親父が作ったビミョー飯

朽木リケ

たまごサンド

 はじめまして、作者の朽木リケと申します。


 まずは今回、こんなものを書くに至った簡単な経緯について説明しておきたいと思います。


 基本的に我が家では母、もしくは私自身が食事の用意をしています。ですが、ときおり思いついたように父が自ら腕を振るう事があるのです。それ自体は悪い事ではありませんし、基本的には問題ないのです。

 よく朝食用にピザトーストや一回目のタイトルである卵サンドなど簡単なものを用意してくれていたり、助かっているのですが…ごくまれに、本当にごくまれに…やらかします。


 ですが父はあまり気の長い性質ではなく、そういった「やらかし料理」に素直な感想を言うと、不機嫌になります。場合によってはキレます。


 なので、本人に対して言えない素直な気持ちをここで吐き出してしまおうと、そう考えてここに至った次第です。


 少し前置きが長くなってしまいましたので、そろそろ本題に移るとしましょう。


 今回のタイトルとなった「たまごサンド」ですが、皆さんもご存知の通りゆで卵を細かく刻んでマヨネーズと混ぜたものをパンにはさむだけの料理と言ってもいいかどうか悩むような代物です。


 これを作る際、普段父はアクセントとしてからしを使用します。食べるときにオーブントースターで軽く表面を焦がしてから食べるのが私は好きなのですが、この日は少し変わったことがあったのです。


 食べ始めてすぐ、口の中に広がる甘味に驚きました。食べた部分を見ても、見慣れた卵が見えるだけでぱっと見ではわかりませんでしたが、味でその日パンの中に何が挟まれていたのかがすぐにわかりました。


 バナナです。


 父はこの日、なぜかたまごサンドの中にバナナを入れていたのです。からし入りの卵にどうしてバナナを入れてしまったのか不思議でなりません。


 ピリッとした辛みがバナナの甘さをさらに引き立たせ、ひと噛みするたびに口の中にバナナの甘い匂いが広がる。その中で地味に主張するマヨ卵。卵とバナナの水分でふやけてしまったパンがモチャモチャとした食感で、マズイと言うほどではありませんが絶妙に美味しくない。


 ここで美味しくないと素直に言ってしまえば、父が不機嫌になるのは間違いなく、私はこれを我慢して黙って食べきりました。


 今回のたまごサンドに関して言わせていただきたいのは…


「別々で食べたかった」


 です!


 もうどうしてこの二つを混ぜてしまったのか、ただただ疑問です。ぜひ父には自身でそれを食していただきたい。そして失敗を悟って二度と作らないで欲しい。絶対に食べられないほどマズイわけでもなく、ひたすら美味しくないだけの食事は凄くモヤモヤします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る