278ページ目…護衛依頼【8】
「それで…みなさん、調子はどうですか?」
正直な話、
特に、身体の疲れというより精神的な疲れによる物が多い。
まぁ、普段はしない、他の人を守りながら…なんて事をしているのだから当然の事かも知れないが…。
で、先程も言ったが、プリンはどうか分からないが僕は比較的疲れている訳で…。
そんな事から、Bランク5人組のパーティーとは言え、かなりキツかったのではないか?と聞いてみたのだ。
すると、ケビンさんが答えてくれる。
「そ、そうですね…そこそこドロップしました。
武器で言えばクレイモアが1本、ロングソードが1本、それと短剣2…あと槍が1本ですね。
それから防具で言えば兜と鎧、それと盾が各1個ずつだったかな?」
ありゃ、聞いた事と違う返事が返ってきた…まぁ、確かに誤解を招く聞き方だったな…反省。
って、少し上から目線な話し方が、丁寧になってるな…僕がAランクと言うのを知って少し敬遠してしまったのかも知れない。
「そ、そうですか…結構、ドロップしてますね。
ですが、僕が聞いたのは、みなさんの体調のつもりだったんですけど…ね。」
僕はそう言うと頬をポリポリと掻く。
まぁ、言い手の粗相は聞き手の粗相と言う事で、責任転嫁をして…と言うのは大人げないので素直に謝るとするか。
「えっと…紛らわしい聞き方をしてスイマセン…改めて聞きますが、みなさんの体調はどうですか?
正直、面倒な敵が多い気がするんですが…。」
それに答えたのは、やはりリーダーであろうケビンさんだ。
「そ、そうですか…ダンジョンで調子は?と聞かれる時は、ドロップの回収の事を聞かれる事が多かった物ですから、つい…。
えっと…皆の体調でしたね。
そうですね…皆も所々に怪我を負っていますが、どれも軽傷ですね…。
まぁ、ここに
あとは、装備に関しては…所々、損傷が激しい部分もあるみたいですが、まぁ…しっかり休憩を取れば、地上に戻るまでは大丈夫だと思います。
まぁ、武器に関しては最悪、ドロップ品を使いますよ。」
「なるほど…そちらは、僕達と違って武器のドロップがありますからね…。」
うん…やはり、そう考えると武器も消耗品と呼べるので武器のドロップと言うのはありがたい話だ。
「へ?そちらは武器のドロップが無いんですか?」
「えぇ、残念ながら…僕達のドロップ品は、兜。鎧、籠手、靴の一式が2セット分ですね。
まぁ、その内の1セットは見ての通り、アイアンさんに装備して貰っています。
あとは、武器が手に入ればダンジョンを出れば護衛の依頼が完了となるんですけど…ちょうど安全地帯があったので、休める時に休んどけと…今日の攻略は終了にしたんですよ。」
「なるほど…そちらはAランクがいるとは言え、一人はCランですから攻略も大変でしょうね…。
そうだ!今日は俺達も無理せずに終了しますので…明日、そう…明日、一緒に攻略しませんか?
実際に、Aランクの戦い方も見てみたいですし…ダ、ダメでしょうか?」
う~ん…確かに良い申し出だと思う。
そもそも、相手のパーティーは5人組であり、しかもBランクのパーティーである。
それも、彼等は、ここまで来るのに大した怪我もしていない。
クズ男…じゃない、クゾーとかみたいな実力不足のヤツ達でもないのだ。
とは言え…流石に、僕が一人で勝手に決めるのは、ちょっと問題がある訳で…。
「えっと…返事は、ちょっと三人で話し合ってからで良いですか?」
「あ…そ、そうですね。
俺も誘って置いて何ですが、皆の許可を貰っていませんし…まずは他のメンバーの意見を聞かないとですね…。」
「まったく、ケビンったら…まぁ、私はその意見には賛成だけどね。」
と、リーナさんがケビンさんに同意し、他のメンバーもウンウンと肯いている。
ふむふむ…ケビンさんの方は問題ないようだ。
さてさて、こっちはどうなる事やら…。
◇◆◇◆◇◆◇
「って事になったんだけど…アイアンさん、どうしますか?」
と、アイアンさんの意見を聞く。
何故、プリンに聞かないかって?だって…。
「私は、旦那様に従います♪」
と、言われるのが分かっていたからだ。
「へ?私ですか?もちろん、私はカタリベ殿にお任せします。」
「いやいや、お任せします…じゃないでしょ!?
そもそも、僕とプリンは、アイアンさんの護衛なんですから、ちゃんとアイアンさんも考えて下さいよ…。」
丸投げ状態はどうかと思うので、アイアンさんにツッコミを入れておく。
「そ、そうですね…ですが、既に私は役に立っていませんし…カタリベ殿に決めて貰った方が助かるんですが…。」
「そうですか…では、条件を付けて同盟を組みますか…。」
「じ、条件ですか?」
「えぇ、正直な話、僕達に足りないのは武器だけです。
で、相手は武器に関しては何個かドロップしている様ですが、防具が全然足りていません。
つまり、武器がドロップした時は優先的にこちらへ…そして、防具が出たら向こうへ…と条件を付けるんです。
そうすれば…武器がドロップすれば、こちらの目的である武防具一式が揃いますからね。
それに、最悪、ドロップしなかった場合、相手のパーティーのドロップ武器を譲って貰えるかも知れませんからね。」
と、少しばかり甘い考えを提案する。
とは言え…まぁ、あの感じではこの条件でも飲んでくれるはずだ。
「そうですね…相手がそれを飲んでくれるのなら良いかもですね。」
「えぇ…そうと決まれば、交渉ですね。
まぁ、アイアンさん、そんなに気を張り詰めなくても問題はないと思いますよ。」
僕はそう言うと、再びケビンさんの所まで行くと、先程の提案をする。
「えぇ…そう言う話なら、問題はありません。
こちらとしても、防具を優先してくれるならありがたい話ですし。」
との事で、結果は問題なし…まぁ、実際に武防具をドロップすれば、欲が出て来て話が変わるかも知れないが、それでも、一応ではあるが合意は得られた訳だ。
はてさて、これからどうなってしまうのやら…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます