196ページ目…戦闘準備【5】

 一応…と、言う言葉が付くが僕の新装備が完成した事により気を良くした僕は、そのテンションのままプリン達の装備の作成に取り掛かる。

 とは言っても、仕様が変わるだけで、基本的には同じ形の装備になるだけだったりする。

 つまり…ここには居ないが、ローラやアリスの分も含めて、4人分の仕様の違う武防具の作成と言う事だ。


 プリンは、メインで使う武器が剣なので剣士仕様。

 クズハは、どちらかと言うと弓よりも魔法を使うので魔法使い仕様。

 ローラは、格闘をメインで戦うので武闘家…闘拳士仕様。

 そして…普段、戦う事はないのだが、それでも僕達の仲間であるアリスには、戦闘中は魔法よりも弓を使うのに長けているので弓士?弓師?の仕様となる武防具の作成を開始する。


 とは言っても、先程も言ったが基本となるベースは4体とも同じなので、それほど困る事はないと思う。

 但し、プリンの装備には水属性、クズハの装備には火属性、ローラの装備には風属性…そして、アリスには地属性を付与した装備となっていて属性による攻撃すら可能となっている。

 もっとも…ここで重要となるのは、属性の付与ではなく…服と違い金属を使う為、プリン以外は、きちんとしたサイズ調整が必要と言う事だったりする。


「ってな訳で…女性陣に集まって貰ったのは、装備のサイズ合わせとなる。

 これは大き過ぎても小さ過ぎても動きに支障をきたしたりするので、正確に採寸する必要があったりするのだが…。」


 そこまで言った時、プリンを除く女性陣の顔が引き攣るのが見えた。

 そう、これこそが重要と言った原因である。


 元の世界でもそうだったが、こちらの世界でも女性と言うのは体重や体型と言うのを気にする人が殆どで…特に男性に、それを知られるのを嫌がると言うのは変わらない様だ。

 その為、専用装備を作成する際にサイズを計る事自体が最大の難関とも言えるだった。


「まったく…ご主人様が私達専用の装備を作ってくれると言うのに、貴方達は、何が不満だと言うのですか?」


 と…服のサイズに関して、何とでもなるプリンが他の人を責める様な口調で注意する。

 もっとも、今回は服では無く、鎧ではあるが…。


「そ、そうは言っても…やっぱり、恥ずかしい物は恥ずかしいじゃないですか…。」


 それに対してクズハは、やはり恥ずかしいの一点張り。


「御主人様からの贈り物…あの~解雇クビではないですよね?」


 アリスに至っては、この世界のブラウニーは主人より着物を貰うと解雇とされる特徴がある為、鎧に関して、着る物としての認識になるのか解雇かどうか心配になってしまっている。

 まぁ、確かに着る物ではあるのだが、解雇ではない事をしっかりと伝えておく必要があるだろう。

 そもそも、アリスがいないと家の管理が大変だしね…。


 そして…僕のメンバーの中でトラブルメーカーでもあるローラは…と言うと…。


「ん?触るのか?」


 と、自分の胸を揉みながら、何故か挑発する様に聞いてくる。

 そりゃ、採寸するのだから多少は触れるかも知れないが、そんな大胆に触る事などはまずあり得ない。

 そもそも、触るのであればプリンの胸をさわ…ゲフンゲフンッ!


「バカ犬、ご主人様が言ったのは採寸です、発情して触ろうとしているのでありません!」

「そうなのか…残念。」

「いやいや、残念…じゃないだろ?ローラ、発情期なのか?

 もしそうなら、戦う時の隙になるから戦わない方が良いと思うんだが…。」

「ローラ、発情期違う…でも、人族、いつも発情期。」

「ロ、ローラさん、人族だっていつも発情期じゃないですよ?

 あ…もちろん、妖狐族も発情期じゃないですからね?」


 人族のフォローに妖狐族のクズハがフォローに入る…ありがたいんだけど、何か違う気がする。


「御主人様、解雇…。」


 アリスの解雇クビ発言に返事をしなかった為、アリスは俯きながら再度尋ねてくる。

 僕は『しまった!』と、慌ててアリスに説明をする。


「アリス、これは解雇じゃないから…仕事をする上で着るメイド服と同じで、戦うのに必要な鎧…制服と思ってくれたら良い。

 だから、決して解雇では無いからね?

 むしろ、アリスにはこれからもずっと居て欲しいと思ってる。」

「そう…ですか、よかったです♪」


 僕の慌てた訂正に対し、解雇でない事に満面の笑みで喜びを僕に抱き付いてくる。

 少し前みたいに幼女姿ではなく、中学生ほどに成長した姿のアリスに、他の者の前なので内心ドキドキしながらも冷静に落ち着かせつつ、頭を撫でてあげる。


「一応、みんなの身を守る為の装備だから採寸はする。

 それ以上でも、それ以下でもないし他意はない。

 まぁ、採寸する際に多少なりとも体に触れると言う可能性は否定出来ないので、それだけは先に謝らせて貰うが…下手に触れた時は許して欲しい。」


「ご主人様、私は大丈夫ですよ?

 むしろ、私としては普段から触ってくれないのが残念ですけど…。」


 と、プリンが言ってくるが…ゴメン、正直、まだキスだけで精一杯で、その先に進む勇気がありません。


「う、うぅ…恥ずかしいけど、恥ずかしいけど…ご主人様になら…よろしくお願いします…。」


 うん、恥ずかしいよね…だけど、そこまで意識されると逆に、こっちまで恥ずかしくなるから意識しない様にしようね?


「主は発情期じゃないのに、触ろうとする?」

「はいはい…もう、そのネタは良いから…触るんじゃなく採寸するの!

 んでもって、ローラ用の鎧を新しくする…強くなるのに必要な作業なの!」

「何ッ!?ローラ、強くなるだと!主、それ先に言え。

 強くなる為なら、ローラの体、触りまくって良いぞ!」

「いや…だから、流石に触りまくるのそれはないから…。」


 と…どっと来る疲れに、ガックリ肩を落としながらもツッコミだけは入れる。

 いや、それ以前に何度も防具を作る為と言ってるのだから、強くなる為の事だと分かって欲しいと思いつつ、採寸を開始するのだった…。

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