25ページ目…回想シーン【1】

 そんな訳で、じぃちゃんと一緒に行った、川での出来事を思い出してみた…。


 ◆◇◆◇◆◇◆


 あれは、いつの頃だったか…まだ僕が小学校低学年の頃だったかな?

 う~ん…昔過ぎて、よく思い出せない…。

 とりあえず、些細な事だからココは抜かそう…次行ってみよう~!


 その日、僕とじぃちゃんは川に釣りに来ていた。

 だけど…魚が釣れるのは、じぃちゃんばかり…僕は、なかなか魚が釣れないのが面白くなくて、不機嫌になっていた。


 そんな僕を余所目にじぃちゃんは、のんびり釣りをしながら僕に『釣りって物は焦ってはダメだ、魚もこちらを見ているからイライラしていたら、魚に気が付かれて逃げてしまうぞ?』と笑いながら教えてくれたのを思い出す。


 当時の僕は、それでも何で釣れないの~っと我が儘を言って、じぃちゃんを困らせてたんだっけ…。

 何だか懐かしいな気がする…。


 いやいや、懐かしがるのは後にしよう…目的の回想シーンは、この後だ。

 で、何だったかな…僕は記憶を深く探った。


 そうそう、確か…僕がもう止めたッ!って言って釣り竿を投げ捨てた時だったかな?

 じぃちゃんは『これこれ、道具にあたってはいかん、それでは道具が可哀想じゃ』って言って僕をたしなめた。

 その後『仕方がない…どれ、面白い物を見せてやろう…じゃが、他の者には内緒じゃぞ?』と言って…。

 僕を連れて、川の中に大きな石がある場所へ連れて行ってくれて…そうだ、今度こそ完璧に思い出した!


 じぃちゃんは、おもむろに川の中に腕を突き刺したと思ったら、その手に魚を掴んでたんだ。

 それも1度や2度じゃなく…合計6匹も捕まえて、その場で火を起こして食べたんだっけ。


 そう言えば、じぃちゃんはタバコを吸わないのに、どうやって火を起こしたんだろう…何故か、その辺りの記憶が霞が掛かった様に、思い出せない。

 でも、今になって考えてみたら、じぃちゃん…色々な事が出来てたよな…まぁ、いっか…。


 とりあえず、じぃちゃんが魚を捕る時の動きを良く思い出す…思い出す…。

 ダメだ、早すぎてよく見えていない…意味無いじゃん。(泣)

 だけど、一つヒントがあった…それは、動作の最初の手の形だ…。


 手刀…所謂いわゆる、抜き手の形だった…。


 当時の僕には理解出来なかったが、今の僕には理解出来る。

 つまりアレだ、水の抵抗を最小限に抑える方法だったんだな…。

 例えるなら、金魚掬いと同じ要領だ。(違うかも知れないけど)


 僕は知りたい情報を記憶から回収出来たので、回想を止め現実世界へと戻ってきた。


 ◆◇◆◇◆◇◆


 ってな訳で…再度、僕は手刀にてチャレンジを開始する。


 5回試して1回だけ本当に魚に触る事が出来た。

 惜しい…もう少しでお魚ゲットだぜッ!


 しかし…それを最後に次のチャレンジをする事が出来なかった。


 いや、正確にはチャレンジしようとしたのだ。

 だが、残念ながら近くに魚が1匹もいなくなっていたのだ…。

 そりゃ、近くで何度もバチャバチャしてたら、近くにいた魚だって逃げ出すのは当然である。


 近くに魚がいないのだから仕方がない。


 その為、一度、川から出て次の作戦、プランBへと移行したのだった…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る