10年先を託す10人の社長を創る

未来永劫

会社に発展し続けてもらいたい。

その鍵は、

次の経営者を創ることにある。


達社長、

今一番頭を悩ませている事だ。


「社長業、最大にして最後の大仕事」

である。


達社長はまだ若い。


しかし、

今から出来うる限りの万全の

備えをしておこうと考えている。


なぜなら

「後継育成は10年事業が如く」


尊敬する先輩経営者や

税理士の所長先生に

繰り返し言われているからだ。


一方

「経営にはまさかの坂がある」


この意識も高くなってきた。

ある事件があったからだ。


業績が順調だったある専門工事会社。

実は今、銀行管理下にあるという。


理由は、組織の派閥構想を起点にした

顧客離れである。


まるで、ドラマのような事が

達社長の隣で起きてしまったのだ。


中興の祖と言われ、

会社を大きく成長させた

専門工事会社社長。


課題は一つ、後継者問題であった。


実は、「管理が得意な長男」と

「攻めに強い次男」のどちらを

後継者にするか決めかね、

両者を常務取締役と横並びにし、

思案を重ねていたようだ。


その最中、

なんと社長が不慮の事故で死去。


直後から兄弟の派閥争いが勃発。

経営不在で顧客離れが起き、

業績が傾いてしまったようだ。


「創業は大胆に、

事業を受け継ぐには小心であたれ」


三菱の創始者、

岩崎弥太郎の言葉である。


10年単位の視点で

承継を準備する一方、

万が一の場合を想定したシナリオを

用意しておく必要がある。


さて、どうするか?


父が自分を後継者にしたように

息子を次の社長に据えることも

あるかもしれない。


しかし、息子は余りにもまだ若い。

しかも、経営センスなど未知数。


そもそも、継ぎたい意志が

あるかもわからない中で、

選択肢としての優先順位は低い。


それは、社員から次の社長を生み出す

必要があることを示している。


就任当初から

ぼんやり考えていたことだが、

正直、真正面から

向き合って来なかった。


次の社長をいかに創るか?


結論は

「社長を創るプログラム」

の立ち上げである。


社長にならなければ

わからない事がある。


しかし、

社長と同じ景色を見ることは出来る


そう考え、

そういう機会を創ることにしたのだ。


ベテラン専務の

「勉強してなれるモノではない」

という言葉が、聞こえてきそうだが


覚悟と意志を創ることは

必ず出来ると、信じている。


一方、

「10人の社長を創る」


という目標も明確にした。


建設だけでなく

住宅や不動産、商業施設運営など

事業領域が拡がり、

一人のエンジンでなく、

複数のエンジンで経営する事が

会社発展につながると考えたからだ。


「何をやるかは誰がやるかで決まる」


達社長、

一層気合いが入ってきたようだ。

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