第502話 死霊騎士との戦闘 その2
「発勁!!」
『オアッ……!?』
「うあっ……!?」
ナオの発勁によって衝撃を受けた死霊騎士はデブリを手放し、解放されたデブリは地面に倒れ込む。先ほどはレナの弾丸は受け付けなかった死霊騎士だが、どうやらナオの戦技は無効化する事は出来ないらしい。
続けてナオは自分の得意とする戦技を繰り出す。拳を握りしめ、死霊騎士が次の行動に移す前にナオは接近すると、勢いよく踏み込んで拳を繰り出す。
「崩拳!!」
『オオッ!?』
甲冑に対してナオは中段突きを放つと、巨体に衝撃が走って数歩ほど後ずさった。しかし、攻撃を仕掛けたはずのナオも無事ではいられず、ほんの数回相手に触れただけで力を奪われた様に汗を流す。
『オオオオッ……!!』
「くっ……!?」
「このぉっ!!近づくんじゃねえよ、化物!!」
死霊騎士はナオに手を伸ばそうとしたとき、コネコが風属性の魔石を利用して一気に加速すると、そのまま伸ばしてきた腕を蹴り飛ばす。強烈な蹴りを受けた死霊騎士は腕を弾かれるが、痛覚はやはし存在しないのかすぐに体勢を立て直す。
ブーツ越しに蹴りつけたお陰なのかコネコ自身はデブリやナオと違って力を奪われる様子はなく、そのまま彼女は通路の壁を利用して跳躍を行って再度攻撃を仕掛けた。
「倒れろっ!!」
『オアッ!?』
今度は胸元に向けてコネコはドロップキックを叩き込むと、死霊騎士は更に数歩後ずさると、体重が足りないせいか相手を倒れさせる威力はない。
だが、コネコの場合は直接触れずにブーツ越しに蹴ったお陰か体力を奪われた様子はなく、続けて跳躍を行うと回転回し蹴りを放つ。それと同時にドリスも死霊騎士に接近して合成魔術を放つ。
「うらぁっ!!」
「
『オオオオッ……!?』
コネコの蹴りで体勢を崩した直後、巨大な氷塊の砲弾を受けた死霊騎士は吹き飛び、そのまま通路を抜けて広場に倒れ込む。その様子を見たレナはドリスの魔法が通じたのに対して先ほどはどうして自分の魔銃が喰らわなかったのか疑問を抱いた。
(俺の魔銃は効かなかったのにドリスさんの魔法は効いた!?いや、考えるのは後だ……まずはこいつをどうにかしないと!!)
敵の得体が知れない以上、本来ならば撤退するべきかもしれないが、ナオとデブリは死霊騎士に触れた事で身体に力が入らずに戦える状態ではなかった。そこでレナは一気に終わらせるために右腕に意識を集中させ、攻撃を仕掛ける準備を行う。
「
『オオッ……!!』
レナは右腕に限界まで付与魔法を発動させ、地属性の魔力を封じ込めると、闘拳が紅色に変化させる。その様子を見た死霊騎士はドリスの螺旋氷弾を払いのけると、先ほどミナが吹き飛ばした兜が傍に転がっている事に気づき、兜を元に戻す。頭に装着した瞬間に兜の目元に怪しい光が再び灯る。
嫌な予感を覚えながらもレナは死霊騎士を仕留めるために皆に頷き、全員に相手の隙を作る様に協力を求める。目線を合わせるだけでミナとコネコは意図を察し、ドリスも頷いて全員が動く。
「行くぞ姉ちゃん!!」
「うんっ!!」
最初に動いたのはミナとコネコであり、この数日の間に二人は共に訓練を行い、互いを援護しながら戦う事は慣れていた。まずは最初に速度に優れるコネコが先行し、死霊騎士の注意を引く。
「うおおおっ!!」
『オオッ!!』
正面から迫るコネコに対して死霊騎士は無造作に腕を伸ばすが、それに対してコネコは直前で急ブレーキを行い、足の裏から風圧を生み出して天井近くまで飛翔した。
コネコの行為を見て死霊騎士は反射的に彼女を目で追い、ミナから視線を外す。その隙を逃さずにミナは接近すると、体勢を屈めて的確に死霊騎士の膝に目掛けて槍を放つ。
「刺突!!」
『オウッ!?』
強烈な突きを右膝に受けた死霊騎士の体勢が崩れ、即座にミナは回り込むと天井から落下したコネコと同時に上下から攻撃を行う。
「兜落とし!!」
「螺旋槍!!」
『オアアッ……!?』
兜と左膝に同時に衝撃を受けた死霊騎士は立っていられずに前のめりに倒れこもうとしたが、どうにか両腕を突き出して地面に四つん這いになった。だが、即座にドリスは両腕を構えると、彼女は新しい魔法を繰り出す。
「喰らいなさい、これが私のとっておき!!
『オオオッ!?』
ドリスは両手を構えた瞬間、彼女の手元から氷塊の魔法で形成した「氷の鎖」が発射され、死霊騎士の身体に巻き付いて拘束した。四つん這いの状態で全身を封じられた死霊騎士は動く事もままならず、その間にレナは極化を発動させた闘拳を叩き込むために駆け出す。
(この一撃で仕留める!!)
レナは死霊騎士を確実に破壊するために瞬間加速を発動させ、天高く上昇した。狙うのは頭部ではなく、甲冑の背中に向けて叩き込むために拳を振り下ろす。先ほどの攻防で兜は吹き飛ばしても死霊騎士は倒せない事は確認済みのため、背中から攻撃を仕掛けて甲冑を破壊するつもりだった。
上空から拳を振り下ろそうとしてくるレナに対して死霊騎士は避ける事も防ぐことも出来ず、そのまま闘拳は死霊騎士の背中に衝突する。
「終わりだっ!!」
『ッ……!!』
拳が背中に叩き込まれた瞬間、激しい轟音が広場内に響き渡るとレナの仲間達は思ったが、彼の闘拳は死霊騎士の背中に触れた瞬間に思いもよらぬ事態に陥った。
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