第8話 ゴールドラッシュと石油資源

海岸からロニモたちの集落へと向かう方向に、最低限度の森林の伐採をしながら道路建設や宿泊場所となる砦も建設した。併設して資源を精錬する施設も完成。


砦と精錬施設は2日で完成していた。

要するにプレハブ式の建物である。

日本で作り分解して船で運んで来たのだ。


(あのCMが歌いたくなるなあ)



伐採された木は乾燥させているところだ。

すると、今日は気配を隠さずにロニモがベースキャンプへとやって来た。


『前田殿よ、酋長イシが呼んでいる』

『そうか、もうそんなに日が昇ったか』

『そうだが…たったこれだけの日数で町が出来ているではないか?信じられない』

『かっこいいだろ?』

『ああ、森の精霊たちも、風の精霊たちも実に穏やかに感じる』


(なんて答えるのが正解かなー?)


『我が国、日本にはのお、帝がおられるのだが。日々、神ごとを行い世界の平和を願っておられるのだぞ、そなたらの精霊にもその尊き祈りがとどいていると良いのだかな』



『シャーマンが前田殿の主か?』

『ちょっと違うが、違わないところも在るのかもしれぬな』


話しながらロニモは集落へと歩き出す、僕は自然に着いていくだけだ。


建設された道は途切れ森の中を進む、ロニモは緊張している様子だ。


集落へ着いた。

普段の3倍は人がいる。

馬も沢山だ。


僕は酋長イシのテントに招かれた。


『前田殿入られよ』

『ああ』


バサリと毛皮の玄関の幕を開き中に入る。


予想通り大勢の風格ある面々がいた。


酋長イシが言う


『前田殿、こちらへ』

『お招き感謝いたす。では遠慮なく』


僕は目を伏せ酋長イシの言葉を静かに待つ。


空気は重い。


『皆の衆よ、今日は日差しも明るく風は爽やかだ、大地も穏やかにここにある。紹介しよう!はるばる日の沈む国、日本から来た友人の前田利家殿だ。きっと、皆とも友人になれるであろう』


『天皇の治める国、日本の織田信長が家臣、前田利家である。どうか友情をもって話をしたい』


『酋長イシよ!東から白い蛮族が攻めて来た!西からは黄色い蛮族が攻めて来ただけではないのか?今すぐこの男の命を天に捧げ頭の皮を剥ぐべきだ!』


『すまぬ、酋長イシよ彼はどこから来たのだ?』

『今、もっとも被害を受けている東の大地の果ての部族の酋長ニシムだ』


(東の果てのニシム?『池袋の東口に西武があって西口に東急があるって面白いやろ?』と言った父の姿が思い浮かぶ)


『そうであるか、酋長ニシムよ。そなたらの気持ちは理解できる。だが、我々は我々を守るためにも東の白い蛮族を討ち滅ぼしたいのだ』


酋長ニシムは静かに言う

『前田殿は、前田殿は何もわかっていない。あやつらの武器は慈悲のかけらもないのだ』

ロニモが立ち上がった。

『皆の衆、私もそう思っていた。前田殿には申し訳ないが疑っていた。だが今は違う!必ず勝てるのだ!』

また別の若い酋長がさけぶ!

『証拠を見せろ!証拠を!あれにかなう武器などあるものか!?』



僕はただあるがままに、落ち着いた姿勢で。

『少々あるくが、是非ともお見せしよう』


『『『望むところだ!』』』


(結構疑って来てるなあ、派手にやるか)








ベースキャンプの演習場へ皆を連れてきた。

(いい加減、そのおかしな殺気なんとかしたいなあ)


ニシムである。どうにも気が荒いみたいだ、本来の性格なのか侵略を受けてナーバスなのか?どちらだろうか。



『慶次郎はおるか!』

『ははっ!こちらに』

って横におるやん!


酋長たちが驚いていた!

まあ驚くよね。

酋長たちは慶次郎から目が離せないようだ。


(やっぱりカリスマ性は慶次郎だな)



ロニモが酋長たちへ声をかける。

『ここで見たものは口外禁止だ!これからの戦略に勝敗に関わる!よろしいですか?』


ニシムは言う

『寝ずで来たから、つまらなかったら寝るからな!』

(はいはい、そうですかそうですか)


『慶次郎、指揮はまかせる少し盛大に演習訓練をせよ!銃器、重火器の使用を許可する!』

『ははっ!(みてろよー!)』



『近接銃撃隊!前へ!前方の敵兵を馬上より攻撃せよ!』


ダッダカダッダカダッダカダッダカ!


5頭の騎馬小隊がかけてくる。

小隊長が『撃てー!』というと。


パンパンパパン!パンパンパパン!とカカシにどんどん小穴が空いていく。

距離として50メートル。


『長距離銃撃隊!前へ!撃て!』


僕らからは全く豆粒みたいに見える5人組がライフル射撃をする。


ドーン!


(すご!ラグないやん)


カカシが全てぶっ飛ぶ!


『水陸両用部隊!撃て!』

すると赤い煙幕弾が指向性をもって打ち上げられる。


ドッゴーン!!


カカシの周辺に大きな爆発がおこる。


『旗艦アマテラス!主砲3連!撃て!』


はるか上空の気球から三発の青い煙幕弾が放たれる。


旗艦アマテラスは海岸から20キロメートル離れたところに停泊している!



ズン!ズン!ズン!

ヒュー~ーーボッカーーーン!!


海面に水柱が高々と上がる。

そして空震がくる!


『目と耳を塞げ!』とっさに声を上げた!


バタバタと酋長たちが倒れる。

ロニモも倒れてた。


ニシムは、耳をふさぎ忘れたらしい。


『ニシム殿!大丈夫か?』

『は?』

『だーかーらー!大丈夫ですかー!』

『キーンしか聞こえぬ!』


仕方ないので、僕はニシムの手を取り立ち上がらせた。ばたり。


(腰抜かしてるやん)


『酋長たちよ!これは全てではない!東の果ての白い蛮族に勝てると思うものは座ってくれ!』


全員がちょっこりと座った。


ニシムは、さめざめと涙をながしていた。


『ニシム殿よ、我らと共にならぬか?わしは一人として白い蛮族を逃がさぬ!』


『……前田殿よ、私は精霊の声を聴き、祖先に敬意をはらい生きてきた。あの白い蛮族は我々の地を人を踏みにじった。多くの勇敢な戦士たちが死に、そして捕らえられている!力を貸してはくれぬか?』

『ニシム殿よ、わたしはそのために来たのだ。国のために黄金の石と黒い油は探しているがな』

『あんなものが欲しいのか?知ってるぞ!というか、どこの部族の酋長もあらゆる場所を知っている。皆の衆よ!このような約束で我らの地を守れるのであれば、前田殿と友人に!いや!家族になろうではないか!』



『『『おお!』』』



ゴールドラッシュと石油資源ゲット!


あとは、西洋軍を逃がさぬようにせよ、殺しすぎないようにせねばな。




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