ライバルを知り、戦わずして勝つ

「彼を知り己を知れば百戦殆からず」


有名な中国の兵法書

「孫子(そんし)」の一節。

13篇からなる中国最古の

兵法書で、その中の「謀攻」にある

代表的な一説だそうだ。


企業経営は、戦争ではないし、

共感や協業の時代。

「切ったはった」や「勝った負けた」

ではないのかも知れない。


それでも

「企業経営は現代版の知的戦争」


古い考えだど思われるかも

知れないが、

この側面は否定できないと

達社長は考えている。


特に前職を辞め、この会社の社長に

就任し、その思いが強くなってきた。


なぜなら、

役員や幹部が、余りにも、

他社を知らないと感じているからだ。


ベテラン専務の口癖である

「やる事をやっていれば、

お天道様は私達に微笑んでくれる」


その通りだと思いたいが

余りにも芸がないとも言える。


そんな話を、尊敬する先輩経営者

にぶつけると、あるアドバイスを

頂いた。


それが

「くみしやすい会社に陥って

いないかを確かめる5つの質問」

である。


第1

業界のやり方に従順である


協調と阿吽(あうん)の呼吸。

それが、ライバルとの

向き合い方のように感じる。


第2

コスト構造に疑問を持たない


簡単に言えば

原価積み上げ方式。


協力業者に案件毎に無理を

お願いする事はある。


しかし、大げさに言えば

この四半世紀

「コストの構造改革」とは

向き合って来なかったと考えている。


第3 改善思考に偏りすぎ


改善が大切な事はいうまでもない。


しかし、3%の生産性改善より

30%の改革の方がむしろ

取り組み安い時もある。


少なくとも、

そういう視点で

ものを見ることが出来ない会社は

淘汰されてきたのだ。


第4 単年度発想主義


「今できることをやる」


一見正しいように思えるが、

現状の延長に未来がないならば

沈み行くしかない。


1つ目から4つ目まで

各々頭が痛い問題ではある。


しかし、

◯◯薬品さんに頼れない現状や

行きつ戻りつしながらも、

進めつつある「街づくり」ビジョンが

結果として、これらの問題と向き合う

きっかけになってきた。


達社長が大きな問題だと

考えているのは、最後の5つ目


今のライバルしか見えていない


にある。


「同一事業者と同一機能者

ライバルは少なくとも二種類あるよ」


先輩経営者は、力を込めた。


今、実際入札を競ったりしている

建設会社(同じ事業を営む者)

だけでなく、

街づくり視点で提案してくる

異業種やデザイナーなども

場合によっては、

れっきとしたライバルなのだ。


先日も何かの雑誌で

音楽プロデューサーが

住宅会社と組み、アートな

街づくりをやると特集されていた。


「私達らしさ」を失ってはいけないが

そうした動きを知らないと

独りよがりに

なってしまうかもしれない。


「法人営業セミナー」へ

一緒に出席して以来、

本音でやり取り出来るように

なってきた建築部長に、

この話しをぶつけてみた。


「営業会議でライバル情報を

取り上げるようにしましょう」


「理想は戦わずして勝つですよね」


その通り!

建築部長の言葉が嬉しかった。

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