こんな僕にも脚光を!

月風レイ

第1話 恋人限定特別招待券

 俺の名前は鈴木和也スズキカズヤ、17歳、ごく普通の高校生2年生である。高校生活では特に目立つことなく、帰宅部として毎日を過ごしている。

 高校生活が早一年過ぎてしまったわけだが、特に俺の人生にスパイスを与えるような出来事など何一つ起こることなんて、なかった。

 いや起きて欲しいわけではない、起きたら起きたで後々めんどくさいことになるわけであって、俺はそんなことを一切望んでいない。

 俺はなんの取り柄もない普通の高校生らしく、少しだけエッチなところを持ったまま、気ままに生きていきたいと思っている。


 今日も無事にハプニングがなく、授業が終わってくれたので、そのまま家に帰ることにする。


 と、そんな時に1人の女の子が俺に飛びついてきた。

 ここで飛びついてくるのは学校1の美少女とか、そんなハプニングなんかでなく、俺と昔から仲良かった女の子だ。

 こいつの名前は佐藤梨沙(サトウリサ)。

 まぁ、言わば幼馴染というわけだ。

 だからといって勘違いしないで欲しいのは、設定上あくまでこいつは幼馴染に分類されるのだが、ラブコメ展開になるような設定の幼馴染なんかではない。

 本当にただ昔から仲良かった女の子ってなだけであって、こいつも俺を異性として見ているなんてことはなく、そして俺もこいつを異性として見ているわけでもない。

 まぁ、おっぱいを無償で揉ませてくれるのであれば俺も拒みはしないのだが。

 まぁ、そういった仲なわけだ。

 ここまでこの幼馴染を関係性だけを説明して、外見に全く触れていなかったために付け加えておくが、まぁ、この幼馴染はとにかくちっこい。

 身長140cmとちっこくて、そしてあれもちっこい。

 だからおっぱいを無償で揉ませてくれるなんてことも実現しそうにない。

 まぁ、別にそんなことは起こらなくていいのだが……

 まぁ、ちっこくても揉んでいいって言うのなら、触ってあげないこともない。

 

「カズヤぁぁ! 今日も一緒に帰ろぉお!」


 元気よく抱きついてこんなことをのたまう梨沙。

 こいつには梨沙なんて大人びた名前は似合わなので、


「わかったから……早く離れてくれない? リス!」


「またぁ! またわたしのことリスって言ったぁぁ!」


 俺がリスと言うと頰をぷくっとさせて、怒っているような表情を向けてくる。

 やっぱりこいつは梨沙なんかじゃなくてリスだ。

 だからこいつのことはこれからリスと呼ぶことにする。


「あぁぁ。あぁぁ。俺が悪かったよーごめんごめんー」

 

 俺はちっこいリスが怒った表情を向けてきても、大して怖くないのでとりあえずご機嫌を取るためにもここは一つ軽く誤っておく。


 まぁ、こいつにはこんな感じの対応で全然構わない。

 

 むしろこんなけでも関わってあげている俺には感謝していただきたい。


 俺が平謝りしたのを少しばかり不服そうに見るリスだったが、諦めたのか


「もぉお! じゃあ、帰るよ!」


 俺の袖を引っ張って、無理矢理にも一緒に帰らせようとする。

 別に俺もこんな彼女に反抗するわけでもなく、黙って引っ張られることにする。

 これも俺の何気ない毎日の一環であって、特にここではハプニングも起きることもなさそうなので、俺はとくに気にしない。


 俺とリスは校門を出て、帰路に着く。

 家は何故だか、神の采配なのかわからないが、正面同士で家に帰る道は完全に一緒だ。

 だから俺とリスが一緒に帰っても違和感が全くないわけで。


「ねぇ。カズヤぁ! ちょっとスーパーよっていい?」


 学校から家へと帰る道にはトップズバリューがある。

 きっとこのリスは間食用のお菓子を買うのだろうが……

 俺は甲斐甲斐しくもいちいち口にしない。

 このリスが間食のポティトチップズを食って、コーラをガブガブ飲んで、そのせいで太ったとしてもこれは注意しなかった俺の責任ではなく、リスの責任だと俺は思う。

 まぁ、そんなことは当たり前なんだけど。


 俺は別にリスの言葉に反抗的になって、否定するわけでもなく、いいよと目で合図をしてリスの後ろを追随する。


 スーパーに入って、向かう先はやっぱりスナック菓子コーナーであって、リスは予想通りデブ活に精を出すようだ。


 このことが度々あるのだが、何故だかリスの体系は維持されたままで、まぁ、胸も身長も食っても食っても大きくなったりしないよは可哀想なところであるのだが……


 リスはスナック菓子を買うだけでもカゴを使うようで、スナック菓子コーナーのポティトチップズの全種類をカゴへと詰めていった。

 その結果カゴが満タンになってしまっていて、満タンになったカゴを片手に、2リットルのコーラを片手にもつ形になっていて、その光景はどこかの米国の肥満男性を彷彿とされる姿だった。


 そんな姿でレジへと向かっていく幼馴染のリス。


 その会計なんと3000円ピッタリ。


 そして、リスが持つお金も3000円ピッタリと言う奇跡が起きた。

 でも、これは奇跡なんかではなく計算だったりする。

 リスは俺に飛びついてきて、幼い容姿をしているもののこう言うところで本性を発揮してくる。


 こいつはこうみえても狡猾なやつだったりもするのだ。

 人は見かけによらないなんて誰かが言ったが、こいつはそれに当てはまるような人物なのだ。


 そして、いつもはお釣りなしでレシートだけが帰ってくるのだが、今日は特別らしく、レシートに紛れて何かが入っていた。


 なんだろうと思ってリスの手元を覗いてみると、


「『恋人限定特別招待券』」


 なんていう、なんだか怪しい紙片が目に入った。


 この時はまだ知らなかったが、この券は俺をあんなハプニングに巻き込む素敵な券であることを!

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