第3話 赤が手に入り易かった理由

 「赤」話をする前に、唐突であるが2014年のノーベル物理学賞の話をしようと思う。


 2014年のノーベル物理学賞は、青色LED開発に関わった三人の日本人に贈られたが、何故彼らにこの名誉ある賞が贈られたのか。


 それは、「青」という色が人間は勿論のこと、自然でさえ生み出すことが難しいからである。


 白い光の中には、七色があるのをご存じだろうか。

 これはアイザック・ニュートンが、プリズムの実験をした際に分かったことである。光というのは電磁波の仲間なので、それらと同じように波がある。その波が目に入ることにより私たちは、物や色を認識しているのだ。


 その中で「青」は波長が短い。

 波長が短いものはエネルギーが強いのだが、説明すると色々ややこしいので、ここではとりあえず「強いエネルギーを持っている、短い波長を作り出すのは難しい」と覚えていて欲しい。


 その一方で、「赤」というのは「青」よりも波長が長い。それ故に自然界でも溢れており、人間も手にしやすかった。


「ラスコーの壁画」などで使われている赤い色は、主に酸化鉄を含んだ赤土を利用したものだ。また周りに赤土がなくても、同じく酸化鉄を含んだ黄土を火で熱することにより、赤土を手に入れることができた。


 そして、人間が火を起こして生活していたころを考えれば、赤土は身近なものだったため、「赤」がよく使わた色だったと言える。



【絵画】

*「ラスコーの壁画」

 https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/07/Lascaux2.jpg



【補足】

*光には「波」があると記述しているが、正しくは「波と粒子」の二つの性質を持っている。これについては、アルバート・アインシュタインが説明したことを持ち出さなければならないので、それはまた別の機会とする。


*「波長が短いものはエネルギーが強い」とはどういうことか?


 紫外線は浴びすぎるとよくないことは、常識として知っていることだと思う。

 それは、紫外線が人体の皮膚組織内まで届いてしまい、たんぱく質を化学変化させてしまうからだ。

 何故体内に影響を与えるのかと言えば、紫外線の波がとても細かいからで、波長の短いものは物質を透過する力が強い。

 例えば、エックス線。これは外線よりも波長が短いため、より物質を透過する力が強い。そのため、健康診断の胃の検査や肺の検査で使われている。

 さらに強い波長の物もある。それが原子力発電や原爆で発生する、放射性物質に含まれるガンマ線であり、強さはX線を凌駕する。よって、浴びれば浴びるほど人体に影響を与える危険なものになるため、警戒しなくてはならないものなのだ。

 つまり、波長が短くなればなるほどエネルギーが大きくなり、人や物質に与える力も大きくなるのである。



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