第13話幼馴染との久しぶりの会話
日曜日私は、美香ちゃんと近くのショッピングセンターに行くことになった。
当日私は、美香ちゃんと自転車で行くことにした。美香ちゃんが家に寄ってくれた。美香ちゃんはかわいらしい洋服を着ていた。私はといえばいつものジーパンに紺のパーカーを羽織っている。女子力の違いを見せつけられた感じだ。
「ねえことちゃん、今日は何買うの?」
自転車で走りながら美香ちゃんが聞いてきた。
「...」
「えっ、何?」
「よぅ...」
「あ~あ、洋服ね」
「うん、そぅ」
私は恥ずかしくて自転車を全力でこいだ。私の全力こぎに美香ちゃんは置いてきぼりになってしまい、後ろで何か叫んでいたが、私はそのままこいでこいでこぎまくった。しかし信号が赤になり、仕方なく信号機の前で待つ羽目になってしまった。そこへ美香ちゃんが、もう~と半分プンプンしながらやってきた。
「ごめんね。なんか恥ずかしくて...」
「仕方ないなあ~。いいよ、許してあげる。じゃあことちゃんに超似合うお洋服選んであげるるね」
さすが美香ちゃんだ。私が思っていたことを言ってくれて、後でアイスでもおごってあげようと決意したのだった。
美香ちゃんはやっぱりセンスが良くて、いつもジーパンしかはかない私でも抵抗感の薄いスカートを選んでくれた。上もシンプルでもちょっとだけかわいいブラウスをチョイスしてくれて試着してみると、まあまあ自分でも似合っているように見えた。
「ことちゃん似合うよ。かわかっこいい!」
「そう?本当?私でも似合う?」
「なに言ってるの?ことちゃんにぴったり!」
「ありがとうぅ」
そのあと私たちは雑貨屋さんや本屋さんに行ってからフードコートで食べて帰った。もちろん、美香ちゃんにアイスをおごった。美香ちゃんには感謝しかない。
家に帰ると、すぐに母に見せた。おばあちゃんにも見せてあげようということで、おばあちゃんも呼んで私はもう一度着てみた。二人とも似合うといってくれたので、嬉しかった。たとえ私に甘い人たちの意見だとしても。
とはいえ当分この洋服を着る機会はないのだが、ちょっとだけ女の子らしくなったようでうれしかった。
あと私は、今までの髪型を変えることにした。今はベリーショートだが、このまま伸ばすことにしたのだ。直ぐには伸びないけれど、楽しみになった。
学校では、女の子達の話をよく聞くことにした。女子力アップに少しでも参考になればと思っている。みんなが読んでいるというファッション雑誌も買ってみた。初めて買う時には恥ずかしくて、買う時にも美香ちゃんに付き合ってもらってやっとのことで買えた。女の子らしくない私が買ったら、みんなどう思うだろうと周りの反応を気にしすぎてしまったからだ。
また部活が休みの日には、たまに美香ちゃんやほかの子達とかわいい雑貨屋さんに行くようになった。みんなかわいい文房具を持っているので、私もちょっとだけほしくなってしまったのだ。
とはいえ、見た目は相変わらずの私がいた。
「笹竹さん、今日代表委員会だよね。ちょっとだけ遅れるけど、ごめんね」
「はっ、はいぃ。わ”か”っ”た”よ”」
「部活でちょっとだけ用事あるから終わったらすぐ行くから」
岡本君とは、学級委員なので一緒に仕事することが多い。でも一度意識すると、今までのように気軽にしゃべることができなくなってしまった。今もなんだか声が裏返ってしまった。つらい~。
ただ岡本君はこんな挙動不審な私にも優しい。今もこんな私ににこって笑ってくれる。
代表委員会に行くと、隣のクラスの子がもう座っていた。慌てて私も座る。まだ委員会は始まっていない。座るとすぐその子に聞かれた。その子はうちの学年の副委員長で、もちろん代表委員長は岡本君だ。
「岡本君は今日こないの?」
「ううん、ちょっと用事があるから終わってから急いでくるって言ってたよ」
「そうなの、よかった。今日二年の代表として岡本君に言ってもらいたかったの。この前あった運動会の感想」
「来ると思うけど、もし間に合わなかったらどうする?」
「葉ケ井君にお願いする?ねえ笹竹さんいってくれない?」
「なんで私?」
「前は仲良かったでしょ。私恥ずかしくて言えない!」
今までの私だったら、彼女の発言に?マークの顔をしていたと思うけれど、今は私も恋する乙女だ。ちょっと自分で言って恥ずかしいけど。彼女の気持ちが嫌というほどわかる。岡本君が遅れてきて、急に二年の代表として言わせるのも可哀想だ。たぶん岡本君ならそつなく言えると思うけど。岡本君の手間をとらせるわけにはいかない。 ふとテーブルの先を見ると、葉ケ井俊介がふんぞり返って座っている。ように私には見えた。私は席を立って、俊介のもとにいった。
「ねえ、二年代表で、運動会の感想言って」
岡本君じゃなければ、私は普通に言えるのだ。ただ急に私に話しかけられた俊介は、びっくりして私を見た。私も急に本題を俊介にいってしまったので、俊介の何の事だ?っていう顔を見て、もうちょっと説明してから言えばよかったかなと思った。だが俊介は、頭がいいので私の言葉の意味をすぐ理解したようだった。
「琴か。わかった、いうよ」
「ありがとう、じゃあよろしく」
「あっ...」
まだ何か話したそうにしている俊介をそのままに、私は席に戻った。そして先ほどの子にずいぶん感謝されたのだった。そういえば俊介と話したのは何年ぶりだろうとふと思って、そちらを見れば俊介がこちらをじっと見ていた。が、私と目が合うとすっと目をそらされた。なんだ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます