166ページ目…目指せ、聖王都【7】

 鉄人形アイアンゴーレム…ゴーレムと言う魔物モンスターは自然発生する以外に、人為的に作り出される事もある。

 そして、このダンジョンのゴーレムは…と言うと、何故か、人為的にダンジョンから作り出されたにも関わらず前者…自然発生扱いだったりする。

 これこそ、ダンジョン七不思議の一つと言えよう。


 ダンジョンと言うのは、ダンジョンコアと呼ばれている物が原因で作られる迷宮の事だ。

 もちろん、例外と言える様なダンジョンなんて物もある。

 通常のダンジョンであれば下へ下へと伸びていく。

 だが、先程も言ったが、一部の例外として、上へ上へと伸びるダンジョンもある。


 その様なダンジョンはタワー型と呼ばれていて、通常のダンジョンよりも魔物の強さが強いと言われている。

 一説によれば、その塔は神を倒す為に作られた…なんて噂もあるほどだ。


 さて、話がそれたので元に戻すとしよう。


 アイアンゴーレム…まぁ、鉄人形と呼ばれるだけに、鉄の塊で出来たゴーレムだ。

 そして、このアイアンゴーレムからのドロップ品こそ、アイアンインゴットだったりする。

 だけど、それっぽちでは到底、目的の量を手に入れるなんて到底不可能である。

 そこで考え出したのが、ブラックドラゴンと戦った経験だ。

 あの時の経験が今役に立つとは…どこで何が役に立つか分かった物じゃない。


「ってな訳で、まずは、その腕からだッ!」


『ザンッ!シュンッ!』


 僕は、ゴーレムの右腕を闘気剣オーラブレードで勢い良く斬り付ける…すると、斬り付けた場所がズレて右腕が落ちていく。

 その右腕を有無を言わせずに無限庫インベントリへと放り込む。


 これこそ、僕がブラックドラゴンとの戦いで得た経験である。

 つまり…この手の魔物は、息の根を止めた時にパーツ部分も消滅する。

 だが、この様に無限庫へ放り込む事によって、本体が消滅してもパーツ部分は消滅えないである。

 その為、通常のドロップに比べて、手に入る量が段違いに多いのだ。

 なので…これを繰り返せば、目的を達成出来ると言う物だ。

 強いて問題を上げるなら…ゴーレムをどこまで削って良いか…と言う所だろう。


 その後…左腕、右脚、左脚を斬り落とし、頭と体だけになって僕の前に転がっている。

 これで首を落とした時に、どっちが本体のパーツなのか…と言う事になる。


 その選択を間違えてしまうと、せっかくの素材を消滅させてしまう事になる。


「ダメだ…どっちか全然分からん、こりゃダメ元でやるしかないか…。」


 僕は、考えるのを止め、ゴーレムの首を斬る。

 そして…その胴体部分を無限庫に入れようとする。


 もし…仮に、こちらの方にゴーレムの核があるのであれば、無限庫には入らず頭部の消滅のみとなる。


 逆に頭部の方に核があるのであれば、胴体部分は無限庫に収納されて大量の素材を手に入れる事が出来る。


 そうなれば、欲しかった量に達するはず…殆ど賭の様な物だった。


『ザシュッ!』


 抵抗らしい抵抗もなく(手足が既に無いのだから当たり前な話だが)、ゴーレムの頭と体は二つに分かれる…次の瞬間、僕は嫌な予感がして斬り付けた場所から更に上下を斬り付ける様に闘気剣を振るう。

 その刹那の瞬間、慌てて頭部と胴体部分を無限庫へと収納する。


 そして…最後に残った首だった部分が霧散して消えていった。


「あっぶね~!頭か胴かって選択肢で、まさか『首』が正解とか…危うく、どっちの部分も無くす所だったぜ…。」

〔ボス、アイアンゴーレムの消滅を確認しましたが、素材の回収はどうなりましたか?〕

〔お、ちょうど良いタイミングだな…危うく失敗する所だったが、お陰で無事に回収出来たよ。〕

〔それは、おめでとう御座います。〕

〔あぁ、ありがと…これで、予定通り準備が出来る。

 まぁ、お前には負担掛けてばかりで悪いが…またダンジョン方は任せたからね。〕

〔畏まりました。〕


 と、スライムの返事を聞いてから、屋敷へと転移するのだった…。

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