242ページ目…ダンジョンマスターの憂鬱【1】
夢幻(一応、主人公)達が魔族と戦ってメルトの町に向かい始めた頃まで、少し時間が遡る。
ここは暗黒大陸と呼ばれているとある村…『ラギアの村』での出来事である。
暗黒大陸…かつて、魔王でが支配していた領土で、今でも魔王領とも呼ばれている大陸である。
そして、魔族が住んでいた土地だったりするのだが、300年以上の年月が経っている為、長命寿の種族しかその脅威は忘れられていたりもする。
その為、主無き大地は愚かにも人族の手により侵略され、新たに開拓されて平和な日々を過ごしていた。
そう…つい、先程までは…。
「う、うわぁぁぁぁぁ!」
「に、逃げろー!」
『チュドーーーーーン!』
「キャーーーー!」
逃げ惑う人々、そして各所より上がる爆発音、その元凶となった者は…。
「クハハハハ!弱い、弱すぎるぞ人間ゴミ共ッ!!
よもや、これほどまで弱い物を畏れ、我らは隠れ住んでいたとはな!」
「シグマ!貴方はプラス様から『むやみやたらと人間を殺してはいけない』と言われているのを、もう忘れたのですか?」
「い、いえ…そのような事は決して…。
で、ですが、本当にこんな田舎に、あのお方がいるのでしょうか?」
シグマと呼ばれた男は、もう一人の女性に頭を下げる。
「それは分かりません…ですが、マイナス様の占星術では、確かにこの村にいると言うお話です。
ならば、我々はそれを信じ、行動するまでです!
とは言え、私も本当に、こんなゴミ共の中にいるのか、些か疑問ではあるのですが…。」
「で、ですよね?そもそも、もしあの方がいたなら、これっぽちの攻撃じゃ傷一つ付ける事など出来ないでしょ?」
「まぁ、確かにその可能性は高いと思いますが…しかし、あのお方が覚醒しなければ、弱い人間のままとも考えられます。
なので…万が一にも、シグマの攻撃で、あのお方に傷を与えたとしら
「ハ、ハハ…流石に、あのお方の復活を見るまでは死ねませんよ…その為だけに300年以上もの間、我慢していた訳ではありませんから。」
どうやら、彼等は誰かを探しているようだ。
しかし、300年以上もの間とは…。
「そうですか…では、やり過ぎない様に、ゴミ共に絶望を…。」
「ハッ!必ずや、このシグマ、あのお方を覚醒させてご覧に入れます。」
シグマと呼ばれた男はそう言うと、一際大きな火球を生み出し、近くの家へと放つのだった。
◇◆◇◆◇◆◇
そして、時は現在へと戻る…。
「それで、ご主人様…こんな所へ来て何をするんですか?」
「こんな所って…ダンジョン
そもそも、こんな力なんて、簡単には使いこなせないからね?
だから、この力がどれほどの力なのか、まずはダンジョン核に力を注いでみようと思うんだよ。」
「そうでしたか…ですが、そんな事、本当に可能なのですか?」
「さぁ?まぁ、この力だけを注ぎ込むことは純粋に不可能だと思うけど、まとわり付いてるカスみたいな力なら注ぎ込めるんじゃないかな?っと直感的に思うんだよね…。」
「なるほど…それでしたら確かに可能かも知れませんね…。
だったら、私も一緒に良いですか?」
「ん?プリンもなのか?」
「はい、確かに私もご主人様の言う通り、まとわり付いてる力は不要だと思いますから。」
プリンはそう言うと、僕の手の上に自分の手を、そっと乗せてくる。
僕は、若干、頬が暑くなるのを感じながら、僕はプリンと一緒に少しずづダンジョンコアに力を注ぎ込んでいくのだった…。
『ビー、ビー、ビーッ!』
【マスター、これ以上のエネルギー供給は危険領域になりますので、一度、エネルギーを消費してから補充して下さい。】
ダンジョン核に、残りカスみたいな感じの力を少しずつ注ぎ込んでいたら、突如、アラーム音と共にダンジョン核から警告メッセージが発せられた。
なので、僕とプリンは力を注ぎ込むのを急いで止める。
まだ半分にも満たない量しか注ぎ込んでないんだけどな…と思いつつ、ダンジョンコアに聞いてみる。
「えっと…今あるダンジョンポイントで何が出来そう?」
すつと、直ぐに答えが返ってきた。
【ダンジョンの拡張と増設、アイテムや魔物の補充です。】
【基本的には出来る事は変わりません。】
【ですが、ダンジョンポイントが大量に補充されましたので、大幅な改造が可能となりました。】
「拡張と増設か…具体的には第何階層まで作れそう?」
【無理な拡張をしないのであれば第150階層までなら余裕を持って作成が可能かと思われます。】
「そっか、ならそれで…。
それから、まだ補充出来そうだから、ポイントが少なくなったら教えてね?」
【畏まりました、では、今から拡張と増設を始めます。】
すると、軽く振動があったかと思うと、エレベーターで下の階に降りる様な感覚にみまわれた後、元の感覚に戻る。
おそらく、第11階層にあったダンジョン核の間から、第150階層…正確には第151階層へと降りてきたのだと思う。
と、言うか…防音のはずのこの部屋まで、上の方で何かが崩れる様な音が聞こえてくる。
つまり、増設が終わり、拡張が始まったと言う事か…はてさて、いったい何時まで続く事やら…。
若干、軽く考えて発した命令に後悔しつつ、新たに補充出来るまで、プリンと一緒に、のんびり待つのであった…。
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