銃と鎧

蛇いちご

第1話 鎧

「各個装備を点検しろ」

分隊長の声で分隊である7人全員が各々の装備を点検し始める。

腰のベルトに吊った剣を鞘から引き出し問題ないか確認する。

同じく、腰のベルトに付けた2つのマガジンポーチにマガジンがきちんとそれぞれ入っているかどうか確認する。

腰のベルトから吊らし、太ももに固定したホルスターから拳銃を抜き、マガジンを抜き出しスライドを後退させ薬室ないに弾丸が入っていないことを確認し、再び拳銃を、マガジンを挿入して、そのままホルスターにいれる。

この様にして、我々の分隊全員が装備を点検し終わると、分隊長が出撃の合図をし輸送機から降り、2450年の初任務を開始したのであった。それぞれの、鎧に身を包んだ分隊員は作戦を開始したのだ。


~大日本国の復活と偉人たちの活躍~

21世紀、地球には様々な国があり人々は平和に暮らしていました。しかし、ある時

当時発達していた中国という国がアメリカという国と戦争をしました。すると、中国は正面衝突では泥沼に陥ることを予期し、当時発達していた「インターネット」という情報発信機関を用いてアメリカやその他の当時たくさんあったアメリカの味方の国々の一般人を対象に反政府活動を行わせる軍事作戦をとりました。この作戦は非常に成功し、アメリカやその味方の国達は一般人の相次ぐ反乱により戦争を続けられる状態ではなくなってしまったのです。しかし、その一般人による反乱の波はあろうことか中国にまで到達してしまい、結果として多くの国々が滅んでしまいました。

その中では私達の国、大日本国も例外ではありませんでした。しかし、他の国々が分裂し争いあい未だに復活できなかった中、我々の大日本国はいち早く、偉人たちの活躍によりまとまりあい復活したのです。それでは、その偉人の中の…


薄暗い博物館の中で小学生児童用に作成された映像が、白いスクリーンに映し出されていた。遠足で来た小学生6年生の児童たちはみなそれぞれの見方で、椅子に座り、映像を見ていた。

そんな中、後ろに立っていた1人の教員のポケットに入れてあった携帯がバイブレーションを発した。

教員はマナーモードにし忘れていた事に気づき、他の教員からの白い目に耐えながらペコリと小さく頭を下げた。

携帯をマナーモードにするべく画面を見る、そこには、

偉大なる大日本国防衛軍木曽中隊、イングランドの秩序再構築支援の為にコッツウォルズに派兵

というニュースの見出しが書いてあった。


その日、わたしは非番だった。その為、やることがなくコッツウォルズの兵舎で半日ほど本を読んだり、古い映画を見たりして過ごした。とにかく暇だった。新設されたばかりの兵舎であり娯楽は殆どない、更には周りには溢れんばかりの緑しかなかったのだ。

正午過ぎ、昼飯を食べ終えると何一つやることがなくなってしまったので、人が少ないせいで一人部屋となってしまっている、兵舎の自室で自分の鎧を磨いていた。

鎧自体が恐らく生きており、いかに研磨したところで表面の輝きは即座に再生した鉄の皮脂によって覆い隠されてしまうのだが、そうしているだけでなんだかとても生産的なことをしているのではないかという錯覚に陥ることができたのだ。

そうして、私が鎧を磨いていると、後ろから

「おいっ」

と呼びかけられた。

振り返ると、机を挟んで反対側にある私の部屋の戸を開けたところに、同僚と見たことのない兵士がいた。

肩の階級章を見るところによると、新入りのようだ。

前の所属はこの部隊に入るとなかったことになるのでどれほど従軍してきたかは正確にはわからないが、雰囲気からしてそれなりの経験があるようである。

「今日から、お前付きの部下だ、世話してやってくれ」

そうか、なるほどコッツウォルズにもついに新人が配属されたのか、左遷か?

部下は気をつけをし、通常の手のひらを下に向ける敬礼をし、

「村上優と申します、よろしくお願いします」

と言った。

同僚はそれを見届けると、それじゃあよろしくと言って新入りを置いて去っていった。

新入りの村上君は戸の前で敬礼をしたまま行動の指示を待っているので、中に入るように促したのち、肩の力を抜きリラックスするように言った。

「ここは、今までの様な軍隊然とした軍隊じゃない、集団行動よりも個人技術の方が重視される所だから規律はさほど気にするな、いれば忘れる」

「了解です」

「取り敢えず、今日から君は俺付きの部下だ、相棒みたいなものだと思ってくれて構わない、よし、じゃあ、まずはこの組織について説明しよう」

「一応説明を受けて参りました」

成る程、外部からの説明か、

「では、その内容を言ってみろ」

「この木曽中隊は主に隠密作戦を行う小隊2つとその他の施設維持、補給、給仕を目的とする小隊1つからなっており…えー以上であります」

「やっぱり、外で説明される我が隊は少々違う様だな、まず、俺たちの主な任務は少人数での敵勢力の武力を介した殲滅、隠密作戦は必要にかられればやるが主ではない、それに確かにここには3個小隊がいるが個々の人数は小隊と言うには心許ない、種々の事情があってな」

村上君はそう言われると、呆気にとられた顔をした。

「慣れればわかる、さてと、じゃあ具体的な業務内容を教えよう」

そう言って、自分の鎧の兜を鎧立てからとり目の前の机に置いた。

「これは、鎧ですね、これをどうするんですか?」

「お前、知らないのか、こないだ国内でも使われたものだぞ」

「いえ、存じません」

そう言われたので、説明をする為に部屋の左奥にあるスチール製の物入れに近づきそこからできるだけ物音の立たない拳銃とそれ用の弾丸を取り出した。

歩きながら、マガジンを抜いて左手に持ち、太ももに照門を引っ掛けてスライドをひき薬室の中を確認する。

磨き上げられた薬室が照明の光をあび銀色に光る。

消音装置と一体化したその拳銃は弾薬にすら消音機構が付与されており、稼働音以外は一切しない。

稼働音すらも煩わしいのでマガジンリリースボタンの上にある、スライドの後退機構を働かせない様にするレバーを押し下げる。

「まぁ、見てな」

そう言って、マガジンに弾薬を入れ、拳銃に差し込みスライドを引いた。

出っ張りのない、機能性を重視した兜に拳銃を向けるとトリガーガードに指を入れ引き金を引いた。

少し甲高い音がした。

そのまま、兜を取り上げ、弾丸を撃ち込んだ方を新兵に見せる。そこには何の後もなく最初と変わらない銀色の曲面が広がっていた。

机の上には潰れた弾頭が転がっていた。

スライドの後退機構停止レバーを押し上げ、スライドを引き、蹴り出された空薬莢を床に落ちる前に左手で受け止める。

「分かったか?これが俺たちの商売道具だ」


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