第4章 サマーバケーションライフ
Prologue さぁ、思い出を語ろう
夏休み。
世界各国の学生ならば楽しみが盛りだくさんの長期休暇は、この世界唯一の魔導士育成学校・聖天学園にもある。
聖天学園の生徒には一般学校同様に出る夏休みの宿題は、魔法学と魔法実技だ。
他の一般科目は『特にする必要性なし』というIMFからお達しで、かつては散々苦しめられた山のような宿題はなくなったが、その代わりにこの二点が夏休みの宿題として出した。
一つは、一学期に教わった魔法学の内容を書き写した専用テキストを解くこと。
コンビニでよく見かけるノート一冊分の厚さのせいなのか『明日やろう』精神の生徒が多く、夏休み最終日で痛い目を見るのはもはや恒例と言っても過言ではない。
もう一つは、魔法実技。
八月一日から三一日までの間に規定以内の結果を出すというものだ。規定以内の結果を出せなかった生徒には、二学期初日から放課後の居残り訓練を課せられる。
なので、生徒のほとんどは居残り訓練から逃れるためになるべく一日で終わらせようと躍起になる。
やり方は至ってシンプルだ。学園側から指定された日時に登校し、己が得意とする魔法による戦闘スタイルに合わせた実技を五つある訓練場のどれかで行う。
訓練内容としては近距離戦闘が得意とする魔導士なら、修復魔法が付与された魔導具搭載の人型ロボと戦う、というものだ。
ちなみに結果は、訓練場に搭載されているAIか出勤している教師に任せている。
……と、こんな感じに聖天学園の夏休みは宿題内容を除けば、一般学校とそう大差ない日々を過ごしている。
世間は帰省ラッシュや海水浴やプールなどの水場でのトラブルが多いが、もちろん楽しい思い出作りもある。
それは聖天学園に通う魔導士候補生達にもある。
これから送りするお話は、魔導士達の夏休みの思い出。
楽しいこともあれば、裏では良からぬことも起きている騒々しい日々。
そんな小さな波乱も混じった彼女達の楽しい夏休みを、どうぞご覧ください――。
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