わんこ部下お持ち帰りで社会的に死ぬかも。【36話完結】

炭 酸 水

第1話 痴情との闘い

 私、峰岸綾香、OL 32歳。独身。


 今、自宅マンションに連れ込んだ部下の介抱している。


 部下は、倉本要くん、24歳。

 爽やかマスクの人懐っこい好青年で、社内で「わんこ系」と言われアイドル的存在。


 日付が変わる深夜、要くんは私のベッドで寝ている。


 お酒に弱いとは知っていたけど、まさか眠り上戸とは聞いてなかった。


 金曜日の夜だというのに喪女の私は、自宅の最寄駅近くで一人カラオケをしていた。一時間ほど楽しんで店から出たところに、要くんに出会した……。


 これは恥ずかしい……


 同じ部署で今度のプロジェクトメンバーである若い男の子に「金曜の夜に一人カラオケする喪女上司」の姿を見られてしまった。


 その恥を誤魔化そうとお洒落なレストランに誘って奢った。


 わんこ系イケメンの要くんと洒落たレストランに入った私は……「デートクラブ」「出張ホスト」をご利用中に見えていたかも知れない。


 これね……私、きっとそのうち「デートクラブ」も「出張ホスト」も利用し始めるんじゃないかと思う。そのハードルが下がるような一軒目だったわ。それだけ要くんの「わんこ」ぷりは堪らなかった。


 二軒目は、直ぐ近くのクラシカルなBARに入った。お酒に弱いからって、コーヒーを勧めたのに、ロングカクテル飲んじゃったのよね、要くん。同じ最寄駅で実家だからって。


 もちろん奢らせてもらった。

 下手なホストに貢ぐより部下に奢った方が投資でしょ? って、私も調子に乗ったのよ。


 だって、要くん、超肌キレイ!

 若いって、いいね!

 社内アイドルとのデートを堪能したわ!

 要くんも楽しそうなふりしてくれるし!

 和むわ癒されるわ眺めるわの贅沢にうっかり私の野生が活性化したのよ。


 何とか理性でムラムラを抑えつつタクシーに乗せたのに要くん……住所言ってくれない!


 仕方なく、ワンメーターで私のマンションに連れて帰っちゃった。


 エレベーターでうとうとする要くんを支えつつ、ベッドまで歩かせて……水を持ってきたら、すやすやご就寝。


 何度か声を掛けた。でも、起きない。


 私は化粧を落としてシャワーを浴びて……ルームウェアに着替えて……と、ここまで来てよこしまな勇気が抑えられなくなった。


「要く〜ん、スーツは脱ごう! 」


 まぁ、ジャケットは脱がせるよね?

 脱がせるのに凄く大変だった。

 背丈もあるし、意外に華奢じゃないし

 ……だから重い!!


 私はお酒は強い方で、素面しらふなはずなのに……火事場のクソ力?

 シャツまで脱がせた。


 シャツの下、素肌?

 はぅっ……なにこのサービス♡


 ツヤツヤの胸板にいい場所にある乳首とか……何のご褒美なんだろう……よ、よだれ……


 おへその下から腹筋から胸に向かって何往復にも撫でくりまわしたいのを我慢した。絶対に、背筋もキレイな山になってるはず……すごいいい身体!


 ——が、がまん、我慢よ綾香!!


「我慢するなら脱がすのも我慢しろよ! 」と、もう一人の私がツッコミを入れるが間に合わない。


 ベルトを外してズボンも脱がせた。

 危うくボクサーパンツまで外し掛けそうになるのを、丁寧にズボンを下ろして……めくって中身見ちゃおうかと何度か思った。


 大分、変態だわ私……

 頬擦りしたい……くんくんしたい。


 いやもう、要くん全然起きない。

 ボクサーパンツ一丁の要くん……寒いだろうに、しばらく眺めちゃったわ!


 いい身体♡

 石膏で型を取りたい♡


 これ、十分犯罪じゃない??

 意識不明の異性にこれって強姦罪にあたらない?


 いや、まだ、セーフよ!?


 私は要くんにそぉ〜と布団を掛けると、私は大きなクッションを敷いて毛布に包まって寝ることにした。


 かわいい寝顔も激ヤバだった……

 ペロペロしたい案件♡


 なかなか眠れずに、何度か要くんの布団に入り込みたい衝動と闘いながら……私は痴情という敵に勝利した。


 誤ちを犯さずに私は社会的に死なずに済むはず……社内アイドルの要くんに手を出したなんて事になったら、パワハラと疑われて会社に居られなくなる。


 枯れた喪女には、これが限界。


 朝、起きたら

 要くんは私とエッチをしたと勘違いしてた……


 (彼は)何にもしてないのに……

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