これまでのあらすじ


 ──淡い光を孕んだ蕾が、ゆっくりと花開く。その花は、たった一輪だけで夜の闇すら霞んでしまうほどの、眩い黄金色をしていた。

 お母様と、幼いわたしは、庭の隅っこに並んで花をじっと見守っていた。ふとお母様の顔を見上げると、お母様の金色の瞳に、今咲いたばかりの光り輝く花が映っている。


(第二部  序章 『始まりの朝』より)





▼これまでのあらすじ

 種族差別の激しい国&家族から逃げてきた白狼族の少女クーナ。

 今では隣国グランタニアの冒険者ギルド「銀狼王の盾」の中にある喫茶店で、もふもふたちと元気に働いている。


【第1章】

 クーナは最近不思議な夢を見る。幼い頃、母親と一緒に、黄金に輝く美しい花を眺める夢だ。クーナは幼い頃に見たその花の名前を思い出そうとするが、どうしても思い出せない。


 いつも通り、喫茶店で働いていたある日。喫茶店に白狼族でリュシア公爵の血を継ぐイングリットとその娘のレア・リュシアがやってくる。初めて見た同じ種族に驚くクーナ。イングリットはどうやら人を探しているらしく、クーナは母親の名を聞かれる。「エレナ」と伝えると、イングリットは少しがっかりしたような、ほっとしたような顔をし、クーナはその様子を見て不思議に思う。同じ白狼族同士仲良くしようと約束し、イングリットとレアは滞在先の宿に帰っていった。


【第2章&第3章】

 クーナの住む街にあるダンジョンに幻獣グリフォンが迷い込んできた。グリフォンは何故かクーナを自分の元へ連れてくるように言う。クーナは迷うが、みんなに恩を返したい、強くなりたいという想いから、仲間達と共にグリフォンの元へ向かうことを決意した。

 いよいよダンジョンへ出発。ダンジョンの中では、クリスタルスライムに出会ったり、ギアの頭に奇妙な輝きを発見したり、モコモットたちのダンスを見たりと、興味深い経験をいくつもすることになった。

 そしてとうとう百階層・地底湖にいるグリフォンと対面。グリフォンは一目見てクーナを気に入り、クーナに懐く。事情を聞くと、どうやらアルーダ国を通過したときに、瘴気に当てられて体調不良になってしまったらしい。グリフォンはクーナの作った料理を食べたことで回復する。

 グリフォンはお礼にと、クーナを背に乗せて、ダンジョンの内の異空間を飛び回り、クーナに不思議な景色を見せた。そのとき、クーナは異空間に漂う不思議なアイテムをゲットする。それは「真実の秤」と呼ばれる、濁りなき魔水晶一つと引き換えに、嘘を暴くという古のマジックアイテムだった。

 異空間を見て回った後、クーナは無事百階層に戻ってくる。グリフォンはお礼に羽を一枚渡し、必要になったらこの羽に呼びかけるように伝えて、ダンジョンを去っていった。


【第4章】

 ミッションクリアを喜ぶクーナ一行だったが、百階層のレイドボスである地底魚が湧出してしまい、全員で戦うことになった。ところが地底魚の激しい揺さぶりで、モコモットのリリが転がって湖の中へ落ちてしまう。クーナはリリを追いかけ、地底魚に食べられてしまった。

 クーナは魚の中で、幼い頃の夢を見た。母親が「私にはもう一つ名前がある」と言う夢だ。けれどもう一つの名前は聞き取れなかった。次に見た夢は、ルルの力によってグランタニアへ流れ着いた頃の夢。川で瀕死になっていたクーナを助けたのは、ギアだった。クーナは初めて、グランタニアで一番最初に自分を助けてくれた人がギアだったことを知った。


 目が覚めると、クーナはリリと一緒に、真っ暗で大きなホール状の空間にいた。おそらく地底魚の胃袋の中だったが、それにしてもかなり大きい。どうしたものかと悩むクーナは、ポケットに入れていた天秤が光っていることに気づく。天秤を掲げると強く輝く方向があったため、そちらに進むことにした。しばらく歩くと、足元に黄金の花が咲いていることに気づく。母親の夢で見た、あの花だ。クーナは不思議に思うが、だんだんと力が抜けてしまい、その場で気を失ってしまう。


 ふと目を開けると、クーナの目の前に両親とアニエスが立っており、クーナを「家に帰ろう」と闇の中で引き摺り込もうとしていた。闇に飲まれそうになっていたクーナだったが、闇に咲いていた黄金の花から母親の声が聞こえ、その声で自分は夢を見ているのだと気づく。母親の励ましとリリの声で奮い立ったクーナは、なんとか父親たちを振り切り、目を覚ました。

 目を覚ますとリリが進化しており、不思議な歌声を闇に響かせていた。クーナは進化したリリと、魚の外にいたギアと協力し、なんとか地底魚の胃袋から脱出したのだった。


 ギルドに無事帰還したクーナ。

 しかしギルドマスターの執務室で、ギア、キリク、シモンの三人が、クーナに関することを、何か話し合っているのを偶然聞いてしまった。三人がそこで何を話し合っていたのか、クーナは結局聞けずにモヤモヤした気持ちを抱えてしまう。


【第5章】

 ダンジョンから無事に帰還したクーナは、しばらく休暇をもらっていた。ふと出向いた小川で休憩中のギアと出会い、クーナはギアと話しているとドキドキしてしまう自分に気づく。

 さらにその日、クーナは再びレアとイングリット親子に再会した。せっかくだからと宿に招かれたクーナは、そこでイングリットの姉(リュシア公爵令嬢長女)が、十六年前に忽然と姿を消した、と言う話を聞く。さらに姉の名前は花の名前だったというイングリットに、クーナはふと、魚の中で見た夢で「私の名前はもう一つある」と言っていた母親の姿を思い出した。イングリットに名前を聞こうと思ったが、何故か聞き出しづらくなり、その日は聞くことができなかった。


 街では夏祭りが始まろうとしていた。そんな中、夏祭りを見るために各地域から様々な人が集まり始める。その中には、モンスターの被害から逃れるため、隣国アルーダから逃げてきた貴族たちも混じっていた。

 クーナは魚の中で見た夢(両親がやってくる)が正夢になってしまうのではないかと怯える。


 不安な気持ちを抱えたまま、フィーナルダットの夏祭りが幕を開ける。

 






▼非公開になった話

クーナ、森の精霊に愛される?(前編)

クーナ、森の精霊に愛される?(中編)

クーナ、森の精霊に愛される?(後編)

モフモフピクニック

精霊王

シューティングスター

鈍感!!!!!

特別な木苺

元婚約者との思い出 ※アルーダ国での話(前編)

元婚約者との思い出 ※アルーダ国での話(中編)

元婚約者との思い出 ※アルーダ国での話(後編)

占い

貴族襲来

馬鹿にしないで

クーナがブスだと……!?(錯乱)

クーナが初めてみた花火は(前編)

クーナが初めてみた花火は(後編)



※2022/2/27 改稿済み


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