愛に飢えた世界で教会に幽閉された悪役令嬢に愛を乞う

同画数

第1話 婚約破棄後というやつ

世界が愛に満ちている、それだけが私の願いでございましょう。


逆ハーレムというのはヒロインに愛をくれるもの。それでは私に愛を乞うために形成されはハーレムはなんでしょう。

元悪役令嬢の攻略者によって作られた愛に飢えた方々の集団。それを皆は逆ハーレムと呼ぶ。それ正しい使用方法でしょうか?




広場で子供たちを遊ばせている時に、何かトラブルがないかを見ている時、声が聞こえた。聞こえたと言っても耳で聞き取ったわけじゃない。頭の中に響いてきた。


(お前つまんなくね?なぁー、不満があるなら俺と一緒にあっちに行こうぜ?)


あっちってどっちですかね。




教会に戻っても続く。


(お前暇ならこっち来いよ。楽しませてやるぜ?)


また同じ声が私に囁く。今度は耳元で。振り向くと美しい外見の男が立っていました。立っていました?いやここは2階です。彼は窓の外ですよ。え?浮いてる?え、こわ。怖いです。私はそのままカーテンをシャッと閉めました。




修道士というのは、やることが多いのです。絶対管轄外だろとか思う仕事とかも無理やりやらされることもあります。マジありえないです。その中の孤児を引き取って育てたりとか、教育ってすごい大変なんですよ。




小さい子は一人で歩けない子もいるし、かたや勝手に悪戯をしたりして困らせる子もいるんです。

年の差が開きすぎて喧嘩とか大きい子が小さい子にぶつかるだけ怪我されたら困るし。




いや、まあその年で親に捨てられたとかで性格曲がっちゃったのかもしれないですけど有り得ないぐらい疲れますよ、ええ。


年上としての自覚が芽生えずに、悪知恵だけは歳をとる事に身につく子もいます。

ひねくれてても割と分かりやすくて可愛いっちゃ可愛いんですけどね!

愛は平等に。たまにボーナスをつけて。




あれだけ婚約者である王子に愛されたくて必死でマリーンさんをいじめてまで王子の愛を乞うていた私は、婚約破棄をされ教会に幽閉され愛を与える側になったのです。それにより私の価値観は変わりましたとも。それはもう色々と。




そして最近新たに仲間に加わったのは吸血鬼のヨーゼフ君。彼は私をよく隣の国に誘います。隣の国は彼の国だそうです。


彼は私のことを面白いと思ったそうで誘ったのだそうです。何が面白かったのかと申しますと、私の心に二つの感情が内在しているそうで、それも真反対な。不思議に思ったのだそうです。




まぁ、文句はあります。探せばいくらでも。しかしなんというかこう、奉仕精神と言いますか助け合い精神と言いますか、まあ実際そんな立派なものじゃないんですが、それなりにひねくれた子供たちが可愛くなっちゃったんですよね。はい。悪役令嬢形無しですが。




教会で子供たちと遊んでいる時、悪い子なんて本当はいないんじゃないかなんて思ってしまいます。いたずらをして困らせるのは皆に気づいて欲しいんです。きっと私達を試しているんです。だからでしょうか。私はそれでも大好きだよって抱きしめてあげたくなってしまうんです。




悪戯してしまっても意地悪をしてしまってもごめんねって謝れる子達なんです。

「うるせー」

なんて言いながら顔を真っ赤にして私に抱きしめられている彼らを見ている私は今とっても幸せです。満ち満ちております。




きっと今頃王子様と婚約したマーリン様は仲睦まじくいらっしゃるでしょう。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る