世界が終わる瞬間(とき)
月影 湊
第1話 私の選択
地球最後の日、あなたは誰と一緒にいたいですか?
家族?恋人?両親?友人?ペット?
地球最後の日に一緒にいたい人は、誰ですか?
皆、意見は違うと思う。
でも、きっと大切に思っている、愛しい人と一緒にいたいという気持ちは、
皆同じなのではないのだろうか。
これは地球最後の日、私がとった行動。
ここに記し、私とあの人が永久に残るように…。
☆
【明日、地球が滅びます。】
世間はそのニュースで大騒ぎ。
テレビの中のキャスターの後ろでも、大騒動。
外に出たら何か事件にでも巻き込まれるんじゃないか、それほどまでだった。
最初は皆、冗談だと鼻で笑っていた。
段々と地球が滅びる日が近づく度、信じる人が増えた。
理由は空を覆うような、無数の真っ黒な球体。
いわゆる隕石のようなものらしい。
これが明日、地球上に降り注ぐと言うのだ。
1週間前はポツリポツリと見え始めた。
その2日後には目でも確認できるほど。
そして今は…まぁるい球体がはっきりと、何個も見える。
数えきれないほどに。
まぁ、そんなことはどーだっていい。
私には会いに行かなくてはならない人がいる。
時刻は朝8時。いそいそと支度をして外へ行こうとする。
すると、旦那が声をかけてきた。
「どこ行くの?」
「ん?ちょっとね。」
曖昧にはぐらかし、心配する声をよそに、外に出る。
案の定外は大騒動。
きっと、こんなんじゃ公共交通機関は使えないだろう。
仕方ない、と呟き車に乗り込む。
車でも危ないんだろうなと思いつつも、
これしか移動手段はないだろうと勝手に決めこみエンジンをかける。
これから長距離を走る。
ガソリンは満タン。
どっちにしてもどこかでまた入れないといけないが
最初から大目に入っていた方がいいだろう。
「…よし。」
ふぅ…、と息をつき発進させる。
目指すはあの人のもと。
最愛の、人のもとへ。
☆
「意外と落ち着いてる人もいるもんだな。」
そう、1人呟く。
車を走らせて2時間。一旦、近場のSAで休憩をとっていた。
道路が通れなくなるくらいになっているかとも思ったが、
そんなことはなく、普通に車も通っていた。
大騒ぎになっていたのはスーパーや飲食店、かな。
お金を持ちだす人もいれば、物を盗んでいく人もいる。
ま、明日地球が無くなるなら何でもありってことだ。
皆好きにやればいい。
私も好きに行動するだけだ。
どっかの誰かさんが壊してくれた自販機からペットボトルを1本拝借して、車に戻る。
そして、あの人に連絡を入れる。
今、何をしているのだろう。そんなことを想いながら。
『今、家出てそっちに向かってるwww』
わざとおちゃらけて。
本気で言っても相手にされなかったら、意味がないから。
あえてふざけて言っておいた方がいいのだ。
自分の為にも、相手の為にも。
すぐに返信が来るなんて思ってない。
だからそのまま携帯を置き、車を発進させた。
地球が滅ぶまで あと 38時間。
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