地域戦略をもう一度真剣に考える

観光業界で

『マイクロツーリズム』が

盛んになりつつあるようだ。


他の地域や海外から旅行に

来て、宿泊してもらうのではなく、

地域の人に繰り返し来てもらう

アプローチだと言う。


達社長が贔屓にしている

地元有名老舗旅館がある。


実は、この旅館

マイクロツーリズムという言葉が

生まれる、ずっと以前から

『地域の人が7割』

をスローガンに、

地域の人が、繰り返し訪れ

愛される旅館経営で、

100年を越える歩みを続けている。


6代目社長に、お聞きすると


同社が考える『地域』は

必ずしも、市町村や県と言う

行政単位ではないようだ。


むしろ、県を越えたとしても、

車で1時間半圏内、

あるいは歴史的に、同社旅館が

ある場所と繋がりが深い地域を

『共感地域』と設定し、

ブランディング活動を展開している

のだと伺った。


更に興味深いのは、

同社が、その『地域』の

歴史や風土は勿論のこと

お店やイベントまで細かく理解し

地域イベントや社会活動に

会社の業務の一環として参加し


地域の人とコミュニケーション

する努力を惜しんでいない事である。


『地域に何があるか、出来るか

分からなければ

あの老舗旅館に聞いてみよう』


そんな言われ方がされるほど、

地域の事情や歴史に精通している。


そして、そんな『地域愛』とも

言われる姿勢こそが

同旅館が愛され続けている

理由なのだと教わった。


街づくりを標榜する

達社長の会社。


なぜ、旅館の話かと

言うと、webマーケティングを

考える段になって、

考えさせられる『事件』

があったからだ


それが、先日お会いした、

あるwebマーケティング会社社長

からの提言である。


開口一番こう言われた。

「失礼を承知で、申し上げます」


社長は少し襟を正し、

「本来一番、街の事情に精通すべき

建設会社や住宅会社が、

実は一番街の事を勉強していない

ように感じる」


「デジタルゆえに、血を通わせる

必要がある。それが感じられない

地域の会社が少なくない」


正直、悔しかったし、

いきなりそんな事言われる

由縁はないとも思った。


しかし、webマーケティング社長。

達社長の表情が変わった事を

気にもせず、続けて、


「例えば、スーパーの特売はいつ?

あの幼稚園の園長先生の教育方針は、

あるいは、隣の病院の施設や特徴は?」


「教育や医療から、日常の買い物まで

本来リアルに知っているのが、

地域密着を標榜する

住宅や建設会社では?」


そこまで言って、

webマーケティング社長

深々頭を下げられた。


しかし、達社長。

逆に、怒りにも似た感情は

すっと消えて行った。


「いや、その通りかもしれません」


果たして、自分たちは、

地域を知る努力をしているのか?


いやそもそも、私達の街、

地域とは何か、どこなのか?


街と言う言葉に、

もっともっと、物語や逸話が

あっても良いし、それを紡ぐから

こそ、地域に根強く価値がある。


「地域戦略を再考しよう」

達社長、改めて、そう確信した。

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