346ページ目…クズハの覚醒【1】
あれから、僕達は食事を終えると、すぐにテントの周りを探索する事にした。
実は、先程も言っていた事だが、クズハの尻尾が完全に生えていないのは経験値が僅かに足りず、中途半端に生えているのでは?と言う結論に達したからだった。
それからの行動は早かった。
何せ、魔王に戦いに挑むと言う事もあり、戦力増強は急募なのだから…。
その為、直ぐに戦力増強が可能であろうクズハの経験値稼ぎは急務となった。
ついでに、神獣としては、まだまだ子供であるローラも連れ、僕達は周囲の探索に出た。
もっとも、基本的に戦うのはクズハとローラである。
「これで、トドメです!狐火乱舞ッ!!」
次の瞬間、巨大蜘蛛の魔物に、大量の狐火が降り注ぐ。
『チュドドドドドドーン…ボシュ!』
次々と降り注ぐ狐火の火力に押し切られる様に炎上した巨大蜘蛛。
そして、残り数発の狐火が蜘蛛に当たるか当たらないかと言う距離になった時、限界を迎えた巨大蜘蛛の魔物は黒い霧となり消滅した。
「クズハ、狡い…ローラがトドメさそうとしてたのに…。」
「ご、ごめんなさい!ですが、ちょうど良いタイミングだった物ですから…。」
この世界の経験値は貢献度によって変わってくる。
特に
とは言え、僕とクズハとローラ…この3人で行動しているのだから、そんな心配もない。
何せ、ローラの機嫌が悪くなっても…。
「ローラ、クズハも悪気があってローラの邪魔をした訳じゃない。
それに、今はクズハのパワーアップの為に狩りをしている訳だし…とは言っても、ローラだって頑張ってるんだから、ご褒美を上げなきゃね。」
僕はそう言うと
こう言う時用に用意している少し高価な干し肉である。
すると、ローラの顔に花が咲いた。
まぁ、当然ながら花が咲いたと言っても実際に本物の花が咲いたのではなく、ローラの笑顔がまるで花が咲いた様な笑顔だったと言う訳だったりする。
「はい、ローラ…これで、機嫌直してね?」
そう言って、僕はローラに干し肉を渡す。
すると、ローラは返事もそっちのけで直ぐに食べ始めた。
「それで…
「う~ん…
クズハ、今はどんな感じ?」
「な、何て言って良いのか…もう少しって感じなのですが、その…何が足りないのか…。
少なくとも、もう経験値は必要ない気がします。」
「だってさ、なら一旦テントに戻ろうか?」
「「はい!」」
その後、僕達はテントに戻るとプリン達と合流。
そのまま休憩に入り、夜を迎える事になった。
★ ☆ ★ ☆ ★
「えっと…今日は、クズハの番だっけ?」
「は、はい…よろしくお願いします。」
クズハをベッドに招き入れると、まずは優しくキスをする。
すると、今度はクズハから…お返しにキスをしてくる。
そして…それは次第にエスカレートして行き、とうとう互いを求め出す。
こうして最後には一つになり…そして、夜が明けた…。
『ピチュンピチュン、ピチュンピチュン。』
もう朝か…しかし、今日の鳥の鳴き声は、何時にもまして変な鳴き声だ。
何て言うか、子供の玩具の光線銃みたいな感じの安っぽい音に聞こえるのだが…。
「お、おはようございます、
どうやら、アレから一つになったまま寝てしまった様だ。
その為、いつも以上にクズハが近い気がする。
「おはよう、クズハ…そのまま寝ちゃったみたいだけど、重くなかった?」
抱き枕の様に抱いて寝ている為、腕や足がクズハの上に乗っている状態なので、気になって聞いた。
「は、はい…むしろ、ご主人様を感じられて気持ちよかったです。
正確には、今も
はて、今も…とは、何の事だろう?
「あ、あの…もしかして、本当に気が付いてないんですか?
クズハに言われて、下半身に意識を集中する。
すると、確かに下半身に違和感がある。
もっとも、違和感と言っても気持ちが悪い訳ではない…むしろ、凄く気持ちが良い。
何て事はない…男なら誰でも経験があるであろう、
それが、僕の寝顔を見て喜んでいたクズハと、よろしくしてしまった様だ。
「え~っと…その…。」
「あ、あの…
何だか、自分でも不思議な位、凄く
そうまで言われたら仕方がない。
据え膳喰わぬは…と言う言葉も元の世界だけじゃなく、こちらの世界にも似た言葉がある訳で…。
僕は、クズハのリクエストに応え、力の限りクズハとの戦いを楽しむのだった…。
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