顧客管理でなく案件管理

金融機関から技術パートナーを

紹介されたこともあり


木構造事業立ち上げは、

比較的スムーズに

皆の賛同を得られた。


タイミング良く、地産地消を謳う

食材販売の施設で、木構造採用の

話しが持ち上がったからだ。


結局この物件は、

コストやその他の理由で

木構造採用は諦めたのだが、


街づくりという視点での提案

そのものは非常に評価を頂けた。


達社長、この経験から

街づくりに関わる取り組みを

分かりやすく説明した資料を作り、

情報発生源訪問に活用し始めた。


タイトルは

「なぜ木構造に取り組むのか」


木構造をアピールするというよりは、

達社長の会社を知ってもらう為に

シンプルにしたのだ。


すると、

木構造を他社が余り取り組んで

いなかった事もあり


若い商業施設のオーナーや、

観光、子育て施設の建築に当たり

話しを聞きたいとの紹介が出るように

なってきたのだ。


「何でもあるはなにもない」


食品工場建設で成功する社長の

言葉が思い出された。


しかし、

案件情報は出るようになっては

きたのだが、中々決まらない。


どうも、ほぼ指名に近かった

◯◯薬品さんに提案するのと

同じように、


つまり、初対面の人に

いきなり友人に接するが如く

対応している事が理由のようだ。


会社の強みやライバルとの違い

などが伝わっていない。

皆、営業慣れしていないのだ。


そこで、建築部長と二人で行った

法人営業セミナーで教わった

「いろは」を皆で共有する

ことにした。


題して、案件管理の三原則である


第一原則 案件を知る4つの視点


案件の状況を

正しく押さえる事が大切だ。


鍵は、

aキーマン(決定権者)

キーマンは誰か、一人か複数か


b金額(予算)

価格はいくらまで可能か


cタイミング

発注あるいは竣工タイミングは

いつか?それは何故か?


dライバル

ライバルは誰か

キーマンとのつながりは


これら四つの状況を押さえ、


案件の現状を正しく認識し、

決定へ導くプロセスにある


当たり前だが、

キーマンに会わずして

受注が決まる可能性は低い。


ライバル次第で状況が急展開する

こともしばしばあるからだ。


第二原則 組織で営業する


トップには社長が挨拶し

担当役員は、専務がフォロー

直接の発注者には、担当が密着・・


それぞれの立場だからこそ

聞ける情報もある。


組織全体で顧客と向き合う

仕組みとルールが必要である。


第三原則 失注を管理する


最後が、失注の要因分析を

怠るなということだ。


失注を担当者の努力不足と

切り捨てれば受注のヒントを

失うことになる。


ライバルに価格で取られたのか

人脈の違いが大きかったのか?


事実一つで、

未来の戦略は大きく変わる。


他の会社の人が聞いたら

笑われるかもしれない。


そんな基本的な事を

学び生かすようにしていく事で

徐々にだが、案件獲得が

できるようになってきた。


「あの土曜日の会議から

はや10ヶ月か・・・」


達社長、

数値より、皆が変わろうと

してくれている姿に、

大きな手応えを感じていた。

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