍全体に特級ポーションを渡して余りあるほどに増えていた。
俺は会議室で、今や司令官となった獣人、村一番の強者ゴードンに指示を出した。
「王都を落とせ」
「神よ、それは……」
「大丈夫だ、勝算はある。いいか、王都を守っているシステムはすべて俺が操作できる。バリスタも魔法兵器もすべて俺が操作できるんだ。この意味が分かるか?」
「まさか、内側に……」
「そうだ。バカな人間どもだろ。俺に防御を固めさせておいて不要になったからと言って湖に沈めた罰だ。復讐する」
くつくつと笑った。
「ソーリッジ王国を乗っ取る。騎士、魔術師、冒険者をなるべく生け捕りにする。魔法兵器から魔法結界を網状に発射できるようにしておこう。王都にいる残りの民は抵抗するものは殺し、従うものは奴隷にしろ」
ゴードンはひざまずいた。
「神の仰せのままに!」
「ああ、そうだ。まずは王都に最も近い街を落とそう。予行練習になるだろう。俺もついていく」
◇
それを誰も戦場とは呼ばないだろう。
王都に最も近い街を陥落させるために、俺は塀の上に魔法兵器を作成、冒険者や騎士を生け捕りにし、馬車に詰め込んだ。逃げようとするものはすべてバリスタで射抜いた。
奴隷兵士たちの働きは素晴らしい。迅速に街の人間を殺し、運び、インベントリに入れていく。街に流れる水はすべて真っ赤に染まり、階段には滝のように血が流れている。
今回の戦闘には獣人たちも加わっていた。彼らの中には戦闘に特化した種族がいるようで、久しぶりの狂乱に咆哮をあげていた。
街を落とすのに一日とかからなかった。
完全攻略。
街に人間はいなくなった。
俺は馬車から騎士と冒険者を下ろし、一列にひざまずかせると、奴隷兵士に印を渡し押しつけるように言った。奴隷兵士たちはすぐに従った。
俺は奴隷に言った。
「今からこの冒険者や騎士がお前の奴隷だ。しっかり教育しろよ」
「承知しました!」
奴隷兵士はそう言うとにやりと笑みを浮かべた。
俺のコピーみたいだった。
すべての冒険者、騎士を奴隷にし、抵抗をやめた街の人間までも奴隷にすると俺は塀の上から叫んだ。
「この街を我々の第二拠点とする! 獣人たちよ! 好きに装備を強化せよ、鍛冶の奴隷に装備を作らせよ! 奴隷たちに飯を作らせろ! 掃除をさせろ! 好きなように使うがいい! ここはお前たちの楽園(ユートピア)だ!」
獣人たちが喜びに狂う中、奴隷たちはうめき声をあげていた。
いい気味だ。
苦しめ。
苦しめ。
カマエルは言っていた。
――前の世界だって世界中で人が死んでいた。その原因が君にないとでも? ゴミを捨て、食べ物を捨て、エネルギーを消費していただろ。君は寄付もしたことがない。それにバタフライエフェクトだってある。君が蹴った小石が人を殺したかもしれない。調べればわかるが、君が一人も殺していない保証はない。いいか? 遠くで死ぬか近くで死ぬか、間接の度合いが遠いか近いか、それだけのことだ!
俺が前の世界で人間を殺していなかった保証はない。
お前たち人間が、俺を苦しめていなかった保証はない!
「そうだろ、人間ども」
獣人は鍛冶に打たせた剣を人間で試し切りしていた。
人間の皮をはいで、なめしている者もいた。
どれだけ獣人たちが人間を恨んでいたかがわかる。
それがどれだけ俺と共鳴しているかがわかる。
俺は高笑いをあげて、叫んだ。
「次は王都だ! 待っていろ、このクソどもがあああああああ!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます