第8話
「ここが行きつけの喫茶店?」
どこかみすぼらしいようでいて懐かしみを醸し出す雰囲気の外装だった。
「そうここが私の行きつけの喫茶店よ。」
そういい私は中に入る。
中に入るとほのかな花の香りがした。
「お、イグアスにミーナさん、とミーナさんの新しい友達かな。」
このお店のマスターがすぐに話しかけてきた。マスターは薄っすらと髭を生やしながらも清潔感を出す中年くらいの男性だ。この店にはよく女装と男装どちらもで来るためマスターはどっちを見ても自分だとわかる。
「違いますイグアスの従者でリュヒルと言います。」
すぐさま訂正を入れ、ある意味ミーナよりも上位にいることをアピールする。
「従者?ああ、大方イグアス君がギリギリの取引でもしているところを見られて決闘でもしたのかい。イグアス君は舐めてかかると痛い目を見るからね。黒歴史なんて学園の人間の主要人物なら調べられるくらいだし、戦闘も強いからね。まあ何はともあれ今日は手伝いをよろしく頼むよ。いやあ団体さんが急に入っちゃってさちょっと人手が足りないんだ。」
すぐさまリュヒルがそうなっている原因を探り上げさらっととんでもないことを口挟みつつ礼を言うマスター。
「大丈夫ですよ。今日はミーナも居ますから。」
「うんうん、ありがとう。実はここだけの話娘の友達とマダム方のママ会が被ってしまってね。私のミスではあるが助かるよ。」
マスターは心底嬉しそうに言いながらコーヒーを入れる。本当に瀬戸際の状態だったのだろうか。私でも見たことない程の優しい微笑みを出している。これは恋をしてない女子には刺激が強すぎる笑顔である。ちょいとばかりおじさん好きならころっと行きそうであった。幸いなのはこの人が既婚者だということだろう。この人の奥さんはやり手の営業マンをしていて今日は来れないが中々の強者できちんとこの人の手綱を握っている。
「ささ、奥に制服がおいてあるから着替えてきて。仕事の話はそれからコーヒーでも飲みながら話そう。っと新顔のリュヒルさんには自己紹介がまだだったね。私は濃口、気軽にマスターとでも読んでくれると助かるよ。一応君たちの先輩、学園の卒業生だからね。あの学園長の教え子に敬称で言われるのはむず痒い。」
そういい歯に噛んで笑った。
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