359ページ目…四天王・水宴のエルム
大量の
とは言え…やはり、コイツも授肉しているのか、どう見ても
つまり、簡単に言うと弱体化していたのである。
「クックックッ!どうした?黙り込んで…。
もしや、雑魚どもを倒して調子に乗っていたが、我が四天王と聞いて恐れを成したのかな?」
どうやら僕達が黙り込んでいたのを勘違いしていた様だ。
もっとも、声に出していないだけで、今現在、僕達は念話で話をしていたりする。
〔
〔あぁ、四天王・水宴のエルムって名乗ってからな…。〕
〔水洗?トイレ?〕
〔ローラ…水洗じゃなくて水宴…な?〕
よもや、念話でも聞き間違いをしてくれるとは思わなかった。
いや、むしろイメージをそのまま相手に伝えたり出来る念話で、聞き間違いが生じると言う事は、僕の意識がそうさせたのかもしれない。
〔で、ですが、このエルムと言う上級魔族も肉体を持っていますよね?〕
〔あぁ、どう言う訳か弱体化してるな…ただまぁ、本人は偉く自信満々みたいだけどな。〕
「でも、四天王と名乗ってますので、所詮は先程のオルマと言う
「ちょッ!?プリンさんッ!?」
折角、相手に聞かれない様に念話で会話しているのに、声に出さなくても…しかも、わざわざ言わなくても良い一言を追加して…。
当然、オルムザコと同じと言われたエルムは、怒りを顕わにした。
「お、お前等…我を四天王の中でも最弱であるオルムを同じだとッ!!」
そう言って、身体をプルプルと振るわせる。
それに伴い、エルムから溢れ出す魔力…その魔力を感じ、オルムの強さとは別物だと思った。
それにしても、テンプラ…もとい、テンプレである。
当然の様に一番最初に倒したグループの一人は最弱と罵られるみたいだ。
「
「アリス?任せてとはどう言う…。」
「この程度の敵、
ですので、この敵の相手は私がします…
アリスからのまさかの言葉に、僕は言葉を失った…だが、話はそれでは終わらない。
「あらそう?なら…
「
「ア、アリスさん、無理しちゃダメですからね?それと、必ず追いついて下さいね。」
と、何故か、
「き、貴様等…我を何処まで愚弄すれば気が済むのだッ!!」
顔を真っ赤にして怒ったエルムは、目の前に3mはあろうかと思う大きな水の塊を作り出すと、グングン圧縮して直径5cm程の水弾へと作り替えた。
「これでも喰らえッ!!
そして放たれるエルムの魔法?…だが、それは僕達に届く事はなかった。
何故なら…。
「させません!」
『ドバシャッ!!』
アリスが間に飛び込んだかと思うと、その手に持った盾で、見事にインターセプトする。
そして、周囲には大量の水が撒き散らかされた。
「貴方の相手は私だと言ったはずです!さぁ、
いつの間に装着したのか、決戦用に改造した生きてる鎧『玄武』を装着したアリスが圧縮された水弾の前へと立ち塞がる。
そして、その亀の甲羅を模した盾により、その水弾を難なく受け止めたのだった。
「な、何だとッ!?その様な
「…先程から黙って聞いていれば、私の
流石に温厚な私でも、いい加減、
よもや、楽に死ねると思わないで下さいませ。」
アリスはそう言うと、チラリとこちらを見ると再びエルムへと視線を戻す。
「あらあら、あのアリスさんも本気でキレてる様ですね。
まぁ、アリスさんが本気になれば、あの程度の相手なら問題ないでしょう。
なので、
「い、いや…でもそれは…。」
アリスだけでも勝てると言うのであれば、任せるのもありだろう。
だが、それを言うなら全員でボコった方が、すんなり決着が付くのではないだろうか?
「だ、大丈夫ですよ…あぁ見えて、アリスさんは強いですから…。」
「
「そうは言っても…だな…。」
残念ながら、その凶暴化するアリスを僕は今まで一度たりとも見ていないのだ。
「「「大丈夫 (です)ッ!」」」
「ハ、ハイッ!!」
しかし、嫁~ズ(アリス除く)の息のあった大丈夫と言う言葉に気圧けおされて、ハイとしか返事が出来なかった…。
まぁ、確かに僕が心配性なだけと言うのは否定出来ない。
そもそも、エルムとやらが僕達をまとめて殺そうと放った魔法を、アリスは、いとも容易く防いでみせたのだ。
つまり、所詮、エルムはその程度の力しかないと言う話である。
懸念するのは、エルムがまだどれほどの力を隠し持っているのか…と言う事だろう。
まぁ、そう言う意味ではアリスも同じなのだが…。
「分かった…アリス!僕達は先に行く!
だが、油断せずに戦い、無理だと思ったらすぐに逃げるんだ、分かったなッ!!」
「はい、畏まりました!」
アリスに『命を大事に』を命令すると、アリスに背を向け僕達は次の部屋へと走っていく。
どうかアリスが無事であります様に…そう願いながら僕達はこの部屋を後にしたのだった…。
◇◆◇◆◇◆◇
「クックックッ、そろそろ待つのは良いだろうか?」
「はい、大変お待たせいたしました。」
「ふむ、では別れも済んだ様だしあの世とやらに送ってやろう。」
「いえいえ、大変申し訳御座いませんが、私は
「クックックッ、そう言うな…貴様の首を、お前の主に手土産として我に楯突いた事を後悔させてやろうと言っておるのだ!」
しかし、アリスが本当の意味で大人しかったのは此処までだった。
何故なら…突如として、アリスから光が漏れだしたからだ。
「あぁん?じゃかましいんじゃおんどりゃボケー!
さっきから黙って聞いてりゃー調子にノリよってからに!
おんどりゃ、生まれてきた事、後悔させんぞワレコラーッ!!」
温厚?誰が?と言わんばかりに、ブラウニーと言う事もあり殆どメイドみたいにお淑やかに過ごしていたアリスではあるが、最愛の
そう…今まで持って無かった攻撃性を、此処に来てようやく
その結果…アリスはブラウニーからハイ・ブラウニーへと進化を果たしたのだった…。
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