第二章 後輩少女が出来ました

第27話 幼馴染の後輩

 ゴールデンウィーク明けの5月初旬。

 僕と真澄は、いつものように2人で一緒に帰っていた。

 横を見ると、真澄が腕を組んできている。


 最近は、一緒に歩きたいからということで、多少時間はかかるけども歩きで登下校することが増えている。しかし――


「最近、ちょっと髪伸ばした?」


 髪が伸びているようなので、聞いてみた。


「そうなんよ。ちょっと感じ変えてみようと思うてな。どや?」


 髪はすぐ伸びるものじゃないし、ショートだったのが全体的に少し長くなったかな、というところだ。


「ちょっと落ち着いた感じでいいかも」


 以前の髪型はもうちょっとボーイッシュな感じだったけど、今はもうちょっと「女の子」って感じに見える。


「なら良かったわ♪」


 褒められたのが嬉しかったのだろう。さらに腕を強く組んできた。嬉しいんだけど、感触が……。


 などと、二人での下校を楽しんでいると、何やら物陰から視線が。見ると、斜め後ろから、誰かがジーっと見ている。真澄の高校の制服を来た少女で、黒髪ロングヘアで清楚な少女といったところだ。何か用でもあるのかな、と思ったら、去って行った。


「どうしたんや?何か変なもんでも見た?」


 僕の様子が少し変な事に気づいたのだろう。

 真澄が問いかけてくる。


「いや、何も」


 そう答えて、少し歩いたら、またもや視線が。見ると、またさっきの女の子だ。見られると、また去って行ってしまう。なんだろう?


 そんなことを繰り返しながら歩いていると、自宅の前に辿り着いた。


「んー」


 真澄が目をつむって唇を突き出してくる。

 ちゅっ。

 僕はそんな彼女に軽く口付けをする。


「うちらも少しは慣れてきたと思わん?」

「う、うん。まあね」


 こういうタイミングでキスをすることはなかったから、以前より自然に振舞えているのかも。そんなことを思っていると、横から強い視線を感じる。さっきの女の子だ。


「ねえ、真澄」

「なんや?」

「そっちの子なんだけど、知り合いかな?」


 さっきからずっと僕らを観察している女の子を指差した。


「おお。ナツやん。どうしたん?」


 声をかけられた、ナツ、と呼ばれた少女は近づいてきた。はて?


「先ほどは不躾で失礼しました。折原奈月と申します。東津高校1年で、料理部所属です。真澄先輩の後輩です。よろしくお願いします」


 そうして、真澄の後輩らしい少女は折り目正しくお辞儀をしたのだった。

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