復帰と、休職の意味と、自分をHSPと認めた話
いよいよ復帰が目前になった頃、状況確認と称して本社から呼び出しがかかった。
休職前から相手方の希望はわかっていたが、それでもわたしは現在の現場に復帰するつもりでいたのだ。
初めからその前提で、休職していたし、本社もそれを了承しているものだのばかり思っていたからだ。
結論から言うとこの日は、「現場の撤退」を求められた。
会社としての立場や理屈自体には異論はなかった結果だ。
ただ、面談を始めて開口一番に「同じことを繰り返さないために、何か対策はあるの?」と聞かれたことには辟易した。
それと、自社のベテラン社員と、多くの社員がいる現場で働いてもらってその人達から君の様子を逐次聞けるようにしたいと言われた。
それはなんていうか理由は分かるが、目の届く範囲、監視のもとで仕事してもらいたいという風にわたしには聞こえた。
精神科医の方とも話したが、その言い方を意訳すると、
「休職するようになったのはメンタルの弱さが原因だ。だから、それを回避するための対策をお前が自分で立てろ」
なんて言っているように捉えられる、と。
優しく意訳すれば、自分の身を守る方法はなにか考えたの?だろうが、原因がわたしのメンタルの弱さであるという言い方には変わりない。
前回でも書いたが、それなりに本を読んだり悩んだりしたとは伝えたが、「そんなものは誰でもやってるからさぁ」と半笑い。
本来、そういう環境調整などは現場の中に求めるものであって、休職者を糾弾してやるようなことではない、と精神科医の方も仰っていて、その点は多少救われた。
ほかにも、本社の担当は「俺が君に対して行ったサポートは十分だったと認識している」だとか、「現場の〇〇さんもメンタル脆いところがあるからさぁ」みたいな発言を繰り返し行った。
その時は場の雰囲気に呑まれてしまったが、後に十五年の付き合いがある同業者の友人に話したら、
「サポートが万全なら休職者なんか出ないだろクソが。転職しろお前」
と言われ、確かにと思ってしまった次第だ。
判断力が死んでるなぁ、言われるがままになっているなぁ、とまた一つ反省した。
(その後で、HSPには持ち帰って一度熟考する時間が必要だったのでは? と思い直した)
その後、現場の上司とも話をしたが、戻ってきてほしいと言う現場上司に対して本社の担当は、
「ハルは本当に仕事できるんですか?」
そう、面と向かって宣ったらしい。
直接わたしにバラし、「担当なんてそんなもんだよ」って笑う様には、現場の上司もクソだなと思うし、本社担当もクソだし、ため息しか出てこない。
ここ数年、給料もまったく変わらないとか、そういうのも本社の担当はわたしのことを「メンタルが弱くて仕事ができないやつ」と見ていたことがわかり、驚くよりも納得してしまった。
それでこの反応ね、と。
現場の撤退を求められていたが、紆余曲折経て、結局今の現場に復帰することと相成った。
正直なところ「どっちもクソ」という気持ちになったが、より「どっちがマシ」かということと、やり残したことの尻拭いと幕引きを自分の手でしたいということ、なにより、本社担当の言いなりになってたまるかというなけなしの反骨心で決めた。
本当は転職も考えたが、やはり五ヶ月というブランクは印象によくないからまずは復帰をアピールし、傷病手当など、回収できてないお金を回収してからにしたかった。
はした金とはいえ、金は金だ。本来得られるはずだったお金は可能なら正当な手続きに則ってしっかり回収したい。
今はこれがbetterだという判断。
本音は、ずっと休んでいたいものだが……。
復帰を決めてからはあっというまで、復帰してからも少し経つ。
久しぶりの通勤電車は相変わらず、久しぶりの現場も相変わらず。
現場の上司たちよりも、お客様のほうがよほど嬉しそうにしてくれた。
前回、その2で内向的な傾向だうんたらと書いたが、もう少し踏み込んで最近はわたしはHSP、もしくはHSSという傾向があるのではないか、とセルフチェックで思うようになった。
個人的にはより7:3くらいかなと。
毎度同じようなことを書くが、セルフチェックだし、病気でもないし、傾向だ。それを言い訳にするのではなく、自分自身の行動、思考の仕方と照らして、得心する形に近い。
ゆえに、だからその枠組みに自縄自縛になって、できない理由にするのではなくて、どうしていけるかを考えるために使っていきたい。
ごちゃごちゃ書いてるがつまりは「特性として受け止めて、短所から長所に変換していきたい」のだ。
今ならそれができる気がするし、この五ヶ月、ただ辛かったですで終わらせたくない。
理想の自分自身という最強のライバルと戦い続けて、随分成長したと思う。
HSPだなと思った直近の出来事は、他者が残業してるのに、自分が定時で上がるということへの罪悪感だ。
でも、こう念仏のように唱えた。
自分の仕事は終わってるのだ。
この罪悪感は、妥当か?
他者が発する帰るのはずるい、帰りたい、疲れたなどの負の雰囲気を感じ取って、わざわざ触れなくていい禍根に首を突っ込んでいるのではないか?
他者の声なき要求より、自分の心の要求を優先する必要は本当にあるのか?
そもそも、詳細すら知らないことのために残ったところで、できることはないのではないか。
それなら早く帰った方が有益だ。
自分に繰り返し問い続けないと、あまりにも無意識に、自然に、過剰な希望に応えるという、同じ轍を踏みそうになる。
一晩中、わりと翌日までモヤモヤが続く。結構これはしんどい。
でも、これは辞めたほうがいいし、自分に優しくないんだとわかるようになったから、成長だ。
仕事のことでいえば、わたしがお客様都合で休日出勤したり、リリース対応で徹夜作業したり、トラブルで終電で帰ろうが、他の人は手伝おうとは言ってくれないし、言ってくれてもできることもないし、残ってもいないのだ。
自分の範囲の仕事が終わったから帰る。
その誰しも自然にやることが、わたしにはとても難しい。
そう。
この「難しい」という理由を知れたことに、休職はとても意味があった。
知れたなら多分コントロールできるようになる。
そうなれることが、また一つ階段を上がるということなのだろう。
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