White 白

第23話 白

 現代の白のイメージは、花嫁が「白いドレス」や「白無垢」を着たりすることから、「純粋」「無垢」など、「何にも染まらず清いこと」を連想することが多いかもしれない。


 しかし古代ヨーロッパでの花嫁衣裳は白ではなく、特に赤が多かったといわれ、古代ローマでは花嫁には黄色の衣装を着せていたこともあったようである。


 さらに、中世ヨーロッパになると花嫁衣裳には色のこだわりがなくなり、お金を掛けるのであればどのような色の花嫁衣裳でもよかった。そのようなこともあって、「緑」の節で述べたように、花嫁衣裳の色ははっきりと決まっていなかったし、それ以前に恋愛結婚ができなかった夫婦は緑色の花嫁衣裳を着ることはなかった。


 ちなみに、ウェディングドレスが白い色になったのは18世紀後半からであるといわれている。現代、このように花嫁衣裳が「白」という流れになったのは、中世以降活躍した騎士たちに原点がある。


 彼らは、忠誠心を持って主に仕えていかなければいけなかったことから、その忠誠心を示すために何の色にも染められていない白い服を身に纏っていた。もちろん、彼らは戦うため鎧を着なければならなかったので、その中に着てた下着(服)を白にしていたそうだ。ここから現代につながるような「純粋」や「無垢」といった白のイメージが出来上がっていったといえる。


 また、白は古代より世界中で崇高な色として扱われてきている。


 例えば、古代エジプトでのホルスという神の象徴色は白であり、ローマの神官も白衣を身に纏う。また、魔除けの護符は白であるし、魔術は異端とされてきたキリスト教の中でも白魔術だけは容認されていた。


 白という色は早い段階で人間に認識された色の一つで、黒、赤、白が古代の三原色として扱われた。そして、白の対立には必ず黒があり、白は常に「光」の役割を担い、黒は「闇」の部分を担った。そのため白魔術の反対には黒魔術があり、黒魔術を扱っていると思われた者たちは弾圧された。


 そのため、「白」という色はヨーロッパではもちろんのこと、世界中で崇高な色として扱われていったのである。

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