236ページ目…プリン復活大作戦【4】

「グフッ!」


 ○クとは違うのだよザ○とはッ!!

 と言うネタではなく、ダメージによる呻き声である。


「ご、ご主人様!だ、大丈夫ですかッ!?」


 僕は、クズハの一言により、為す術もなく崩れ落ちた…そう、まるで天国から地獄へ急降下したが如く…。

 捕らぬ狸の皮算用、絵に描いた餅…と言うと語弊があるのだが、まだ手に入れてもいないのに喜んではいけない。


 僕は、プチドラシリーズが一つになったスライムにはプリンの魂を受け入れるだけの許容量があるのが分かった。

 後はプリンが復活するだけだ!その嬉しさから、肝心な事を忘れていたのだが、喜んでいた!

 そう、クズハの一言があるまでは…。


◇◆◇◆◇◆◇


「コイツがいれば、プリンを復活出来る!」


 今、僕の目の前には七つの大罪シリーズのプチドラと、プリンがペットとして僕にくれたプチドラが合体した特別なスライムがいる。


 そして、コイツには魂が存在していない。


 もっとも、それでは死んでしまうので生きていく為に擬魂が付与されているのだが…。

 つまり、この擬魂の代わりにプリンの魂を入れる事が出来れば、無事、プリンの復活と言う訳だ。


「お、おめでとうございます、ご主人様!」


 僕が喜んだ事により、クズハもまた自分の事の様に喜んでくれた。

 まぁ、クズハ自身もプリンの復活を望んでいるのだから当たり前と言えば当たり前なのだが…。


「そ、それで…どうやってプリン様の魂を、そのスライムに移すんですか?」


 そう、何気ない疑問…言われるまで、気が付かなかったのは僕の落ち度と言える。

 この世界に来る前からもそうなのだが、毎度の事とは言え、もう少しで望みが叶うからと、方法も分からないのに喜んでしまったのだ…。


 そして、いつも、その答えはその時に出ない事が多い…。


 クズハの問いに対して、僕は答えを持っていなかった…それなのに愚かにも喜んでしまったのだ。


 『痛恨の一撃』…正しく、その表現が正しいと言えよう。


 僕は『グフッ!』呻き声と共に、その場に崩れ落ちた。

そう…文字通り『orz』と言う様な形で…。


◇◆◇◆◇◆◇


 クズハの一言に、心臓を抉る様な痛みを受けた僕はその場に崩れ落ちた。

 その為、クズハは何事か分からずに、僕の事を心配して慌てて声を掛けてくれた。


 正直な話、僕は結構天然が入っている…と、思っている。

 そして、この世界に来てからは、プリンがフォローしてくれる事が多く、被害はそれほどなかった…。

 だが、今回の事は、流石に誰もフォローはしてくれそうもない。


 そう、僕の体からプリンの魂を抜き出せばプリンの魂は消滅えてしまう。

 そして、スライムから擬魂を抜き出すと言う事は、魂のないスライムは死んでしまう。


 つまり、スライムにプリンの魂を移してから擬魂を回収しないと、プリンは復活しないと言う事に他ならない。

 そして、僕には〖魂強奪ソウル・ドレイン〗と言うスキルがある為、擬魂を奪う事だけなら出来る。


 なので、問題は…どうやってプリンの魂をスライムに移すか…が、最大の問題なのだ。


 当然ながら、そのまま魂を僕の体から取り出すのはアウト!

 とは言え、普通であれば、擬魂とは言え魂の入っている物に追加で別の魂を入れるのは、ほぼ不可能に近い。


 ならば、魂を抜いてから…とすれば、スライムは死んでしまう。

 そして、スライムが死ねば、もう代わりはない…。


 詰んだ…そう、僕には、スライムを生かしたままプリンの魂を入れる方法がなかったのだ。

 プリンを復活させる事が出来る…と、まるで天国に来たかの様に喜んだのに、その方法がない…。。

 その事に気が付いた僕は、まるで地獄に落ちたかの様に落ち込んだとしても誰も責める事など出来ないはずだ。

 いや、プリンだけは、責めても良いかもしれないが…。


 まぁ、もっとも、プリンであれば軽く溜息をついて、仕方がないですね~とか言いつつ簡単に何とかしてくれそうな気もするが…。


『ぴゅぃ…。』


 何とか立ち直ろうとしていたら、スライムに溜息を付かれてしまう。

 あぁ…よもや、スライムにまで呆れられてしまうとは…。


 さて、これからどうするかな…。

 と、そこまで考えたら、スライムは勢いよく僕の顔目掛けてが飛んでくる…。


 何度も言うが本来であれば、指示がなければ動かないスライムである…そんなスライムの突然の行動に反応出来ずに僕は、顔面でその衝撃を受けて、意識を失ったのだった…。

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