第二十二章 林檎とたんていごっこ
1
ある朝のこと。
『おねえちゃんへのちょうせんじょう
このなぞをといてりんごを見つけてみよう』
「何これ」
シャワーを浴びて身支度をしていると、このような書置きがテーブルの上に残されていることに気づいた。
明らかに林檎の字だ。
濡れた髪をタオルで拭きながら読んでみる。
『したはおお火じ うえはこう水 どこでしょう』
さすがは小学一年生というところか。全く、このような太古の昔から使われてきたなぞなぞでこのわたしに挑戦してくるとは。
しかし挑戦状と聞いたら無性にわくわくしてしまうのが推理小説マニアの性だ。
「あれ?」
しかしながら、大浴場には誰もいなかった。
「林檎、ここじゃないの?」
下は大火事、上は大洪水といえば、お風呂を指すのではないのか?
「ん?」
奥の壁に紙が貼り付けてあるのに気づいた。
『土ようびのよるにいったばしょ』
「土曜日の夜……」
『お日さまとお月さまのみえるばしょ』
『金ぴかのなかにかくしてあるよ』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます