一度死にたくなったら
@oilink
第1話 少年は喧騒のなかに
世の中は不公平にできている。
そんなことは小さい頃から感じていた。
しかし、いざ実感すると耐えがたい物だと感じる。
そんなことを思う少年がいた。
名は真田朝陽、高校二年生。
特にこれといった特技はないが勉強はそれなりにできる。ただ現代の学生にとって勉強ができることなど何の意味もない、本当に意味を発揮するのは学歴が大切だと実感する社会人になってからだ。
もっとも、学歴を気にしない風潮や新たな職業が生まれる時代であるが故、それすら意味をなくしつつあるが。
話が逸れたが、要するに彼はモテないのだ。
見た目が悪いとか、性格に難ありとかではなく単純にモテないだけなのだ。
彼にとって恋愛小説を読むことは好きだし、憧れもある。しかし、周りの何がいいのかわからない奴がモテたり、全く恋愛に興味ない奴を見てると自分にとって幸せだと考えていることは果たして実現可能なのか、不合理なことではないかと思えてしまうようだ。
正直もう自分に望みがないように思える。
大人からしたら大した悩みに感じないかもしれないが、全く想像できない未来を決めるこの時期に自分に期待できないことはとんでもない壁なのである。
将来に有望な取り柄なし。
毎日が楽しく感じない。
自分に価値が見出せない。
そんな思いを日に日にため込んだ彼は決意する。
死んでしまおう、と。
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