第128話 テイムを騙る洗脳魔法
「どうやら
リヴァイアサンの長老が上空を見て呟く。爆音があった先では粉塵が舞い侵入者の様子を確認することが出来ない。
「この件が片付いたらティアに来てもらって強力な結界を張ってもらおう…。あ、転移魔法でこっちに来てもらうことも出来たんじゃ…?…、…ん?、これは…!?」
同じく上空を見ながら独り言のように呟いていたプレスは違和感を覚えた。その瞬間、周囲に蠱惑的な香りと魔力が立ち込める。
「マズい…。
プレスは全てのリヴァイアサン達を覆うように結界を展開する。
「如何なされたのですか!?」
長老の問いに急いで答える。
「殆ど遮断できたけど、この香りと魔力はとても
「お任せください…。
その詠唱と共に深く蒼い球体が結界内に出現、とその瞬間、水風船が弾けるかのような勢いで蒼い球体が弾け飛び液体状の魔力の飛沫が結界内に行き渡る。
「これはまたかなり高度な浄化魔法だね…。みんな大丈夫かな?気分が悪い人とかいない?」
「我々は大丈夫です!」
「「ピイ!ピイ!」」
どうやらリヴァイアサン達に影響はなかったらしい。
「よかった…。さてと…、友好的なお客さんではないみたいだね…。長老…。強力な洗脳魔法を使うみたいだからおれが相手をしてもいいかな?」
「
「人語を話すドラゴンを助けることは騎士の名誉ってね…」
そう呟くプレス。
「いまなんと…?」
「いや…、こっちの話だよ。じゃあ…、
「御身の御心のままに…」
プレスの言葉にそう言って頭を下げ服従の姿勢を取るリヴァイアサン達。
「ありがとう。では、行ってくるよ。あ、おれが張っているものと同じクラスの結界を張っておいて!」
そう言ってプレスは結界の外へと踏み出した。周囲にはどうしようもない程の香りと嫌な魔力が充満している。上空を見つめていると人影が姿を現した。
「ふふふふ。リヴァイアサンの皆様!テイムされる気分はいかがです?これからは
そんな台詞と勝ち誇ったような笑みを伴いながら大地へと降りてきたのは胸元から肩にかけて大胆に黒いローブをはだけさせた黒髪の女である。しかしその余裕の笑みはあっという間に消え失せた。
「こんな…、こんな下品な魔法がテイムとは恐れ入るね…」
プレスは木箱を背負い腰の長剣を抜き放った状態で呟く。その姿を見て女は驚きの表情を浮かべる。
「な、何者ですか?リ、リヴァイアサンは…!?な、結界魔法…。バ、バカな…」
「お前の目論見は全て失敗したと思ってくれ!それと…おれに何者かと聞く前にお前が名乗れ!三流テイマー!!」
「この
女の顔が酷く歪む。どうやら自分の魔法に誇りを持っていたらしい。プレスは構わず挑発する。
「なにがテイムだ。魔力で洗脳物質を創り出し、それを粘着性のある霧状の魔力に乗せて直接的に脳の支配を試みる…。その後の定着は呪いと同じ方法…。こんな下品で汚らしい魔法をテイムとは呼ばせない!テイムとは互いの信頼関係の上に成立する魔法だ!お前のそれはただの洗脳だ!!それとおれにはこの程度のゴミのような魔法は効果がない。そしてリドカルで何かする予定だったかもしれないけど…、そっちは全て潰させてもらった…。リドカルは今日も平和だよ?」
女の額に二本ほど血管が浮き出てくる。
「
「信じないならそれでもかまわないよ。それにしても…、どんなに外見を取り繕っても消せないものだな…その魔物の
女の顔がさらに歪む。プレスはさらに続けた。
「お前の魔力は知っている…。お前もフィルゼガノンやファウムとかって奴らと同じ『世界の破壊と支配』を目論む連中の一人だろ?」
「ど、どこでその名を知った!?」
「斃したからさ…」
その言葉と共にプレスは神速で行動を開始する。それを見た女が多数の魔力弾を放ってくる。
「少なくともお前の計画は失敗だ!」
全ての魔力弾を交わしながら一息に間合いを詰めたプレスはすれ違いざま女の躰を袈裟懸けに両断した。
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