21日目 王都の怒り

「王都の方に散々責められました。激怒されていました……」


 〈全自動〉チームの筆頭魔女リーダーである本社の女魔法使い、ジタラが顔面蒼白になりながら会議の冒頭、報告した。


「先週末に一部だけ出した提案書と、本日出した提案書が内容が違っているとのことで、説明を求められてしまいました。

 先週と機能の内容が違っているのはどういうことだ、もう完成している魔機構システムではないのか、虚偽申請ではないのかと……。

 とっさに、先週提出した資料は古いものを出してしまったと言い訳をしたのですが……」


 コタンの心の中は、それ見たことかという気持ちと、この先どうなるのだろうという気持ちが入り混じっていた。どちらにせよ不安だった。

 しかし、これでこのプロジェクトも終焉を迎えるかもしれない。そう思うとちょっとは気持ちが楽になった。


「はい、よくわかりました! ということでね、無事に提出は済んだということで、皆さん、よい魔機構システムを作るために、今日から頑張っていきましょう!」


 続く社長の言葉にコタンは椅子からずり落ちそうになった。

 この現状から、そんな発想ができる人間がいるのか。

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