本番6 仮面の顎《アギト》

 


 相対性理論で高度が低い場所と高度が高い場所。

 高度が高い場所は重力値は低い。

 何故後世、最悪の女悪魔とされたモノノケが、若い男衆の中から美少年だけを自分が住む高層型逆ピラミッドの最上階に挙げようとしたのか。

 重力を振り切る第一宇宙速度を超える程の速度を持つ牽引式絨毯を作らせる契機となったその悪王の娘が、一緒に閉鎖的昇降台内部の上で蜘蛛のように張り付き昇降台の下へ、その悪魔的な相貌の眼窩から覗く眼が、自分が重力値が高い場所と低い場所高速で昇降している事で、脳圧と眼圧が彼女が生まれながらの水頭症として頭蓋骨を内部から圧迫している症状を更に酷く醜悪しゅうあくにさせていた。

 眼窩がんかから目は大きく飛び出るような状態へ、高速で上昇する時にその内部の圧力は、モノノケの肉体へ変える理由になっていた。

 100m程の高層塔なら数分息を止める位だが、誰もそのモノノケと一緒に乗ろうとする者はいない。

 一人の有望な美少年。王妃にも気に入られ、騎士団一個中隊を指揮していたその若者は、先王の妾腹めかけばらの娘が建てさせた高層塔に呼ばれた後で姿を消した。

 見学塔になっている、モノの塔最上階。王国の安寧あんねいなる様を見学する旅行客が持っていた旅行トランクが中身だけ捨てられ、紛失した後、案内していた旅行客が住む町出身だった騎士は、最後一人だけ案内された次の姿を消した。

 旅行客が高速昇降台で降り、最後に一人だけで降りる筈だった美少年騎士が、行方不明になった事実……。

 高層塔の高速昇降台の密閉空間で、醜悪な妖気は鳥類が尿酸を含むふんが火薬の原料になるように、まるで醸造された麦酒を飲み過ぎ、頭と足に尿酸が溜まったように足を引きずる。

 そのモノは昇降台の上に張り付き、まるで盗撮とうさつしているかのように、密閉された空間へ妖気ようきを、窒素と二酸化炭素が重合的に酸化した腐敗物の如く放つ悪臭。催淫作用を持つモノ。小便の成分が腐敗した元素番号15のリンはDNAを含む。

 空間へ獲物を、美少年を誘い、そこでその自分の妖気を嗅がざるを得なかった美少年の息を止めてしまったのだ。

 一度目、モノノケは彼を助けようと息を吹き返らせようとした時、彼は自らの舌を噛んだ。

 その高層建築物で奴隷として使役されていた美しい女性達は、彼を助けようとした。

 モノノケが度重なる縁組みを断られ、先王に跡継ぎを生む婿むこがいなかった時、その娘は若者をさらう醜悪な性欲の権現ごんげと化した。

 高層塔で奴隷として使役されていた美しい女性達は、先王の娘の暴走を止める事が出来ない立場だった。

 モノは、美少年と親しい女性を売春宿に売らせ、そこで美女を襲わせる切り裂き魔を作り上げた。

 美をねたみ、自分より醜悪な存在に優しいその小太りの女。

 モノノケの命ずるままに実行していたその中年の女は彼女に倫理観を育てる時間もないまま成長せざるを得なかった環境が、彼女に善悪の判断を持たせる事がなく、彼女は誰かの命令、言葉による支配を受けていた。

 王の名。偽のとのさまの名、権力者の名、美少年の名。その名前だけに従っていた彼女を騙した天の声など本当はなかった。

 高音域の周波数を自分の回りに、犬笛とされる調教用の笛を吹き、モノは周囲の自分の怨嗟の空間に歪む、自分のコエを、高音域の周波数と共に放つ念を、相手に天の声だと思わせた。

 その高層塔の最上階から、民衆を淫欲に騙す女は、先王の娘として、現在の王を権力で支配し、聖書でバベル塔と呼ばれたモノを同じ、権力者の娘が美少年だけを最上階にあげ、そこで逃げられないよう、自分のハーレムを作っていた女。

 聖書で洗礼のヨハネは、偽ユダヤ王の娘の求婚を断った後、首をはねられた。

 イエスと呼ばれたメシャフは、自由に恋愛をする事を許し、娼婦だった美女を改心させ、ビジュアルで選んだ美女を妻とした。

 王権力に従わなかった二人。

 王になるかとの誘惑に勝った二人が選ばれたのだ。

 金と欲望に負けない男。

 美女を呼び出す時、若者からの手紙として美女に渡し、彼女を売春宿へ売り渡したお金で困窮こんきゅうした若者への食料を買うお金にしていた悪知恵の働くその切り裂き魔女は、いつも懐に小刀を入れていたのだ。

 その切り裂き魔が見つける若者を呼び出すモノノケが、高塔上層階から高速昇降台で降りてくるのは夜明け。

 醜悪な尿酸が腐敗し、尿酸値が高い血液が溜める妖気が、自らの吐いた呼気の二酸化炭素を麦酒に封じ、その自分の意思を内部に埋め込むような麦酒を飲み続け、その尿酸故に自分の足を引きずり、同じ大地に立つモノを畏怖いふさせる。

 尿酸値を抑えるサクランボウ。

 チェリーの成分は痛風つうふうによい。

 桜の季節を過ぎ越し、春にでてこないモノ。

 閉じ籠る暗闇のなか、宴会を桜を見ながら行うモノ達が、ダレカに鏡を見せたのは、こくだったのだろう。

 モノはそれ以後、墓の中から出ていった。

 密室内の二酸化炭素がアルカリ性のウイルスを持つ胃ガンの原因ともされるピロリ菌は、母親からの唾液感染で移る。

 胃液をアルカリ化して中性にした胃液が消化出来ないモノが、醜悪な妖気となってモノの口から出ていた。

 尿酸値が高い事。肝臓で解毒出来ないアルコールが尿酸値を高める。

 


 フジュウッッッ


 ブジュウッッッっ!


 その閉鎖空間へ噴霧されて行く妖気。


 王国を見ようと観光立国だったこの国を見学する者達が、昼間高速昇降台を使う前。

 噴霧された妖気は、二酸化炭素としてではなく、尿酸が含む遺伝子がバラバラになり、マイクロRNAとしてウイルス化したそのあやかしの新型病魔。

 密閉された空間へ放たれ、見学塔でこの国の繁栄を見ようとする者達の体内に住み着き、悪魔的な妖しのウイルスは、細胞内圧で細胞を破壊し、後世、ンガボラ、エンボラとも言う出血熱と、ポールシフト後に言われるレトロウイルスとなった。

 ウイルスが待つのは、北と南がリバースし、東西ベクトルが逆さになる世界だったのだろうか。

 レトロウイルスは、寄生したその人間が逆さになる事を


 ノゾンデイルのだ・・・・・・。


 モノノケが傲慢な意思で他者を操ろうとする寄生意識は、モノを追い出そうとする意識へ攻撃を掛け、その意思に逆らうと、寄生した者を破滅へと、堕落の道へ堕ちる。

 モノノケが振りかざす神の法と真逆の道で、モノが意思を植えようとする時、その反対のベクトルを取る事で、モノとは反対の行動を取る事は。

 倫理を外す方向へ自らを向ける意思で、

 傲慢なモノノケ女へ最後まで言い逆らう


 タメダッタ・・・・・・。



 男か女か。自分で姿を混濁こんだくさせたその物。

 物と鬼が中間で混濁するその存在が反芻しないようにする方法があったが、古来その手は封じ手とされていた。

 牛は一度食べた物を胃の中で消化した後で口に戻し、そこでまた唾液で消化してまた胃の中に戻す。

 唾液で消化。

 胃液で消化。

 また唾液で消化。

 胃に戻す動物を食べていいとしたユダヤの食料の戒律カシュルート


 物の口を頭から紐を顎に。

 反芻はんすう出来ないようにした物は、その体内で自滅する破滅ウイスルを体内で宿す。

 酸化腐敗と二酸化炭素を依りとするウイルス。

 酸化とアルカリを中和する体内ウイルスは、増殖し癌を誘発させる時、その反芻出来ない=牛を食べないその物は、体内でアルカリで胃液をニュートラルにする菌の細胞に寄生し、物の第一胃、第二胃を破壊し、物を破壊する。

 物の口を封じる……。

 狂った牛と化した脳内の空洞に巣食う物が、脳内で生み出された寄生情報として、物の脳内を内から水を外に排出するように、物の頭蓋ずがいを破壊する。

 物が破壊される封じ手……。

 牛の唾液と鼻汁、牛の放屁ほうひと口からの吐瀉物としゃぶつ

 狂った牛は、牛を食べない人と同じように、牛を食べない事で鬼道を日本へ生み出した。

 新羅しらぎ牛頭ごず信仰は、スサノオとして、彼の頭を鬼畜にしたのだ……。

 牛頭の王は、シオンの王だったか?

 若い牛の王は、年老いた牛の王を反逆する。

 年老いたヒンズーの牛は壊れず、若い牛の王の肉体は壊れる……。


 物とされる精神……。

 

 喉と耳の分離。

 口を閉ざす。喉を閉ざす。

 アダムの林檎を梨にした時、物に寄生される存在との同調が解けるなら。

 物の口は塞ぐべきだったのだ。

 王が物の口を高い塔に上げた時、物の声は天から大地を這い、また上昇し、空に昇り、大地を襲った。

 開かぬ口がテレパシーを生み出す時、物の目が口を開き、物の眼を閉ざす時、口は閉ざされる。

 物の眼が死ぬまで、光は来ない。

 永遠に闇の中へ至る空間の酸素を消費しない空間で、中和ウイルスはDNAを逆転させ、逆転写RNAとなって、人を物に変える。

 RNAを物とした時、それはモノでしかない。

 物のRNAをDNAに変えない為の空間。

 ヒトラーの細胞が寿命遺伝子活性化で増殖し、人からモノへ変化した時、RNA増殖が万能細胞を増殖させた。

 その光がただ当たっていただけで。

 ピサの斜塔しゃとうが生み出す影。

 一定の暗闇でしかない部分に、それはいた。

 その影が生み出す細菌が持つ能力……。

 人が求めた能力。

 異常なまでの力。

 土を食べた人間が手にした異能力。

 インドで土を食べた人間がいたが。

 アギトは顎。

 仮面で縛った顎。

 ただモノの最後を見た人は能面のように冷徹に、1000年戦争が一人の女王を殺した時代。

 傲慢な女が男を喰った時代。

 冷徹に彼らはそのモノのアギトを見下ろした。

 そして自分の口を閉ざすように、傲慢な男と女を一体化させたそのモノを物を割った。

 額の眼が見る映像を脳内で再生する時、寄生体は入り込む。

 額を割る柱が左右へ分離する視力を戻し、互いの前で戦う大天使カマエルが互いの霊の目を閉ざす。

 悪魔は神を見ない。盲目の神サマエル。

 男女の左右を持つ人の額に銀の釘を差すように、元素番号47の銀を示す斜め47度の刀傷をモノに付け、額の眼を封印した……。


 

原典


シュメール神話 エヌマ エリシュ


解読不明部分より抜粋~




本番6 了





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