165ページ目…目指せ、聖王都【6】
それにしても…今回、伐採した木の長さが長いとは言え、何で前回と同じ様にしなかったんだろう…と思う。
おそらく、自分なら何とか出来る…などの自惚れもあったのかもしれない。
だが、一番の理由は…これから始まるであろう『零の使い魔』との戦いを意識していたからだろうか?
自分に何が出来るのか、何が出来ないのか…自分の限界は…と言った不安が強かったのだ。
その為、一番簡単な…シンプルな事を忘れていた…。
それは…所詮、人、一人の力には限界があると言う事だ。
昔、学園物のドラマで先生が言っていた…人と言う物は人と人が支え合っている…と。
まぁ…ぶっちゃけ、支え合ってるとか、そんな事には興味ない。
とりあえず、お茶が終わったら伐採した木を回収してこよう…。
「しっかし…このお茶…紅茶と言った方が良いのかもだが…美味しいけど高い葉っぱ使ってるのか?」
「いえ、それほど高いお茶では…来客用はそれなりに高いお茶を用意しておりますが…現在、お客様が来る事は無いと思われますので…。」
「何で?」
「何でと申されましても…御主人様は冒険者ですから、直接、家に依頼が来る事は稀ですし、仮に依頼が来てもお話は冒険者ギルドとなりますので…。」
「なるほど、そんな理由なんだ…。」
それに、友人と呼べる人は、ラオンさん以外、考えつかない。
こっちに来る前なら、後輩がいたが…。
「ダ、ダーリン…このクッキーも美味しいですよ。」
「あ、ありがと…って言うか、いつまでその呼び方続けるつもり?」
「あの…嫌ですか?」
「ん~…嫌じゃないけど、そんなに恥ずかしい思いしながら呼ぶくらいなら、元の呼び方にするとか…ちょくちょく言ってくる旦那様とかの方が良いんじゃないかな?って思っただけだよ。」
わざわざ顔を赤く染めてまで言わなくても良い様な気がするのだが…。
「あぅ~…でも、でも…お隣の奥さんが~。」
「あのさ…プリンは、僕の事が好きなのは十分分かってるんだけど…プリンが好きなのは僕であって、呼び方じゃないだろ?
だったら、好きな様に呼んでも良いんじゃないかな?」
僕の事が好き…とは、自惚れかもしれないが、間違っていないはずだ。
「あ…そ、そうですよね…呼びたい様に…はい、あなた♪」
「そ、それはちょっとまだ早いかな…って思うんだけど…まぁ、いっか…。
アリス、お茶美味しかったよ。」
僕はそう言うと逃げ出す様に席を立つ。
「ご主人様、どこ行くんですか?」
「ん?森から伐採した木を運んで来るんだよ。」
僕は、そう言うと森への〖
◆◇◆◇◆◇◆
「しっかし…僕って、本当にバカだよな…。
前回同様、〖
そう、直径10mほどの大きさの円になるとは言え、この大きさであるなら場合によっては軍隊ですら転移させる事が出来るはずだ。
それを考えると、空間魔法を使える魔法使いの需要が高いのも納得がいく。
ラオンさんが、人前では極力使うなと警告するのがよく分かると言う物だ。
何はともあれ、30本ほどあった材木を全て
〔
ですが、ダンジョンポイントの関係上、今回は1体のみとなっています。〕
〔了解…準備ができ次第、そっちに向かう。〕
〔畏まりました、お待ちしております。〕
スライムは、それだけ言うと念話を切る。
それにより、再び静寂が訪れた。
「よし、ダンジョンの方が準備出来たのなら急いで薪を回収して向かうとするか!」
僕は、残っている枝を諦めると、残りの薪だけを回収して屋敷に戻るのだった…。
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