第38話 色の3原色、4原色-1

「3原色」というものがある。

 絵の具で混ぜる場合は赤、青、黄色(ちなみに、光の場合はRGBといって赤、緑、青の3原色となる)。


 しかし、3原色という色はこれらの色でなくてもよいという。3原色とは、その3つのうち2つの色を組み合わせることによってできる色が、元々の色と同じにならなければよい、というルールがあり、そのルールから外れていなければどんな組み合わせでもよいのだそうだ。そのため、印刷をする際の3色はマゼンタ、シアン、イエローとなっている。


 しかし私は真の3原色というのは赤、青、黄色以外ないのではないか、と思っている。なぜならこの3色に限っては、どんな色を混ぜ合わせても生まれでない色だからだ。


 ではここで、私が絵の具で色を混ぜる実験をしたことをお話しよう。


 赤と青、赤と黄色、青と黄色の組み合わせ、また赤と青と黄色を全て混ぜたらどうなるかを実験した。実験の仕方は、常に同じ分量で色を混ぜ合わせるのではなく片方を一定に、もう片方を徐々に増やしていくと色合いがどのように変わっていくのかを観察する。


 まず分かったことは、どの2色をあわせても赤、青、黄色は生まれないということだ。


 しかしそれは、3原色の定理が2つの色を混ぜて、3原色と決めた色と同じ色にならなければいいのだから、当然生まれるわけはないと思うかもしれない。しかし紫や緑や橙などは買ってきた絵の具道具の中になくても作ることができるが、赤、青、黄色は紫や緑だけがあっても作ることができない色なのである。


 そして、それは黒と白にもいうことができる。白はほかの色から白をつくりだすことができないのは誰にでも分かることであるが、実は純粋な黒というのは3原色を混ぜてもつくることはできない。実験で赤、青、黄色を全て混ぜれば限りなく黒に近づけることはできるが、「限りなく黒」であって「黒」ではないのである。それを考えるとこの5色というのは特別な色であると思ってしまう。



【余談】 

 ヨーロッパ世界の中では、色を混ぜて新たな色を作るという方法を長い間試されなかった。それは「混ぜる」という行為が、あまりいいように捉えられていなかったからである。


 彼らは「純粋」というものを大切にしていた。それは家を継ぐ血統や、正統性を重んじる風習があったせいだろう。混血は駄目で、純血は良い。そんなのはただの偏見でしかないが、混ざらないというのは彼らにとっては尊いことだった。混ぜてしまえば元に戻らない。それを彼らは分かっていたのである。


 故に青と黄色で作ることができる緑も、赤と青で作ることができる紫も、元々その色であるものしか人々は受け付けなかったのだという。


 今では考えられないことかもしれないが、自然にある色をそのまま使うというのが、当時の人々にとってみれば重要なことだったようだ。

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