第7話
「ミーナ、リュヒル。今はお出かけ中よ。そんなに殺気を出していたら子どもたちを泣かせてしまうわよ。」
ミーナとリュヒルを早々に諫める。ミーナが私に好意を持っていることは知っているが、リュヒルが私に好意を持ち始めたのは予想外だった。そもそも女性に対してミーナ以外に嫌悪感を抱いている私はリュヒルもあまり好ましく思ってはいない。表面的には取り繕っているが内心はうざいと思っている。ではなぜリュヒルを連れてきたかというとそれが今回の目的につながるからだ。
「わかったよイグアス。でもどこに行くの?」
「そうねイグアス。私も聞かされていないのだけど。」
ミーナとリュヒルは今回の外出の目的地を訪ねる。
「社会見学よ。」
「「社会見学?」」
ハッと二人はハモると二人はフンっと互いの顔をいったん見合わせてからそっぽ向いた。
「喧嘩するほど仲がいいというけれど貴方たちもそれに当てはまるのかしらねえ?」
「「仲良くなんかない!!.......あ。」」
「本当に行きぴったりね。それで本題に戻るけれど今日は社会見学、いわゆる職業体験に近いものをやってもらうわ。」
ようやく本題に入る。と言っても焦らしたのは私なのだけれども。
「それでどこに行くのよ。」
「もしかしてイグアス行きつけの喫茶店?」
「そう、私もこの姿で無い時も手伝っているのだけれども今日はいつもより忙しくなるみたいでね。一緒に手伝ってもらいたいの。」
「行きつけの喫茶店?」
リュヒルはストーカーをしていたのに知らない情報だったので疑問の声を上げる。
「ああ、リュヒルは私のことをストーカーしていたのよね。いつも入っている入り口は特殊だし知らないのも無理はないわね。」
「イグアス、今なんて言ったの?」
ミーナはある言葉に反応した。リュヒルはリュヒルで顔を真っ青にしていた。
「気づいていたんなら、撒けばよかったじゃない。そうすればこんな女と決闘せずに済んだのに。」
「まあまあ、ストーカーされるぐらいならいっそ堂々と目に付くところにいたくれたほうがいいじゃない。だからあんなふうになるように仕込んだのよ。」
「それはそうだけどよりによってなんでこの女なのよ。補習の時に頼みづらくなるじゃない。」
「なんだとはなによ貴方が勉強しないのが悪いんでしょう。」
本日三度目になろうかというゴングが鳴る。
「はいはい、二人とも喧嘩はしないでお店にいくわよ。もう時間に遅れちゃうから。」
ミーナの手をとり歩いていく。
「ふ、この勝負は私の勝ちね。」
ミーナは勝ち誇った笑みを浮かべていた。
リュヒルは鬼の形相でその後ろを歩くしかなかった。主従の関係以外にまだイグアスとの接点を持っていないのだから今はまだこの状況に流されるしかない。
そう今はまだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます