『小さなお話し』 その36

やましん(テンパー)

『続 うさぎさんとかめさん』 前編

『このおはなしは、フィクションです。』




 あまり、知られていませんが、月の表側には、月うさぎさんが、裏側には、月かめさんが、すんでいました。


 また、月には、ほかに不思議な知的生命体がいたのですが、その正体は、いまだに、なぞなのです。


        🌃


 かつて、地球にやって来たことは、おとぎ話のようになって、なごりが残っておりますが。


 

 さて、あるひ、月のうさぎさんと、かめさんは、地球まで行って、帰ってくる競争をすることにいたしました。


 先に、速く月に帰ってきたほうが、勝ちです。


 目標は、大きな大陸の縁にある、細長い島にしました。


 とくに、理由はありません。


 あえて申しますと、作者の都合です。


 ただし、行くだけではなくて、地球上に、長く残る『モニュメント』か『レガシー』を残してくることと、いたしました。


 勝負の判定は、『火星うなぎ』さんに頼みました。      



 そこで、それぞれ、お弁当や、水筒やお薬などの準備をして、スタート地点に集合しました。


 不公平にならないよう、ちょうど、月の表側と、裏側の境目から、よういどん、したのです。


     🌏     🌍

  

 うさぎさんが、速く、亀さんが遅いと、先入観を持ってはなりません。


      🐇    


 宇宙は、海なのです!


        🐢


 だって、『宇宙船』って、言いますでしょう。

          🛸

   

 だから、月のかめさんにとっては、すっごい、スピードが出せる場所なのです。


 一方、月うさぎさんのふるさとは、実は、火星なのです。


 こちらも、宇宙を渡るのは、たいへんに、得意です。


 だから、この勝負は、ほんとに、結果が予測しにくかったのでした。


               🌖

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 月を飛び出して、少しの間は、つまり、半分くらいまでは、かめさんが、スタートダッシュしました。


 うさぎさんは、慎重に後を付けていたのです。


 まだまだ、両者とも、余裕があります。


『地球に着くのは、ほぼ、同時だろう。問題は、どんな、モニュメントとか、にするか、いかに、速く傑作を作れるかだな。レガシーのほうが、かっこいいかしら。』


 うさぎさんが、そう、つぶやきました。


 『手先の器用さは、うさぎさんが、ちょと、上手だからなあ。さて、どうしよう。地球には、人間と言う生き物が、最近は力をつけているときくし。どうやら、月の王宮でも、かなり、警戒しているらしいな。だれか、スパイに出そうか、なんて、言ってたの、聞いたけどな。』


 かめさんは、そう、熟慮しながら、飛んでいました。

            

 そこに、事件が起こったのです。


 宇宙に、真っ青な、彗星さんが、見えてきたのです。

        ☄️


 長い、りっぱなしっぽを、引っ張っております。


『あら〰️〰️ ‼️すごいなあ‼️きれいだなあ‼️』


 かめさんが、叫びましたが、うさぎさんも、また、同じ気分でした。


    🌞    ☄️


 うさぎさんと、かめさんは、彗星さんにすっかり、気を引かれた結果、それぞれ、別の軌道にはいってゆきました。


 お互いの行方が、見えなくなったのです。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ずいぶんむかしに書かれた、『日本書紀』という記録によれば、西暦684年7月3日に、彗星が出現したとの記録があります。


 これは、おそらく、『ハレー彗星』であろうとされます。


 うさぎさんと、かめさんは、だいたい、そういうころ、地球にやってきました。



 さて、うさぎさんは、どこかの海岸に降り立ちました。


 申し上げておきますと、月うさぎさんは、かなり、大きいです。


 だいたい、座ったときの背丈が、10メートルくらいあります。


 そのうさぎさんが、渚にドカンと、着陸したわけです。


 これが、近隣の噂にならないはずがありません。


 村の人々が、恐る恐る、覗きにやってきだしました。


 最初は、かなり、遠くから、ながめておりました。


 うさぎさんは、うごきません。


 人々は、だんだん、近くに、寄ってきます。



『む、そろそろ、地球のひとが、集まってきたか。よしよし、では、ここで、レガシーを造ろう。まずは、はらごしらえですな。』


 月のうさぎさんは、海に向かって、呼び掛けました。


『お〰️〰️〰️い。自分が一強いと思う、さかなたち、出てこい❗勝負しよう❗』


 すると、さめ(わに)さん、と呼ばれる、大きくて、鋭い歯を持つお魚さんが、多数、現れました。


『お〰️〰️〰️‼️きみたち、強そうだね。でも、ひとりに、多数じゃ不公平だし。まずは、いくついるか、数えさせてよ。』


 さめたちは、ずらっと、並びましたが、なんと、それは、向こうの小さな島まで、届くくらいなのでした。


 月のうさぎさんは、さめさんの背中を軽々と飛びわたり、また、無事に、岸まで、帰ってきました。


『じゃあ、じつは、ぼくは、はらぺこなんだ。こっちから、さめさん、順番に、いただきまあす‼️』


『なまいきな。とっちめてやる。』


 さめさんたちは、怒って飛びかかってきました。


 しかし、月のうさぎさんは、強すぎでした。


 さっそく、あっというまに、5さめ、を捕まえ、皮を剥いで、料理してしまいました。


 持ってきたおかずといっしょに、食べてしまうことにしたのでした。


 そこで、背負っていた、その、大きな袋をひろげたのです。


 何でも入る、便利な亞空間袋です。


 いくら、何を入れても、重さは変わりません。


 ひとびとは、震えあがりながらも、じっと、ながめておりました。


 すると、そこに、にこやかで、大きなおなかの、もう、老人らしき、でも、たいへんに、体の大きなおじさまが通りかかりました。


 でっかい、釣竿をもち、たくさんのお魚を、ぶら下げておりました。


 聞くと、この人も、この海岸に漂着した、はるか遠くの、余所の国からきた人なのだそうです。


 『おー‼️ すばらしね。すこし、分けてくださませんか。かわりに、これ、差し上げます。お土産に、どぞ。』


 おじさんは、でっかい、『たい』という、めでたいお魚をくれたのです。


 はるかかなたの、反対側の海に住むのだそうです。


 『さっき、捕ったばかりですね。』


 反対側の海から、あっというまに、向こうにちら、と、見える、『船』で来たというのです。



 『む、これは、ただものではないな。』


 月のうさぎさんは、思いました。


 が、ともかくも、いっしょに、さめさんと、たいさんで、ごちそうを、頂くことにしました。


 そこで、いよいよ、影に隠れていた、地元の人たちを呼び出し、みんなで、宴(うたげ)となりましたのです。



 『イヤー、これは、すごい、ごちそうですなあ。ありがたや。』


 地元の人たちは、感激しました。


 お酒なども、持ち寄って、歌え、踊れの、大宴会になりました。


 『いやいや、それより、あなたがたが、ここで、みたことを、後世に、きちんと、語り継いでくださいませんか?』


 『もちろんです。はい。しっかり、子孫たちちに、つたえましょうほどに。』


 『お〰️〰️〰️、レガシーが、出来たなあ。』


 うさぎさんは、まんぞくでした。


 宴会が終わると、おなかの大きなおじさんは、船に乗り込み、なんと、空の彼方に、去って行きました。


『はあ〰️〰️。あのひとは、どこから、来たのかなあ。』


 うさぎさんが、知らない世界が、まだまだ、あるようでした。


 うさぎさんは、それから、ていねいに、人々に挨拶し、さらに、『たいさん』を、分けてあげて、やがて、やはり、心配だったので、かめさんを探しに、袋をまたせおって、飛び立ちました。


 うさぎさんは、優しいのです。


 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


             つづく

 




       『ふろく』



『つづく………、ばかりじゃなく、ちゃんと、さいごまで、終わらせなさい。って、女王さまも、言ってましたよ、やましんさん。』


 幸子さんは、おまんじゅうを、両手に抱えて頬張りながら、やましんを、叱かりました。(『不思議が池の幸子さん』は、『くまさん宇宙の大冒険』に出てきます。宣伝ぽいです。すっかり、みなさまから、忘れられております。はい。


『すみません。はい。つぎは、かめさんのおはなしです、それで、おしまい。に、なります。』


『ふうん。これは、ちょうど、幸子が、女神様になった頃のおはなし、かな?』


『たぶん、もうすこし、あと、ですね。』


『ふ〰️〰️〰️〰️ん。』


 幸子さんが、半分くらいの目になって、あやしそうに、やましんを眺めました。


 ま、そういう、もんです。



 …………………………………………

 

 


  

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