119ページ目…実験【2】

 とりあえず、残虐性うんぬんは置いておくとして、更なる実験を始める事にしよう。

 と言っても、やる事は先ほどと大して変わらない。


 つまり、〖模型創造モデリング〗での姿形の調整

 そして〖擬魂付加フェイクソウル〗での存在進化である。


 今のままでは、泥の化け物…だが、これでは街中を連れて歩けない。

 もちろん、連れて歩くにしても全身鎧を着込んで貰う事になるのだが…このままだと、鎧から泥が漏れて迷惑になるであろう事は予想出来る。

 何より、泥が身体から取れてしまえば、スケルトンの姿では関節部分が取れてしまう。


 つまり、そうならない様な存在にまで成長と言うか進化と言うか…別の物にしないといけないと言う事だ。


「ってな訳で、反論は一切認めない…逆らう様なら、プリンの餌になると思え。」


〔確かに言われれば何でも食べれますが、今の私は、泥は食べたくないです…。〕


 俺がスケルトンに警告をすると、泥の化け物は観念した様に大人しくなる。

 その際、プリンの念話での文句は無視しておく…どの道、プリンに泥を喰わせる気など無いのだから…。


「んじゃ、観念してる様なので…んじゃ、さっそく〖魔法:模型創造モデリング〗!」


 最近、なんちゃって呪文を唱えているのだが、先ほど同様…今回も無しだ。

 そして、俺の魔法で更に泥が変化していく。

 少しずつとは言え、泥が変化していき人の形に似てきている…だが、まだまだ人の形には程遠い。

 流石に、一気に調整出来るだけの技術は、今の俺にはまだない。


 だが、これも実験の一つだ…この作業に慣れれば、もっと凄いゴーレムなどの魔法生物を作り出せる事になるであろう。

 ある意味では、戦力増強と言う事にもなる…そうすれば、世界征服なんて事も夢ではなくなる。


 って、俺は世界征服なんて企んでないですよ?本当に本当ですよ?


「さてと…ここで一度、固定する意味も含めて…〖魔法:擬魂付加フェイクソウル〗!」


 少し人の姿に近付いた泥の化け物…それに再度、魔法にて魂の力を上乗せする。

 それにより、泥の質感が少し変わり艶が出てくる。

 だけど、それでもまだ、人の肌に比べるのが失礼な程の差がある。


 とは言え、その核となるスケルトンを限りでは、まだまだ余裕がありそうだ。

 ふむ…能力的には、スケルトン・ソルジャーとなってるが…これって、僕が鎧を着せようとしているからかな?

 もしも、魔法を使えるようにと考えていたのならスケルトン・メイジとかになっていたのだろうか?

 と、疑問が湧いてくるが…それはまたの機会に実験しよう。


◆◇◆◇◆◇◆


「〖魔法:模型創造モデリング〗!〖魔法:擬魂付加フェイクソウル〗!」


 これで何度目になるんだろう…思いの外、人の体を形成するのは難しい物だ。

 核となる骨があるからあるから、腕などの長さに関しては骨に沿って調整すれば良いのだが、太さを調整するのが非常に大変だ。

 しかも、スケルトンとは言え、元々は10代の女の子って話だから、それなりに可愛くしてあげないと…と考えて形成してはいる物の、なかなか上手くバランスが取れない…。


 とは言え、遠目で見るのなら、一応は人の形に見えなくはない…。

 まぁ、もう少し頑張れば、デパートとかに置いてあるマネキン位までは精度を上げれそうだ。

 これがもっと上手くいけば、新たに人型のゴーレムを作って護衛にしたりとか出来そうな気がする。

 まぁ、その時はレオを能力強化パワーアップしたり、別の鎧を作ったり…とかもしたいと思う。


「ヴァァァ」


「ごめん、正直、何言ってるか分からない…そもそも、まだ、声を出せる様な造りになっていないから。」


 そう…アレから何度目かは忘れたが、だいぶ人型になった為か、若干ではある物の声みたいなのが出る様になっている。

 もっとも、まだまだ外見を調整している為に、内側は何も弄っていない…つまり、声を発生する部分はまだ何も作っていないのだ。

 何故なら…体を作り替えているのだから、もしかしたら痛みを感じているかもしれないのだ。

 そうなった時、叫び声を上げられたのでは五月蠅うるさくてかなわない…つまり、それを嫌っての事だ。


 そして、スケルトンが大人しく、されるがまま…で、俺に何か出来ないのにも理由がある。

 それは〖擬魂付加フェイクソウル〗の影響だったりする。

 これは、作成者に対して服従をする効果も含まれているのだ。

 つまり、何も無ければ…俺が許可しない限り、俺に従うと言う事に他ならない。


 では、何も無ければ…とは、どう言う事か…それは、俺が疑似的に作った魂ではなく、生物が持っている元からの魂を使った場合だ。

 何度か行った実験で分かった事なのだが…生物を殺し、その魂を再利用してアンデッド等を作成した場合、その魂の力を引き継ぐ形で新しく生まれてくるのだ。

 なので、場合によっては僕に逆らう事が出来る…と言う事になる。


 これは、野生の獣を実験に使い、俺に対して攻撃を仕掛けてきたので間違いないと思う。


 ならば、このスケルトンはどうだろう?

 元々、本人だと思われる魂が付属されているスケルトン…アンデッドだ。

 ならば、このままだと俺に逆らう危険性がある。


 それを解消する為に、泥の身体に〖擬魂付加フェイクソウル〗を与え、俺に逆らえない様になるかの実験も並行してやっているのだ。

 もっとも、泥を固定化する為の手段の一つだから…と言う、ついでだからってのは内緒である。


 

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