72ページ目…家探し【3】

「うりゃ~ッ!」


 僕は長剣・改ロングソード・カイを双剣…左右の手に長剣・改を装備し、〖スキル:魂強奪ソウル・ドレイン〗を纏わせて悪霊を斬りまくっていた。


『ザシュッ!』


【経験値60を獲得した。】

【レベルが1上がった。】


 ふむ…またレベルが上がったか…コレで僕のレベルは21になった。

 ってか、ゴキブリじゃないんだから悪霊多過ぎだろ…いったい何匹いるんだ?

 しかも、一度、全部退治した部屋に戻ったら、またいるとか…いったいどうなってるんだ?


〔ご主人様、なんか悪霊の数、一向に減らない気がするんですけど…。〕

「あ…やっぱり、プリンもそう思った?」

〔はい…まるでダンジョンのポップする場所にいる様な気がします。〕


 言われてみれば、確かにそんな感じがする…だけど、僕にはどうする事も出来ない…。

 いや、待てよ…もし、ダンジョンと同じ…と言うなら、ダンジョンコア…ダンジョンを維持する為の核が存在するはずだ。


「プリン、どこかに強い力を感じないか?」


 気配を探るのは、僕なんかよりもプリンの方が断然上手い。


〔う~ん…悪霊の気配が邪魔してよく分からない…です。〕


 やっぱりダメか…。


〔あ…でも、ご主人様と融合したら感知能力もアップするから分かるかも?〕


 なるほど…確かに、魔王化した場合、あり得ないほどパワーアップする…まるで某漫画の金髪の戦士って感じだ。

 まぁ、このままズルズルと長引かせると疲労するだけだし…そろそろ飽きたから、やっちゃうか…。


「プリン、魔王化よろしく!」

〔はい♪〕


 と、嬉しそうな返事と共に、僕は人外の者へと変化した。

 って、おいッ!魔王化した時の姿が少し変化してるじゃん。


 偶々、部屋の隅にあった鏡に、ちょうど僕の姿が映っている。

 魔王化した時の鎧が一段と禍々しい物に進化しているだけじゃなく、頭に真ん中…おでこの所に生えていた一本角が無くなり、左右に一本ずつ生えている。

 さらに言うなら、黒い翼まである…って、物語なんかに出てくる魔王そのままのイメージだ。


 称号は…よかった、まだ〖プチ魔王〗のままだ…。


 どうも魔王化は、僕のレベルに依存するみたいで、鏡に映った僕をら僕のレベルで表示されている。


◆◇◆◇◆◇◆


名前:語部カタリベ 夢幻ムゲン

種族:デビル・スライム

Lv:21

HP:3620/3620 MP:3350/3350 SP:3540/3540

攻撃:2840(+40) 防御:1620(+48) 魔法力:2642(+50) 素早さ:1592


◆◇◆◇◆◇◆


 はい、キタコレ…ぶっ壊れステータスだ。

 参考までに魔王化する前の僕のステータスも教えた方が良いと思う。


◆◇◆◇◆◇◆


名前:語部カタリベ 夢幻ムゲン

種族:人族

Lv:21

HP:462/462 MP:428/428 SP:456/456

攻撃力:322(+22) 防御力:105(+48) 魔法力:312(+50) 素早さ:201


◆◇◆◇◆◇◆


 うん…改めて比べてみると、何と言うか、その…無茶苦茶だ。

 レベル21の僕でさえ、本来ならば〖限界突破〗の効果で通常よりも強くなっている。

 おそらく同じレベルのヤツに比べたら、負ける事が少ないと思うだけのステータスのに…次元が違うレベルで強くなっている。


〔うわぁ…ご主人様、強すぎです…。〕


 同じ事を感じたのだろう、プリンも驚きを隠せない様だ。


〔いやいや、プリンと一つになっての強さだから、プリンの強さでもあるんだよ?〕

〔そうかもしれないけど…それでも、ご主人様が強い事には変わりません。〕


 いかん、このままだと何時まで経っても先に進まない気がする…。

 なので…僕は、感覚を研ぎ澄ませ、力の集まる場所を感知する。

 すると、すぐにピクッ…と、まるで音でも出るんじゃないかと思うくらい、僕の感知に反応があった。


 ちなみに…この感知能力、危機感知も含めてだが…種族が持つ生存本能みたいでスキルではない。

 まぁ、人間でもそこそこ感知出来るみたいだが魔物と比べると、どうしても弱いみたいだ。

 一部の達人クラスまでなれば、かなりの感知能力まであがるみたいなので一概には言えない…って事が分かるのも、魔王化の影響なのかもしれない。


 とは言え、いつまでもこの場にいるのは意味がないので体を慣らす意味も含め、ゆっくり歩いて移動する。

 ちなみに…初めて僕達の姿を見たブラウニーは…残念な事に、生まれてきてごめんなさいと謝りながら泣きじゃくっていた。


◆◇◆◇◆◇◆


 僕達は移動しながら悪霊を倒しまくっていた…そしてついに目的の物を見付けた。


「あった…コレが原因か…。」


 そう呟いた僕の目の前には紫色の鏡があった…。

 そう言えば…元の世界で『紫鏡』って怪談があったな…と思い出したが、関係ないのだろうか?

 とは言え、コレが原因なのは間違いない訳だが…はっきり言って、僕は触りたくない。


 そこで考えついたのが…あの存在だ。

 え?ブラウニーじゃないですよ?

 そもそも…今のブラウニーに声を掛けよう物なら死んでしまうかもしれない。


「『アームズ』、こっちに来てくれ!」


 と叫べば、ガシャガシャ音を立てながら僕の元に来てくれた。

 どうやら、こんな状態になっていても主として認識してくれている様だ。


「その鏡を持って町の外まで運んでくれ。

 それと、他の人とは絶対にぶつからない様に気を付けて運んでくれ。」


 と言うと、アームズはガシャと1回肯くと、両手で持って外へと歩き出した。

 なので、僕達も外へ向かおう事にしたのだが…その前にっと…。


〔プリン、魔王化解除をお願い…あと、ご苦労様。〕

〔いえいえ、ご主人様のお役に立てて良かったです。〕


 プリンはそう言うと融合を解除し、魔王化の反動である喪失感を無くす為に再び鎧の形状に擬態して、僕にべったりとくっついてきたのだった…。

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