第1章 色のイメージ

第1話 「手に入れやすい色」と「手に入れにくい色」

 「色」は、時代と場所によって与えられる意味が異なっていた。

 文化的、宗教的な影響のせいで、正のイメージになったり、負のイメージになったり。土地によってその色が手に入れやすいか、手に入れにくいかによって価値が変わることもあった。またそもそも手に入れられない色に関しては、その色の概念や言葉さえなかったこともある。


 突然だが、読者の諸君に質問をしよう。

 今、世界中で一番人気のある色が何かご存じだろうか。


 正解は「青」だ。青は、どの国に行っても好かれている色である。

 しかし、「青」は時代を遡れば遡るほど手に入れにくい色であったし、蛮族が身に着けていたときもあったので、嫌われていることもあった。


 また何百年も前のことであるが、ヨーロッパでは「青」が手に入りにくかったことと、蛮族が身に着けていた色であったことから、「見えない色」「見たくない色」と思われていたせいで、「ローマの人間は青が認識できない」と言われていたことがある。


 しかし、この「青」は入手しやすいものになると、貴族や王族に好まれる色となり、瞬く間に人気が急上昇する。「ロイヤルブルー」はその一つだ。


 また、生活の中で汚いものと結びつきやすいものは、自ずと人々に嫌わていった。これからの説明で出て来るが、「黄」はその典型である。

 しかし、嫌われ方も多種多様。

 「緑」は見ただけでは森の木々や、山と言ったイメージがあるが、西洋ではそこからある連想が生まれ、負の意味が生み出された。それにより、「緑」は一時的に不人気な色だったこともある。


 悪いイメージのことを言ったが、ほどんどの色には必ず正イメージ(良いイメージ)と、負のイメージ(悪いイメージ)が与えられており、それは常に表裏一体だった。何かの加減で悪い方に捉えられ、何かのきっかけで良い方に捉えられる。

 このように、「色」にはそれぞれに意味があり、国や地域に寄る宗教、環境、文化、時代などによっても違ったのである。

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