〜第7章〜◆◆◆魔神復活編◆◆◆

222ページ目…魔族再び

 聖王都の冒険者ギルドの冒険者達と一緒に『零の使い魔』と関係のあった聖騎士団ととの一戦を終え、みごと聖騎士団を討伐した僕達は、聖王都での用を全て終わらせる事が出来た。

 ちなみに、討伐と言っても殺すのではなく捕獲したと言うのが正しい訳だが…。


 その聖騎士団なのだが…全員が僕と同じ転移者なのだが、転移して来た時代もバラバラで、江戸時代から来た人もいるらしく、僕としては驚く事ばかりである。


 ちなみに、余談ではあるが、その聖騎士団なのだが…なんと、聖王都が責任を持って保護する事になった。

 と言うのも、転移者には転移した際に不思議な力を手に入れる事が多いらしく、何かと重宝するらしい。

 また、団長と副団長が魔族に体を奪われただけでなく、みんなの記憶から消されていた為、それに関連する『零の使い魔』との繋がりが分からなくなった為、その能力を無駄に失うよりも有効利用しようというのが本音の様だ。


 まぁ、何はともあれ…聖王都での調査も、冒険者達には少なからず被害があった様だが僕達には被害がないので、本拠地であるメルトの町に戻る事となったのだ。

 その為、僕達は聖王都の冒険者ギルドのギルドマスターにお世話になりました、と挨拶を済ませ、メルトの町へと出発したのだった…。


◇◆◇◆◇◆◇


 聖王都を出てから30分程した頃、僕達は、主要道路から外れ、近くの森の側へと移動すると、こっそりと人目に付かない場所に移動していた。

 と、言うのも長距離移動するのには基本的に馬車か竜車と言う物を使うのが主流で、襲われない為に冒険者を護衛に雇うのが一般的である。

 そして…当たり前の事だが、この世界には車なんて物は存在しない。


 つまり、僕の持つテスタロッサ…『高速移動用搭乗型ゴーレム通称:車』…は、この世界では奇異な物と見られる事となる。

 場合によっては、大型の魔物の一種と見られてしまう可能性があるのだ。

 その為、極力、出し入れする所は見せたくないし人通りの多い場所での使用は極力減らすつもりだったのだ。

 そんなこんなで人目に付かない所に来たのだが…どうも、先程からプリンの様子が可怪しい…。

 さっきから、妙に落ち着かないと言うか…周囲を警戒していると言うか…聖騎士団を調べだしてからプリンの様子がどんどん可怪しくなっている気がする。

 だけど、もう聖騎士団とは決着が付いているのだから心配する事なんて無いはずなのだが…いったい何がプリンを心配させているのだろう…。


「プリン、ずっと様子が可怪しいけど…体調でも悪いのか?」


 僕は、プリンに声を掛ける…僕の声を聞いてプリンは直ぐに返事をしてくれた。


「い、いえ…ご主人様、私は何とも無いんですが…その…どんどん不安になって…。

 ッ…そこにいるのは誰ッ!?」


 いきなりプリンが大声を上げる、僕は慌ててプリンの視線の先を追って振り向くと、そこには聖王都で会った聖騎士団の副団長の体を奪った魔族…ラドルが立っていた。


「よう、また会ったな!邪魔したお礼だ、今度こそ貴様を殺させて貰うぞ!」


 ラドルはそう言うと、目の前に〖魔法:火球ファイアーボール〗を数発発動させると僕に向けて放ってくる。


 だが、それに対して僕も同数以上の火球を発動させて迎撃する。


『チュドドドドドドドドドーーーン!』


 僕の放った火球は見事にラドルの火球を迎撃して爆煙を上げる…だが、これにより視覚が遮られる事になった。

 僕達は直ぐに車で移動するつもりであった為、鎧も着ていないラフな格好だ。

 その為、防御に関しては紙と同じ…なので急いで無限庫インベントリから、僕専用の鎧を取り出すと急いで装備する…もちろん、クズハにも装備を渡すのを忘れない。


 もっとも、プリンに関しては種族特権として無限庫と、ほぼ同じ作用をする〖胃袋〗があるので、プリンは自分の装備に関しては自分で持っているので、ラドルが攻撃をした瞬間、すぐに装備していたりする。


 そして、ラドルが風魔法を使ったのか爆煙が一気に吹き飛ぶ頃には全員が戦闘態勢を完了させていたのだった…。

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