九、奇蹟者の血脈
一同は玄関奥のロビーに移動した。窓から見える景色には、いつの間にか雪が降り始めていた。
クラウス「皆さんのお陰で、ノエルを助けていただいた上に、この孤児院を存続させる道が開けるとは……本当に感謝に尽きません。そこで……」
クラウスは何か少し勿体ぶったそぶりでそう言いかけると、ロビーの片隅の方へ行き、壁に埋め込まれた箱を開けて、中のレバーを引き下げた。
ガラーン、ガラーン……
雪の夜空に鐘の音が響いた。
クルト「ん? クラウスさんどうしたの?」
クラウス「皆さんには本当にお世話になりましたから、スペシャルをお見せしなくてはと思いましてね」
訝るクルトに、クラウスは含み笑みで答え……
クラウス「皆さん、外に出てください」
ドルジ「む、こんな夜更けに? まぁ構わぬが……」
防寒着を着て玄関を開けるクラウス。一同も不思議がりつつ外に出た。
シャンシャンシャンシャン……
遠くから鈴の音が鳴り響き、雪の夜空の向こうから彗星のような光の軌跡が近づいてくる。
クルト「!!……あれは……」
目の良いクルトは、先駆けてその実体に気づき、目を丸くして驚いた。
鈴の音は次第に近づき、皆の目もその音の主を見定めた。
パンドラ「空飛ぶ……」
アイシャ「橇……のようですね」
首に鈴を提げた三頭のトナカイに牽かれ、きらきらと星屑のような光を撒きつつ、一台の橇が天空を駆けて来る。
御者は、まさに「ニコライさん」の服装に、白い髭を蓄えた老人。おとぎ話に語られる「ニコライさん」そのものだった。
橇は高度を下げて、茫然としている冒険者達の前に広がる雪の地上に降り立った。
老人「全く、急に呼び出しおって何だ、クラウス」
クラウス「ちょうど降誕祭に向けて演習中だろうと思ってね、父さん」
橇から降りて少し懈怠そうに言う老人と、帽子の上から頭を掻きながら答えるクラウス。
カテナ「……ねぇ、アイシャ。もしかしてこのじーちゃんが、まえいってたニコライってじーちゃん? ぅがっ、ニコライってクラウスのおとーさんなのかっ!?」
カテナはそう言うと同時にハッとなり、“今までプレゼント置いてあったことがない=自分は悪い子と思われてる”ということを思い出して急に居づらくなり、がぅ……と小さく鳴くと、当初アイシャに説明してもらった時と同じように、しゅん、と悲しそうに俯く。そしてそのままそそくさとパンドラの後ろへ隠れるのであった。
アイシャ「え……私も全く分からないわ……」
訊ねられたアイシャも、困惑の顔色を浮かべる。
アイシャ「クラウスさん、この方は……」
おずおずと訊ねるアイシャに、老人は自ら答えた。
老人「私の名はミクラーシュ・ニールセン。クラウスの父であり、ここベーメン王国におけるニールセン家家長、“ニコライ52世”だ」
アイシャ「えっ……!?」
名乗りを聞いてもさらに疑問符が浮かぶアイシャに、クラウスは補うように言った。
クラウス「実は私達ニールセン一族は、奇蹟者聖ニコラオスの子孫でして……本家はノルゲの国にありますが、数多の分家が各国に住んでいて、それぞれ代々の家長が“ニコライ”を襲名して、その国を担当しているのです。私はまだ見習いですが、ベーメンにおける次期ニコライ53世候補というわけです」
クラウスは、少し照れくさそうに頭を掻きながら話した。
ドルジ「ふむ。“ニコライさん”はおとぎ話ではなく、実在する……その張本人の一人が、ミクラーシュ殿――というわけかの?」
ミクラーシュ「いかにも」
ドルジの問いに、ミクラーシュ老人は頷いて答えた。
クラウス「といっても、我々の仕事はごく限定的です。主に、親からプレゼントを貰えない孤児などに、その子が欲したものを魔力で具現化して、寝ている間の枕元にプレゼントを贈る、という程度の能力でして……欲したものといっても、常識的なプレゼントの範囲に限られて、何でも出せるというわけではありません」
再びクラウスは補足して説明した。
パンドラ「まるでおとぎ話ね。子供たちの夢を叶える素敵な魔法だわ」
白い息を吐きながら、パンドラはまるで子供のように目を輝かせてミクラーシュ老人を見つめた。
アイシャ「なるほど、何となく理解しました」
アイシャはクラウスとミクラーシュの言葉に頷いて答えたのち、
アイシャ「カテナが今までプレゼントを貰えなかったのは、悪い子だと思われていたわけじゃなくて、そもそも“ニコライさん”を知らなくて、願ったこともなかったから――というわけみたいね」
目線をカテナに移して、安心させるように微笑んで言った。
カテナ「そ、そーなのかッ……? オイラ、だいじょーぶなんだなっ……?」
おずおずとパンドラの背後から顔を出すカテナ。
カテナ「じゃ、じゃあっ! オイラのこじ……ッ」
皆には願いを「肉」と伝えていたカテナだったが、自分の新たな密かなる願いを言いかけた時、皆の前であることに急に小っ恥ずかしくなって言葉を詰まらせ、慌てて言い直した。
カテナ「そのっ……、オイラのねがい、もうとどいてるのかッ!? かなえてくれるのかッ!?」
言いながら、必死の形相でずいっとパンドラの前に出てくるカテナ。
ミクラーシュ「ああ。君の願いはしっかり聞き届けたよ。きっと叶うだろう」
ミクラーシュはカテナを見て大きく頷いて言い、
ミクラーシュ「でも、それは魔法でも奇蹟でもなく、君たち自身の力によって叶うだろうね」
と続けて、ウインクとともに親指を立てた。
カテナ「がぅっ!? かなえてくれるわけじゃないんだ……」
一度は「きっと叶うだろう」と言われ顔を輝かせたが、後に続いた言葉を聞いてカテナは目線を落とした。仮に頭に狼耳が付いていたら、ぺたんと前に倒れていただろう。
カテナ「……いーよ、わかったよやるよ! もともとそのつもりだったし、たよらなくても かなえてみせるよッ!」
自分の胸の前に立てた掌に、パァンっと己の拳を叩き入れながら、決意に満ちた顔をミクラーシュに向けた。
ミクラーシュ「うむ、その意気だぞ!」
ミクラーシュも力強い笑顔を浮かべると、かがんでカテナの目線に合わせて人差し指を立て、
ミクラーシュ「魔法よりも奇蹟よりも力強いものがある。それが分かるかい? 人々の絆と愛、そして希望だ。君たちには、それが十分に漲っている。神や奇蹟者よりも、まずは自分の、そして仲間たちの力を信じるのだぞ! そうすれば、神様や聖人だって必ず味方してくれる!」
と続けて言い、笑顔でカテナの頭をわしゃわしゃと力強く撫でた。
カテナ「がふあっ、やややめろぉぉ!? くびっ、くびいたいからッ! じーちゃんがいってることあんまわかんなかったけどッ! たぶんあれでしょっ、なかまとかかぞくとかともだちをだいじにってことでしょっ!? そのへんならわかってるからあぁぁ! だからやめえぇッ!!」
頭をぐわんぐわん回され、前もろくに見えず舌を噛みそうになりながら答えるも、すぐに止みそうもない撫でに、カテナは必死に耐えるのであった。
クラウス「魔法でも奇蹟でもなく……何を願ったのでしょう」
クラウスは少し不思議そうな顔をしたが、再び笑顔になって、
クラウス「さあ、皆さん橇に乗ってください。軽く夜空をドライブしましょう!」
と誘い、ミクラーシュの隣の御者席に乗った。
クラウス「この橇に乗っている間は、普通の方からは見えなくすることができるのです」
得意げな表情で続けるクラウス。
ドルジ「ふむ。秘密のドライブという訳じゃな」
アイシャ「では、お言葉に甘えて……」
クルト「んっ! 行こ、カテナ!」
カテナ「がぅ! オイラ、じぶんがそらとべないってわかってから、ずっとトリずるいっておもってたんだっ! いまだけオイラもトリみたいにとべるんだなっ!?」
クルトに誘われ、カテナは嬉々として橇に乗り込んだ。続いて、冒険者達は皆橇に乗った。
ミクラーシュ「はいよっ!」
ミクラーシュの掛け声とともに、星屑のような光を振り撒きながら雪の地面を滑走し、天へと舞い上がる橇。鈴の音がリズミカルに鳴り響く。
クルト「わぁぁ……きれい……!」
眼下には、降誕祭の電飾と窓や街灯の光できらきらと金色に輝く夜景が一望でき、舞い散る粉雪がそれを反射して彩りを添える。
カテナ「がうぅうぅ!! すごいゾ! ちっちゃいゾ! チカチカだゾ! あれがニコライこじいんかなっ!? あっちはけんじゃのやかたかなっ!? がぅぉーーーんっ!!」
身を乗り出し、吠えながら満面の笑顔で大きく手を振るカテナ。仲間に抑えられながらも、頭に浮かんだ素直な言葉が口からポンポンと出ていった。
走れ橇よ 雪を分けて
夜空を越え はるか高く♪
ドルジが歌い始めると、クルト、アイシャもそれに続いて歌い始めた。
心躍り 鈴は響く
喜びの歌を ともに歌おう♪
ドルジ「さあ、パンドラ殿も!」
ドルジが相槌を投げかけると、パンドラも歌に加わった。
ジングルベル ジングルベル 鈴の音よ
野にも里にも 響き渡れ
ジングルベル ジングルベル 鈴鳴らし
光の訪れ みな祝え♪
パンドラ「なんて素敵な夜! 竜姫なんて呼ばれている私が本当に空を飛べる日がくるなんて!」
顔を赤らめて子どものような笑顔を見せるパンドラは、ドルジの誘いにウインクで応えた。
パンドラ「ジングルベール♪ ジングルベール♪」
カテナ「あぉ~~ん! あおぉ~~ん!」
皆が歌う声に釣られ、カテナも遠吠をし始める。発するタイミングはメチャクチャだが、当人は邪魔をしているつもりは一切無く、夜空に向かってただただ楽しげに、吠えて、吼えて、咆えまくるのであった。
プラークの街の外れにある骨董品屋。
入口から義足の男が出てくると、OPENと書かれた看板をCLOSEにひっくり返した。
骨董品屋を営む元旅芸人一座の団長。パンドラの兄のような存在、ホークである。
ホーク「こんな夜中になんの騒ぎかと思ったら」
夜空を見上げるホーク。
ホーク「そうか、本当に良い仲間を見つけたんだなパンドラ。竜姫の名に恥じぬよう、必ず守り抜けよ」
ホークは夜空を駆ける金色の光を眺めると、うっすらと笑みを浮かべながら店の中に戻っていった。
女性「わぁ! すごい!」
とある村の酒場の前で夜空を眺める美しい銀髪の女性。
女性「ジングルベール、ジングルベール、鈴が鳴る♪」
反射的に歌い出した女性の歌声は、透明感のある優しい声であった。
酒場の店主「おーい、フランシスさん! 店の前で歌われちゃあ、うちの店の客が外に出ちまうよ! やめてくれー!(でも本当は俺も聴いていたい)」
フランシス「うふふ、ごめんなさい」
まるで天使のような笑顔を振り撒くフランシスという女性。元旅芸人一座の歌姫である。
フランシス「あぁ、この奇蹟を皆も見ているのかしら……ハンナの故郷までも届くのかしら」
遠くの空を駆ける光を、心の中で歌を歌いながら眺め続けたフランシスであった。
翌朝。クルトが目覚めると、
クルト「ん……ここは……? あれ、たしかわたしたち、空飛ぶ橇に乗って……」
そこはニコライ養育園の旧館二階の一室だった。周りのベッドや床には仲間達も眠っている。
ドルジとアイシャも起きてきて、
ドルジ「む? ここは……」
アイシャ「ニコライ養育園旧館……のようですね」
と、同様の不思議そうな反応を見せた。
クルト「どるじぃ、アイシャ姉……あのね、変なこと言ってるかもだけど……昨夜はみんなで空飛ぶ橇に乗って……」
クルトは、昨夜の出来事が夢であったのか少し不安になって、仲間達に訊ねた。
アイシャ「そうね、素敵な夜空のドライブだったわね」
ドルジ「うむ、わしも覚えがあるぞ」
皆の反応から察するに、どうやら自分一人の夢ではないという確信と、恐らく事実だったのだろうという推測をクルトは抱いた。
クルト「橇に乗ってるうちに、みんないつの間にか眠っちゃって、ここに降ろされた……ってことかな」
夜更かししたためまだ少し眠そうな眼をこすりつつ、クルトは辺りをきょろきょろと見回した。
カテナ「がぅ…トリだぁー……。オイラ…トリになったぞぉー……。ぐぅ…ぐぅ……」
床に大の字になったまま、カテナは未だ夢の世界の中にいる。
「朝一で魔法屋に詰問に行く」という作戦であったので、いつもならば冷水をかけてでも叩き起こすクルトだが、心地好さそうな顔で寝言を言うカテナを見てくすりと微笑み、
クルト「もう少しだけ、いいかな……」
と小声で呟き、盛大にはだけた毛布をそっと掛け直すのだった。
そして、
クルト「パンドラさ~ん、朝だよ~……」
と、こちらも小声で囁いてみた。
パンドラ「ううん、みんな大好きよぉ……むにゃ」
寝ぼけているのか、懐かしい過去の夢を見ているのか。まだ目覚めぬパンドラは幸せそうな表情を浮かべて、側に来たクルトを抱きしめながら頬にキスをした。
クルト「えっ、わっ、ひゃぁ……!」
突然の出来事に驚き戸惑いつつも、クルトは嫌がるそぶりは無く、母親にすがる子供のように、パンドラの胸元に顔をうずめた。
その時、孤児院の鐘の音が鳴り響き、しばらくすると新館の方から子供達の声が聞こえてきた。起床時間のチャイムである。
クルトは再び、今度は少し大きな声で、
クルト「パンドラさ~ん! 朝だよ~! 魔法屋さんと市庁のおじさんをシバきに行くよ~!」
と呼びかけた。
パンドラ「んん?」
クルトの声に目を覚ましたパンドラは、上半身を起こした。ふと手元を見ると、抱きしめていたクルトがいた。パンドラは照れるクルトの頭を優しくなでた。
パンドラ「ふぅ、夢じゃないね。最高の
パンドラは不敵な笑みを浮かべながら、真っ赤な髪を右手で掻き上げた。
それからしばらくすると、
ノエル「カテナく~ん! 皆さ~ん! おっはよ~!!」
と、元気な声とともに、ノエルとクラウスが部屋にやってきた。
クルト「あっ、クラウスさん!(昨夜は……)」
元気よくカテナの周りを駆け回るノエルをよそに、戸口のところに立っているクラウスに、クルトはとてとてと駆け足で近づき背伸びをして、耳打ちするように小声で囁いた。
クラウス「(はい、夜更かしをさせてしまい申し訳ありませんでした……ノエルやみんなには内緒ですよ……)」
クラウスも腰をかがめて小声で囁いて、ウインクを投げた。
アイシャ「ノエルちゃんも知らないのですか?」
アイシャもクラウスに近づき、小声で訊ねた。
クラウス「はい。いずれ大きくなったら知らせる時が来るでしょうが、それまでの間は“おとぎ話”として夢の中に留めておきたいのです」
クラウスは小声でそう答えて、再びウインクした。
ドルジ「ふむ……“奇蹟者の血脈”、“降誕祭の使い人”――という訳か」
少し離れた所にいるドルジは、クラウスの言葉がはっきり聞こえたわけではないが、やりとりを見て事情を察し、独り言のように呟いた。
カテナ「んがっ……!?」
クルトの御慈悲で寝坊を許されていたカテナだったが、ノエルの大声によっていよいよ起こされた。
カテナ「うがっ、ノエル!? もうだ…ッ」
意識のあるノエルを最後に見たのは、昨夜孤児院が無くなると聞いて泣きながら自室に駆け込む姿だった。それが今は、何事もなかったかのように明るく振る舞っている。
――もうだいじょーぶなのか。
そう訊こうとして、カテナは口をつぐんだ。
――だいじょーぶなわけない!
皆に心配かけないよう、気丈に振る舞っているのか。
或いは、諦めず希望に満ちているのか。
或いは、その両方か。
受け入れられない現実として本能が記憶から消し去った。
夢の中の出来事だったと解釈した。
……なんてこともあるかもしれない。
いずれにせよ、理由はカテナには分からない。
むしろ今挙げたことすら考えていない。
明るいノエルが目の前にいる。
ただそれだけを、ありのままを受け入れた。
なら――
イヤなはなしはやめよう!
カテナはノエルに負けないぐらい元気に応えた。
カテナ「おはよっ、ノエル! ねぇねぇいまオイラすっごいゆめみてさー……!」
ノエル「え~なになに~?」
ノエルは至って元気よくカテナに答え、
ノエル「ノエルもね、ノエルもね、すてきな夢見たの! 順番にお話しよっ! カテナくん先ね!」
と満面の笑顔で言った。
カテナ「へへっ、みんなにはナイショだけど、ノエルにだけおしえるね! さっきみたオイラのゆめはねー……んとね、このこじいんをはいったおくにしかけがあってね、そのしかけをクラウスがうごかしたらガランガラーンってうえからおとがしてねっ、そしたらそらからクラウスのおとーさんがそらとぶソリにのってきてね、それがミクラーシュだけどニコライでねっ、でもオイラのねがいかなえてくれなくて、あっ、でもそらとぶソリにオイラとなかまのみんなをのせてくれて、そらをいっぱいかけまわったんだっ! このこじいんとかすっごくちっちゃくなって、まわりもキラキラしてて、すごかったんだ!」
ノエル「すごーい! すてきな夢! それに、ミクラーシュってほんとにノエルのおじいちゃんだぁ!」
ノエルは握った両手を胸元に当てて、目を丸くしてカテナの話に聞き入り、驚きの表情を見せた。
ノエル「ノエルもね、ノエルもね、おじいちゃんの出てくる夢見たんだよ! えっとね~」
興奮を抑えきれない様子で、ノエルは続けた。
ノエル「まずはママが出てきて~……それから、“ニコライさん”のかっこうしたおじいちゃんも出てきて~……二人とも、『孤児院は大丈夫、無くなったりしない』って言って……! だからね、ノエル信じることにしたの! “ぜったい大丈夫だ!”ってね!」
ノエルは言い終えて、胸元の掌を改めてぐっと握り締めた。
カテナ「うがっ?」
カテナは驚いてノエルを見た。
カテナ(ユメにでてきたミクラーシュが、ほんとにノエルのじーちゃん?? こんなぐーぜんってあるの……?)
んん~~??
と、カテナは心の中で頭を60度横に傾けていた。
カテナ「そーいえば、オイラのゆめのミクラーシュじーちゃんも、みんなをしんじろ、そーすればオイラのねがいはかなう、みたいなこといってた……オイラのあたまをおもいっきりゆらしながらね……」
はは……と、カテナの顔は呆れ顔になった。
カテナ「だから、ノエルはそのまましんじつづけて! オイラたちのこともね! そーすれば、“ぜったいだいじょーぶだ!”」
ノエル「うんっ、ぜったい大丈夫だよねっ! ノエル信じてるから、夢のお告げも、カテナくんたちのことも!」
ノエルは元気よくそう言うと、すぅっと息を吸って目をつぶり、胸元で手を組んで、
ノエル「お言葉どおり、この身に成りますように……」
と、降誕祭劇の聖母マリアの台詞を唱えた。
ドルジ「Amen――斯くあれかし」
ドルジはそれを見て、胸元で十字を切って祈りの言葉を唱えた。
クルト「それじゃ、魔法屋さんと市庁さんに突撃しに行こっ! 朝ごはん食べたらね!」
クルトも力強く右手を握って宣言した。
※引用歌詞『ジングルベル』和文詞:鳥位名久礼(作者の独自訳詞)
クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際
https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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