184ページ目…聖王都、探索【6】
現在、プチドラゴンスライムと言う名のスライムは、聖王都に8体いる。
そのうちの1体は、プリンの能力を全部ぶち込んだ様な、特別仕様で僕の意志…思念により動くペット…と言う事なのだが、プリン曰く『この子には魂が入っていないので、ご主人様の思念で動く』らしい。
そもそも、魂が入っていないと言う事は、死んでいるのでは?と思ったのだが、ゴーレムとかと同じ様な物だから気にしないで…との事だった。
まぁ、殆ど使い魔と言っても可笑しくないのだが…ある意味では道具扱いになっているので
無限庫…インベントリには基本的に
例外として、卵とか…レオとかみたいな擬似的な生物は収納可能だが、その線引きはいまいち曖昧でよく分からない仕様となっている。
ちなみに、30体ほどいた監視カメラ風味なプチスライム達は、その殆どがプリンに回収されプチドラゴンスライムの材料にされたらしい。
「それで…例の怪しいヤツ達の監視はどうなってるのかな?」
「あ、ご主人様!例のと言いますと…聖騎士を名乗る者達の事ですよね?
現在、プチドラちゃんの報告によりますと、お城に一人、入っていったそうです。」
「う~ん…やっぱり、お城に入れるんだ…。
それで、プチドラちゃんはお城の中には入ったのかな?」
「いえ、深追いは禁物と考えお城の中には入らず待機させています。」
「そっか…いくら小さいとは言え、感知能力に長たけた者なら見付かるかも知れないからね…少しずつ調査すれば良いと思うよ。」
そう、プチドラちゃん…プチドラゴンスライムの大きさは、大体、ペットボトルの蓋くらいの大きさしかない。
その為、隠密系のスキルや魔法により、見付ける事は困難なのだ…だが、それは困難であって不可能ではない。
その証拠に、プリンが悪戯でクズハの監視をさせた時、運悪く見付かってしまったのだ。
もっとも、お風呂場にまで付いていったプチドラちゃんに水が掛かり、不自然な形になったからではあるのだが…。
つまり、その存在自体が消える訳ではないので…例えば、雨や霧の中、煙の中…水中など、明らかに他と違う感じになる場合は、存在がバレやすくなるのだ。
「そう言えば…クズハの姿が見えないけど、どこにいるの?」
クズハの事を思い出したからか、クズハがいない事に気が付く。
「はい、プチドラちゃん5号によりますと、『天使の羽』でテイクアウト用の料理を作って貰っている様です。」
「あぁ、僕達のブランチ用だね。」
「はい、現在、私達は怪しい者がいないかのチェックですから…。」
そう…僕とプリンは、交代でプチドラちゃんからの情報を整理して、色々とチェックしているのだ。
しかし、その情報量が多過ぎて、行動しながらだと動きに支障が出るので僕達は部屋に閉じこもっているのだった。
「とは言え…流石に、僕は引き籠もりにも飽きてきたかな…明日は、街を探検に出掛けようか?」
「はい、私も、そろそろご主人様とお出掛けしたいと思っていました♪」
なんやかんやで、『天使の羽』を訪れて依頼、約1週間…僕達は街を監視していた。
そして、プチドラちゃん達を使い、街の様子を見て回っていたのだが、その際に何件かではあるが、気になるお店が見付けていたのだ。
「よし、そうと決まれば、さっそく…。」
そう言うと、僕は〖
◆◇◆◇◆◇◆
「お帰りなさいませ、御主人様。」
「はい、ただいま…アリス、ローラは?」
「はい、ローラさんでしたら、いつも通りギルドに向かいましたので…今頃は露天で串焼きを買い食いしてる頃ではないでしょうか?」
どうやら、相変わらずローラは冒険者ギルドでお小遣いを稼いで、買い食いしている様だ。
とは言え、そのローラが稼いだお金は屋敷の維持に使われているのだから文句を言う事はしないのだが…。
「そんなに買い食いしてると太るんじゃないのか?」
と心配になってきた。
「それで…急に戻られたのは何かあったんですか?」
「あぁ…明日は、街を探索する予定だから、服を用意して貰おうかと思って帰ってきた。
それに、洗濯物もだいぶ溜まったからね…アリスには悪いけど、お願い出来るかな?」
「はい、それが私のお仕事ですから♪」
僕に頼られたのが嬉しいのか、
幼児体型から、中学生位の体型に進化したアリスの笑みに、思わずドキリとしてしまう。
改めてみると、アリスもプリン達同様、可愛い外見なんだよな…と思ってしまう。
「あの…御主人様、私の顔に何か付いていますか?」
「そうだな~、目と鼻と…あと口が付いてるね。」
つい、テレ隠しで古いボケで答えてしまう。
「もう、御主人様ったら…逆に付いてなかったら大変ですよ?」
と、笑ってくれたので良しとしよう。
その後、アリスに洗濯物を渡すと、新しい着替えを貰い、聖王都へと転移するのだった…。
ちなみに…途中の村で手に入れた料理を、アリスにお裾分けしたのだが、その後、帰宅したローラが殆ど食べてしまったのは、また別のお話だ。
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