第三十話『学』
明日朝。
私は帝国第一工業高校に来ていた。
帝国きっての名門校。
何故アカネは私にここの制服を託したのかはわからない。
明らか、不純な目的がある様に思えるが。
……考え過ぎか。まぁ、良い。
着たくもないセーラー服を身に付け。
相応のバッグを持参し、首筋の機械の調子を確認する。
「いやぁー随分とお似合いですねぇ」
その横で、お喋り妖精が顔を出す。
覚悟はしていた。だからわざと私は平静を装った。
「お世辞は良い。仮にも目標に近付けられるのですから」
「はいはいソーですね。でも似合ってますよ。絶世の美女!って感じで」
「……一昨日は人を殺してましたけどね」
呟くと同時に、バッグの中の銃器を確認する。
大胆に、だ。
近くには生徒も居る。
一昨日前に大事件が起きたと言うのに、依然として呑気だ。
学生はいいモノですね。
……本当の私は、それを味わえませんでしたが。
溜息混じりに息を吐き、
吸ってから私は歩み出す。
「兎に角。ここも復讐の為の大事な足掛かりです。本気で行きます」
「本気で、女子高生生活を楽しむんですねっ!」
「……うるさい妖精ですね」
小声で問答を続けながらも。
私は大胆不敵に、帝国の卵が集う学校に、足を踏み入れていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます