第43話 708号室

6月初旬。

わが高校の修学旅行は6月初旬にある。行先は沖縄だ。すごい!沖縄!

俺は沖縄に行ったことがないのでもの凄く楽しみ。観光はバスで移動。自由時間はマリンスポーツを楽しむグループと、アウトレットなどで買い物を楽しむグループに分かれる。

クラスに仲良しがいない俺はグループ分けでボッチを覚悟した。

先生が”それじゃ班を決めろ”と言いながら席に座る。さてどうしよう。

「上原君、よかったら一緒の班にならない?」

考える間もなく、声をかけられた。特に決まった仲間がいなかったのですぐにOKする。

「よろしく」

女の子3人と俺で4人。あと男が1~2人なのかな。

彼女たちはもう1人の男を連れてきた。これで5人。5人ならOKと言うので、先生に報告して班を登録した。

女子は、河合さん水沼さん今井さん。男子は竹田君。女子はこのクラスでも目立ってる3人組。男子の竹田君はスポーツマンでイケメンだと思う。

「上原君、一緒の班だね。よろしく」

竹田君は手を差し出してきたので握手。

「こちらこそよろしく」

彼は男の俺から見てもイケメンだね。

「上原君は修学旅行行けるんだよね。仕事とかでお休みじゃないんだよね?」

「大丈夫だよ。俺も楽しみにしてたから」

沖縄とか絶対に行きたいでしょ。コバルトブルーの海で泳ぎたい。ソーキそば食べたい。ミミガー、テビチ食べたい。

それから班別に自由時間に何をするか決めた。俺たちはもちろん海!泳ぐぜー、超泳ぐぜー。


その日の放課後。彩奈たちのクラスでも修学旅行の班決めをしたみたい。彩奈たちも女子3人男子3人の班のようだ。ただ、頭にくるのが恵にアプローチしてた男子が班員にいるらしい。彩奈が嫌そうな顔で教えてくれた。彩奈はがっつり攻めてくる男は嫌いそうだしね。

「あたしは千秋一筋だからね。昔からもこれからも」

「知ってる」

「嘘。知らなかったでしょ?」

「知ってるような、知らないような」

「とにかく安心していいよ。私は他の人なんて見てないから」

分かってる。分かってるけど胸がムカムカする。別に恵が悪いんじゃない。誰が誰を好きになっても文句は言えない。でも、やっぱりムカムカするんだ。

「千秋は自由行動どうするの?私たちは泳ぐ予定。恵が千秋と浮き輪に入りたいんだって。私も、あのシチュエーションでまたキスされたいな」

そうだな。浮き輪の中で彩奈に告白したんだよな。

「何回でも告白するよ。恵にだって告白するしキスもするよ」

違うクラスになると疲れる。主に精神面が。2人とも可愛いからなぁ。

恵が腕にしがみつきながら、

「泳ぐときは一緒に泳ごうよ。場所は一緒なんだから合流できるよ」

まぁ、そうだな。2人は目立つから何処にいるかすぐわかるよ。

「彩奈と一緒に探すね。それより千秋のほうが心配。他の女の子にべたべたしないでよ。話を聞くと明らかにその子たちは千秋を狙ってるよね?」

それはないかなぁ。芸能人と一緒がいい、ってのはあるかもしれないしれないけど。有名人って恋愛対象にはならないんだよね。きっかけがないと。俺も最初は、彩奈のことを恋愛対象と、全く思ってなかったし。友人の友人って位だった。

恵と反対側の腕を彩奈に取られ、

「浮気したら、みんなの前でキスするわ。私のものって知らしめてあげる」

おぅ、大胆だな。



修学旅行(1日目)

朝7時に学校に集合し、クラス毎にバスで空港に向かう。

隣に座った今井さん。彼女は思っていたよりグイグイくるな。

「上原君、今日の服とってもカッコイイね」

服なんて普通なんですが。白のカットソーに7分袖のデニム地のシャツを羽織ってるだけんんですが。

「どんな美味しいもの食べようか?」「水族館すごいらしいよ。巨大水槽だって」「沖縄って暑いかな」

マシンガントークである。

「とっても楽しみだね。沖縄に行ったことないから沢山美味しいもの食べたいな」

途中から、後ろの席にいた河合さんも、身を乗り出して会話に参加してくる。空港まで話し続ける2人に、少しビビる俺だった。

空港に着きクラス毎に待合室で待機。そして移動。飛行機に乗り込む。

途中、”千秋~”と声をかけられたので振り向くと、恵が手をぶんぶん振っていた。彩奈はその横で小さく手を振ってる。俺も片手を上げて手を振ってこたえる。あ、恵の後ろにいるのがさわやか君か。何もされてないけどムカムカしてきた。平常心。

飛行機の座席は3-4-3で並んでいる。3人の真ん中に座らされる。両側には今井さんと河合さん。竹田君と水沼さんは中央の4席に座った。

羽田-那覇は2時間50分。東京から沖縄まで3時間弱。この距離をこの時間で。

これってすごいよね。飛行機すごい。

あっという間に那覇。那覇は暑い。東京と全然違う。もう夏だ。めんそーれ。

那覇空港からはバスで移動。まずは首里城へ行く。その途中で昼食タイム。ソーキそばを食べる。ソーキそばが美味しい。初めて食べたけどイイね。汁まで飲んじゃった。

首里城はガイドさんが案内してくれる。民族衣装?を着たおばちゃんに案内されて場内を見学する。城は城でも本州の城とは雰囲気が全然違う。なかなか興味深いな。

首里城見学の後は、ひめゆりの塔にバスで移動。

今井さんが咥えたポッキーを、俺にむかって突き出す。え、何?ポッキーゲーム?とりあえず一かじりだけしておいた。”上原君は根性が足りない”と言われてしまった。次は頑張ると答えておいた。

ひめゆりの塔を見学したのだが、もうボロ泣きである。説明や展示物も見て回り、戦争の悲惨さを感じる。感じすぎた。涙が止まらない。

彩奈や恵たちもいて泣いてる姿を見られてしまった。恥ずかしい。彩奈にハンカチを差し出されたからね。そして恵から頭をなでなでされたし。さわやか君からは黒い波動を感じる。羨ましいかっ!

恵のなでなでを見ていた、今井さんと河合さんにもなでなでされてしまった。その瞬間を見ていた、恵さんからの視線が痛い。俺がリクエストしたんじゃないよ?

そこからバスで移動。今度は沖縄県平和祈念資料館。

ここでも戦争の悲惨さを感じる。今度は泣かなかったけどね。

沖縄に来る前はリゾートひゃっほいって浮かれてたけど、今日一日で色々と考えさせられた。今いるこの土地で過去にあったこと。人々の悲しみ。今の平和のありがたさを痛感した。

沖縄県平和祈念資料館を見学した後はホテルに移動。かなり忙しく移動してたので意外に疲れた。

ホテルは2人1部屋になる。もちろん男だ。俺は同じ班の竹田君と一緒。2人部屋だとくつろげるよね。中学の時は6人位で泊まった記憶がある。

ホテルの食堂で夕食。クラス毎にまとまって食事。沖縄料理?なのかは分からないけど美味しかった。海ブドウも初めて食べた。美味しい?と聞かれると、微妙と答えるしかない。俺の舌はおこちゃまなのか。

食後は大浴場でゆっくり入浴。やっぱりでかい風呂はいいね。気分がもの凄く開放的になる。この後は少しゆっくりして出張する予定。竹田君には、部屋にいなくなっても、気にしないでと伝えておいた。

風呂上がりに、卓球をする男女を見ながら、冷たいコーヒー牛乳を飲む。うん、美味いんだな。

ただ今の時刻は21時。ふぅ。

「千秋~」

恵の声に振り向くと、湯上りの恵と彩奈がやってきた。浴衣が色っぽい。湯上り姿が色っぽい。

「今、リラックス中。風呂気持ちよかったよ。広い風呂は最高だな」

「だよね。あたしは泳いだ!」

そうだな、絶対に泳ぐと思った。俺も少し泳いだよ。

「新田さん、安西さん、あとで部屋にこないかな?みんなでトランプやるんだ」

さわやか君乱入。うげー。

「疲れてるから遠慮するよ。みんなで楽しんできて」

お断りの手本のような断りの言葉だけど、さわやか君は食い下がる。

「クラスメイトが仲良くなるチャンスだし安西さんもどうかな」

彩奈は疲れてるんでと一言でバッサリ。塩対応は変わらないなぁ。

「新田さんはどうかな。部屋に迎えに行くよ」

俺と話してる最中に、恵を部屋に誘うとかすごい自信あるんだな。

「いや~、ほんと疲れてるからねぇ。ごめんね」

バッサリである。

2人ともここに居たくないだろうから俺も退散。

「あ、部屋に戻るの?またね千秋」

「まったね~」

手を上げてまたねと挨拶。俺は自分の部屋に戻った。


時刻は22時。竹田君は他の部屋に遊びに行ってる。おれも遊びに行くか。

念のため、竹田君には手紙を残しておこう。”旅にでます。探さないでください。明日の朝には戻る予定です”っと。

手紙を竹田君のベッドに置き、部屋を出てエレベータに乗る。一つ上の階でおりて通路を進む。

「708、708、708」

あった。インターホンを鳴らすと恵が顔を出した。

「来たよ」

この部屋は恵と彩奈の2人部屋。部屋に入ってまずは施錠。

「一日寂しかったよ」

恵に熱いキスをしながら部屋の奥に。座ってる彩奈にもキスをする。

「あら、千秋はクラスの女の子に慰めてもらってたでしょ?」

あれ、彩奈も根に持ってるの?

「俺を慰めることができるのは2人だけだ」

2人の浴衣を剥いでベッドに押し倒した。俺もすぐに浴衣を脱ぐ。

「待ってたわ。たくさん愛して」

彩奈の言葉で戦闘開始。ベッドの上で絡み合う。今日は2人に触れていなかったので、興奮具合がヤバイ。

上から下まで余すところなく頂く。美味しい。やっぱり最高の女たちです。


1回戦が終わって飲み物休憩。まだまだ2回3回戦と続けるから。

「あー、冷たいお茶が美味しい」

椅子に座り一息ついた。ちょうどその時に部屋のインターホンが鳴る。3人で顔を見合わせると、

「新田さん、安西さん。迎えにきましたよ。みんなで遊びませんか?」

さわやか君の登場だ。だがな、さわやか君。俺たちはもう3人で遊んでいるんだよ。って言ってやりたいけど騒がれると面倒なので言わない。

恵がドア越しにお断りをしているが、彼も結構粘る。

いたずら心がでた俺は、恵のそばにいって後ろから抱き着いてキスをした。

「ひゃ」

驚きの声をだした恵がシーッってゼスチャーで俺に合図。俺はOKと返事をし、恵の体に唇を落とす。余すことなく食べつくすように。

ドアの向こうには、さわやか君が立っている。きっと凛々しくさわやかな笑顔なんだろう。

そんな事を考えると燃えあがるだろ。ドアの向こうに立ってるさわやか君。ドアのこちらで勃っている俺。ギンギンになるだろ?はい、後ろから襲いました。

俺からの攻撃にひるむ恵。

「疲れてるからごめんなさい」

「大丈夫?新田さん。具合悪そうな声だけど。先生に言ったほうがいい?」

言わないでください。それに恵の体は調子悪くないよ。むしろ絶好調。俺も絶好調。

「とにかくもう休むから帰って。お休みなさい」

さわやか君を追い返してベッドに倒れこむ。

「千秋~。びっくりしたんだから。やるならベッドにして」

「ごめん、調子に乗った。後悔はしていない。興奮してやる気スイッチが入った」

恵を可愛がりながら彩奈を呼ぶ。

「さぁ、もう一度気持ちよくなろう。たっぷり愛し合おう」


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