第五十六話『実験』

 暗号を解いたその先の文字列。

『実験記録報告書類』と書かれたそれを、今見て行く。


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『純シエル国民の臓器移植による、帝国民の魔法顕現実験』


 ※警告


 当計画は、帝国の最重要機密事項である。

 もしこの計画が関係者以外に暴露された場合、即刻排除を行う事。


 責任者は私、ツアー大佐を以って進行する。

 技術提供者はメイデン医師を据えている。


 その他の人員は数十人に絞る。

 再三記述するが、当計画は絶対に外部に漏れてはならない。


 実験概要を記述する。



 シエル王国の武力は目を見張るモノだった。

 魔法を生かした故の、その爆発力。


 あれを野放しにしておけば、帝国の安寧も危うい。

 故に現時点にて戦争を仕掛け、その打倒を図っている。


 だが滅ぼしてしまうのは勿体ない。

 そう帝国軍部が申した事により、当計画が発案された。


 内容は、名の通り。


 純シエル帝国民の全員が魔法を扱えるのは、どういう原理に基づいているか。

 かの魔法を以ってすれば『あの兵器』も破壊出来るはず。


 まず我々は臓器移植を用いれば、それが可能になるのではないかと画策した。

 だが、現時点の帝国の医療技術では不可能だった。


 シエルの眼球や内臓などを取り出し、移す前に。

 その部位が残念ながら壊死を始めてしまい、駄目になる。


 そこで外科医学の権威である、メイデン医師に協力を仰いだ。

 彼の腕は凄まじいモノだ。


 我々が悩んでいた要因を、何の気無しに解決して行く。

 故に、この臓器移植が間違いではなかったのも判明した。


 血液型が一致したシエル民の臓器ならば。

 壊死と拒絶反応を起こさない様、細心の注意を払えば……。



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 …………‥。


 ツ!“#と$%&‘()メイ)(’&%$裏切#$%&‘()により。

 当計画は破綻しました。


 ……ふむ。そうさな。

 見ているのだろう、エクセル。

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