第14話 始まったばかりだ(要くん目線)

 朝日が部屋を明るくして、


 綾香さんは恥ずかしがるけれど


 夜中に僕を裸にしておいて、……って思うと仕返しのように綾香さんの裸体のすべてを眺めた。


 綾香さんが気にしている年の差が僕には分からない。


 強いて言うなら

 上司というポジションのガードが固くて


 それがあっさりと壊れてしまうギャップに僕は興奮した。


 何度も僕を受け入れて

 恋人同士みたいに指を絡めて愛し合ったのに……


 服を着て髪を整えて

 お昼ご飯になった朝ごはんを一緒に食べたら、もう上司の顔に戻ってしまった。


 あんなに乱れてかわいかったのに。


「今日の事は水に流して

 仕事には影響させないようにしてね」


 と、有無を合わせない。


 僕は「はい」と返事をする。


 今朝の情事を、僕の雄犬の発情期みたいにあしらって……


 もうこれっきりって、空気を流す。


 ——綾香さんの事だからそんな気はしてた。


 でも、

 僕の恋は始まったばかりだ。

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