2話 毛布女子(麻衣)から見た悠希
それは悠希くんが4歳のころから使われていたが、弟からよく取られたりした。今でも一緒に寝ているので、本当に私のことが好きなんだなぁっと実感した。悠希が小中学生の頃も甘えられた。よく早退してたけどその時は大変だったねっと思って見守った。
「麻衣……おはよう」
「悠希おはよ」
という会話もいつもしてた。人間になってからが楽しみだなぁ。なんで人間の姿になったのは秘密だけどね。
悠希くんは言ってなかったけど、悪いことしてないのにお母さんに怒られたときは、泣きながら訴えてきたんだよ。かわいそうだったから聞いてみた、そしたら好きって言われたの、その時はびっくりしたなぁ。
でも好きに使われるのが一番嬉しいなと思う。
スヤスヤ…
悠希くんの寝顔が可愛くてハグしちゃった。10年以上使われたからもし別れる時が来たら寂しいな。でもすぐには別れないと私は思う。
毛布にも意識があって、触られた時の感覚もあるからね。もちろん記憶もあるから、何をしたということも覚えてる。ほかの毛布にも訪ねてみたけど、私と同じように意識があるんだって。でも悠希くんはそれに気づいてないから、よく胸を揉まれる。でも優しい子だから私も優しい人になったの。毛布によっては気性が荒い人もいるけどそれは使ってる人間の性格や思いが伝わるのだろうね。
「ただいま…」
「おかえり、悠希くんどうしたの?」
「早退したよ…」
「よく頑張ったね。少し休もうね」
悠希くんが早退したときは心配したけど、学校で大変なことがあって早退したからそんなこと忘れて抱かれた。人間になったからにはお話しして悠希くんを落ち着かせることをしたいなぁ。
悠希くんはとにかく優しい人だから布団になってよかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます